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雑誌目次

雑誌文献

病院54巻8号

1995年08月発行

雑誌目次

特集 病院職員の教育と研修

[てい談]教育・研修の充実は病院に何をもたらすか—看護部門で実績をあげている三つの民間病院での経験から

著者: 川島みどり ,   紙屋克子 ,   三木智子

ページ範囲:P.734 - P.743

 川島 医学・医療技術の進歩,そして看護も基礎教育が多様化して四年制大学卒の看護婦も臨床に登場しましたし,看護理論も発展し,チーム医療における看護の責任も変化・拡大しています.時代は超高齢社会の到来で入院患者さんの重症化・高齢化が進行中.これらの要素が重なって,看護専門職としての知識・技術,態度の育成は,個人的レベルの努力では追いつかないし,病院でも,片手間的な指導とか一方的なデモンストレーション等の家内工業的,徒弟的な訓練では追いつかない状況です.病院の質や看護の質が特に問われている現在,各病院で卒後の教育を体系化し,強化することが求められている一方で,一時と変わり最近は看護婦の就職難も見られます.
 今,新卒業生の就職動機の高位に挙げられるのが,組織的・系統的な院内教育プログラムの有無だといいます.そこで,今日は,昨今の看護婦不足の状況のなかでも比較的ヒューマン・パワーを確保,維持できた民間病院の総婦長さんに,御自分の病院の教育や研修がどう展開され,どう役に立っているかお聞きします.

看護職員のチーム・ワークをどう育成するか

著者: 海北幸男

ページ範囲:P.744 - P.746

はじめに
 当法人は400床の総合病院と58床の眼科病院と180床の介護力強化病院とをほぼ同一敷地内に,またドックを中心とするクリニックをベイタワーホテル内にと,四つの施設を運営する法人です.
 開設は1949年で46年の歴史を有します.この46年の当法人の歴史はまさに人材確保の歴史と言って過言ではないでしょう.

ビジョンとイノベーションと人材育成

著者: 加藤善治郎

ページ範囲:P.747 - P.753

はじめに
 セキュリティーサービスの第一線で活躍している専門職の研修について述べるよう課題をいただきました.
 医療関係者,セキュリティーサービス従事者ともに,健康で,安心して暮らしていく必須要素を提供する,どちらも専門技能に加えて使命感,倫理観が求められる職務であるという点で共通するところがあります.

院内職員研修会が職員の意識改革に果たした役割—全員参加,月2回の研修会を15年続けてきた日鋼記念病院の経験から

著者: 西村昭男

ページ範囲:P.754 - P.758

はじめに
 「継続は力なり」という言葉がある.職場代表会議とともに職員研修会も353回15年の年輪を刻んできた.「どのような成果を挙げてきたのか」の問に対して,具体的に示すことは難しい.それだけ月2回の継続は,われわれの呼吸にも似て,組織の欠くべからざる活動リズムになっている.当法人組織内の活性化,発展のみならず,地域社会における貢献などの成果として,職員研修会の力が発揮されたものと確信している.今回,機会を得て,15年の統括から問題点を明らかにし,大方のご批判のもとに,更なる向上を図りたいと考える.

聖マリア病院における院外研修の活用とその効果—九州生産性大学経営講座への医師,管理職員の参加を継続して

著者: 井手義雄

ページ範囲:P.759 - P.762

はじめに
 近年の高齢化社会の到来に対応した厚生行政の急激なる変革,また国民の医療に対するニーズの多様化は,多くの病院の経営を翻弄している.また,最近の国立・公的病院の採算を度外視した近代的な病院建設ラッシュは民間病院の経営をよりいっそう悪化させてきている.
 QC活動,各種提案制度等導入がなされているが,経営的には十分な効果が期待できていないのが現状であろう.聖マリア病院においては,各種対策の一環として,院外研修を実施してきた.ついては,これらの研修の活用とその効果について述べみたい.

国立医療・病院管理研究所の役割と現状—主として研修業務

著者: 松田朗

ページ範囲:P.763 - P.767

 わが国における医療機関を取り巻く環境はきわめて厳しい状態にある.
 毎年行われている医療施設調査によれば,病院の数は1990年の10,096施設をピークに減少しており,1993年には9,844施設となっている.また,病院の総病床数は1992年の1,686,696床をピークに減少しており,翌1993年には1,680,952床となっている.さらに,一般診療所も,有床診療所の無床化が加速されており,1993年には無床60,243施設(1970年には39,156施設),有床23,151施設(1970年には29,481施設)となっている.

[調査研究]病院はどのような教育・研修を必要としているか

著者: 岩﨑榮

ページ範囲:P.768 - P.772

はじめに—組織の変革には職員の意識の変容が必要,そのためにこそ教育・研修かある
 病院という組織だけでなく,あらゆる組織はつねに継続しながら変革を遂げていく必要がある.
 それは病院が提供する医療の質をつねにチェックし,質の改善を継続的にしていくことと同じである(CQI:continuous quality improve-ment).しかし,組織の改革は,組織のチェック,見直しから始められる.

私の自己啓発法

断らず引き受けて有り難い体験も

著者: 小山田恵 ,   高嶋妙子 ,   青木孝子 ,   矢野一郎 ,   賴本節雄

ページ範囲:P.773 - P.774

 病院長になって6年が経過した,あと1年で定年退官である.この間の生活を願みると文字どおり全力投球で目まぐるしく忙しい日々の連続であった.自分の能力の限りを尽くし,置かれた環境のもとでいかにして職責を果たすかを第一と考え実践してきたつもりであるが,他人に自慢できるものなどあろうはずもない.ただ職責に関したものなら大小にかかわらず何でも断らず引き受けるという姿勢だけは貫いてきた.それだけが私の取り柄であり,自己啓発の基であったように思う.本紙の求めに応じてこのような題でペンをとったのもこのためである.
 1889年4月病院長に就任したとき私は,新任とはいえ20年間も勤めてきた病院で建物の隅々から職員の全てまで知り尽しているという軽い気持ちでいたら,その翌日から想像もしなかったことの連続で戸惑うことばかりであった.

悩みとの出会いは本への誘い

著者: 青木孝子

ページ範囲:P.774 - P.775

 私の部屋の前を病棟の深夜勤務を終えたナースが帰っていく.「さようなら〜」の独特なアクセントは2A病棟の渡辺ナース.元気のよい挨拶と歩きながらの大声ではれやかなおしゃべり.常時開いている看護部長室の前と挨拶のあと気付いたように多少声のトーンを落としてロッカー室へ消えてゆく.
 深夜勤者の離院時間が10時を過ぎることも稀ではないのだが……

健康的な感性を涵養しつつ

著者: 高嶋妙子

ページ範囲:P.775 - P.776

 自分らしい生き方を求めて右往左往した青春前期を過ぎた20代中盤に,大まかな人生設計を意識した.それは,20代を知識習得に当て,30・40代は精一杯行動レベルで試行錯誤し,それを50代に味わうという程度のものだったが,おおむねそのように生きてこの目安は妥当だったと感じている.
 知識習得時代に,大学の通信課程で学ぶことを中心に据えたが,これは予想以上に大成功だった.しかも,時にカリキュラムから離れて自らの欲求の赴くままに知識を貧りながらも,焦らず7年余りも在籍したお陰で,糸の切れた凧にならずに済んだ.卒論のテーマを看護の中に見い出していたので,あらゆる学びがここに流入した感じがする.加えて元来嫌いでない「書くこと」が習性に近くまでなり,機会が与えられればいつも喜んで原稿用紙に向かった.

無意識のライバル—新しい医療に向けて

著者: 矢野一郎

ページ範囲:P.776 - P.777

 洛和会は,1950年の「矢野医院」から出発し,救急医療と地域医療を実践する洛和会丸太町病院(1967年)・洛和会音羽病院(1980年)を開業.さらに洛和会京都看護学校(1985年)を開設し,有料老人ホーム「ウェルエイジみぶ」に提携診療所(1992年)を開設してきた.
 そして,私が前理事長より経営を引き継ぎをしたのがちょうど洛和会音羽病院の開業時であった.

私用の三つの道具に辿り着いた

著者: 賴本節雄

ページ範囲:P.777 - P.778

 当院の事務長に就任以来12年になる.最初の1年は前任者故鷹島保三郎事務長から手取足取のOJTを受けた.創設者大原孫三郎の直接の薫陶を受けた話,創立の精神の懇切な教育とそれを今日に活かすための実践心得,内外キーマンへの紹介とその人物評価,具体的事業計画—特に着想の在り方,日常の経営指導・管理活動—特に重要人事の意思決定と手続き—等々のたいへん貴重な勉強をさせてもらったのであった.当時はそれとは覚らず,むしろぼんやり普通の引継としてやりすごしたのではなかったか.
 彼が私にすべてを譲って引退されて間もなく,シュムペーターの「経済発展の理論」上下(岩波文庫)を携えて来られ,私に言われたこと「やめたらいろいろゆっくり勉強しようと楽しみにしていたがそれができないことがわかった.病院経営に打ち込んでいたからこそ勉強もできたが,退職したら目標がなくて前向きのことが何もできない.TVばかりみているよ.その内落ち着いたら国内外旅行して廻ろうと思う.この本を貴君にあげるから読んでくれ.全頁読むことはない.ポイントだけでよい.これには新しいことをやるには組織を変革しないといかんということが書いてある.」—私自身昭和20年代にメーヨー派とバーナード・サイモン理論の勉強を通して一端の組織論学徒を自負していたから,この発言にはびっくりした.

グラフ

三つのアクセスで診療圏が拡大した—東北厚生年金病院

ページ範囲:P.725 - P.730

□診療圏が拡大
 仙台市駅前から東北東へ約7.2km,国道45号線,東部高速道路,または県道蒲生線を通って乗用車で,あるいは鉄路で仙台から石巻までの仙石線の陸前高砂駅を利用することで乗用車を使わずアクセスできる,地の利を得た病院である.それは患者の地域別分布に現れており,国立仙台病院より東側が主で,4割が所在地宮城野区から,15%が隣接の多賀城市から,11%が隣接の塩竈市から,14%が仙台市他区の隣接部からとなっている.残り2割は県内他地区からで,県外からは2%である.
 外来は一日平均1,117人を数え,入院は一日平均473人である.

日本医療法人協会会長に就任された 千代田区・神尾記念病院院長 神尾友和氏

著者: 秀嶋宏 ,   八木保

ページ範囲:P.732 - P.732

 神尾先生が日本医療法人協会の会長に就任されたのは,昨年の医療法人協会の代議員会総会においてである.病院関係団体の会長の中では,最も若い会長である.
 神尾先生は1975年Los Angeles Califolniaに留学され,帰国後日本医科大学講師に任ぜられ,1978年には助教授に昇進され,大学内では信望を一身に受けておられた.いわば親分肌の感があったのである.そのバック・グラウンドとなっているのはバスケット部において,学生時代から培われたスポーツマン精神があったからである.

主張

病院内の教育研修の意義

著者:

ページ範囲:P.733 - P.733

 組織は絶えざる変革を必要とする.社会の期待が変革を求めるからであろう.あらゆる人間の組織がそうであるように,病院もまた周辺の環境の期待の変化を敏感に感じ取り,自らの機能を変革していかなければならない.組織が前進するためには絶えざる教育研修や研究開発が必要である.製薬企業等がどの程度研究開発費(R&D)を投じているかがその組織の成長性を規定すると言われている.それでは病院組織の成長を測定するには,教育研修費の医業収益に占める額が検討されているであろうか.確かに専門医認定等においては,医師の研究成果の数などが要求されるが,病院として教育研修にどれほどの額を投じているか公表されていないし,医療経済実態調査等でもっと検討が必要であろう.病院内の教育研修に当たって考えるべき点がいくつかある.
 第一に,多くの病院内の教育研修は縦割りの場合が多い.医師の場合には,どれだけ学会等で活動したかが話題となり,看護部門,検査部門,放射線部門,薬剤部門,医事部門等においても,どのような努力を行ったかが問われる.しかし病院管理が求めるものは,組織としての一体性である.1人の患者のために病院内のさまざまな技術が,いかに組織的に協力するかが病院機能の基本である.それならば,病院内の教育研修の重点は組織体としての教育研修である.

パネルディスカッション 21世紀の医療を目指して・2

最近の診療報酬体系の動向と今後

著者: 竹内實

ページ範囲:P.779 - P.781

 私は平成4年6月に中医協委員となり,今年で3年目です.この間,昨年の2回の診療報酬改定に関与してきました.最近の診療報酬の動向については,下田課長が包括的に話されましたので,重複を避けてポイントをしぼり,今後の流れについて私個人の意見をお話しします.
 診療報酬に関しては,厚生省内では担当が2つに分かれております.一般診療報酬は保険局が担当し,老人保健診療報酬は老人保健福祉局で担当します.下田課長は,前回の診療報酬改定では老人を担当する老人保健福祉局の老人保健課長でした.そして今度,保険局の医療課長に移られました.課長さんにはぜひ老人保健診療点数と一般の診療報酬が少し乖離しているところを何とかしてもらいたいと願っています.

病院の機能評価と今後の医療

著者: 大道久

ページ範囲:P.782 - P.784

 昨年の暮れに病院機能評価事業を国が支援をするということで,公益法人設立のための基金として1億円,その後の立ち上げを円滑にするための運用調査に2億円余が政府予算案に盛り込まれました.恐らく,これにより事業は動きだすことになると思います.
 病院関係者の方々は病院機能評価に大変関心が強いと思います.いろいろとご不安を感じる向きも多いかと思いますが,この事業の基本的な性格を確認され,今後の医療活動でこの事業を受け止め,適切に対処していただきたいというのが,この事業に多少とも関与している立場からのお願いです.

連載 アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第10回

西神戸医療センター

著者: 川島浩孝

ページ範囲:P.785 - P.790

はじめに
 本病院は,人口急増に伴う医療需要増加の著しい神戸西地域を対象に新設された施設であり,神戸市における包括的な地域医療供給体制の確立を目指して設立された(財)神戸市地域医療振興財団によって運営が行われている.
 市当局より示された設立の主旨は以下のようなものである.

使ってみてひと言

著者: 中井準

ページ範囲:P.789 - P.789

 地元医師会と連携して,高度医療と救急医療とを提供することが西神戸医療センター設立の基本構想である.それに加えて神戸市立玉津病院の結核医療の機能を引き継いで100床の結核ベッドを持ち,一般400床と合わせて500床の病院を,新たに開発された西神ニュータウンに開設したのである.開院6か月目に襲った阪神大地震による当病院の被害は,真に幸いなことに軽微であった.外壁の数か所の亀裂と,内壁の数十か所の亀裂,脱落とのほかは人命にも,重要な医療機器にも全く被害がなかったのは幸運としか言いようがない.
 その病室の目立った特徴の一つとして個室的多床室があるが,それは病棟に集合便所をおかないでおのおのの4床室の出入り口にトイレと洗面所とを設け,またプライバシーに配慮した配置のどのベッドにも窓を設けた構造は,隣の患者と顔を合わさなくてもすむようになっている.これが,まことに評判がよろしく,個室入室希望者がむしろ少ないというありさまである.またセンターコアに置かれた患者食堂は,見晴らしが良く,天気さえ良ければ,建設中の明石大橋まで一望できて,これもなかなか評判が良い.

医療技術革新の展望とこれからの医療政策—ヒト遺伝子研究の意味するもの

アメリカにおけるバイオエシックスとテクノロジー・アセスメントの展開

著者: 広井良典

ページ範囲:P.791 - P.795

政策としての生命倫理(承前)
「国家委員会」の任務と成果
 1974年に設置された「生物医学及び行動科学研究における被験者の保護に関する国家委員会」は,医療における生命倫理問題について,各方面からの専門家およびスタッフが綿密な調査研究そして政策提言を行う国家レベルの委員会の最初の試みであり,しかもその大きな「成功」から,アメリカにおいてこれ以降続くことになるこの種の委員会のモデル的存在となったものである.同委員会は厚生省に置かれ,委員は厚生大臣の任命する11名とされ,うち5名は医学・生命科学研究者,3名は法律家,2名は倫理学者,1名は行政関係者であり,このほかに16名のスタッフが置かれた.議会から与えられた課題は,①ヒトを対象とする臨床研究における基本的な倫理原則を確定するための包括的な調査研究を行うこと,
 ②そうした原則が遵守されるためのガイドラインを策定すること,
 ③必要な行政上の装置にっいて厚生大臣に提言を行うこと,を主な柱とするものであった.
 前回ふれたように,国家委員会設置の直接の引き金の一つが胎児の胚を使った研究をめぐる大きな社会的論議だったこともあり,緊急の課題として,国家委員会は設置4か月以内に胚を用いた研究の在り方についての提言をまとめ厚生大臣に報告すべきものとされた.

厚生行政展望

X線100年と原爆50年

著者: 厚生行政研究会

ページ範囲:P.796 - P.797

 今年は,レントゲンがX線を発見して100年目にあたる.この100年,人類は貧欲に放射線を利用し,特に,医療への応用にあたっては数多くの命を救ってきたが,残念なことに,X線発見のちょうど50年後,広島,長崎において放射線は数万の生命を奪ってしまった.原爆の場合,爆心から数百mの範囲に散った放射線は生物学的影響が強い中性子線が主体であったが,遠方へ到達した放射線はガンマ線(X線)であり,医療機関で日常的に使用されているものと物理的性質は同じである.今夏は原爆投下50周年ということで,放射線利用の陰の部分が強調されているが,放射線被曝に対する不安が助長されすぎると,インフォームド・コンセントが普及するにつれ医療機関における放射線利用や被爆者医療が適切に行われなくなる虞が生じてくる.インフォームド・コンセントの大前提として,医療提供側は客観的な知識を有さなければならない.

ケース・レポート

地域医療連携を軸とした在宅医療—在宅支援型病棟の活用

著者: 中根晴幸

ページ範囲:P.798 - P.803

 地域として在宅医療・ケアを推進するには地域医療システム整備が必要であり,地域医師会と公的機関ないしは基幹病院との協調は重要なポイントの一つである.
 浦和市では平成3年以来,市立病院に設置された医療連携室と30床のオープン床(共同診療型病床)を基盤として,診療所と訪問看護ステーションが在宅医療を受け持つ方式が地域に浸透しつつある.このオープン床には,①共同診療型紹介患者の初期段階での受入れ,②在宅医療患者が病状変化した際の受入れ,③一般病棟入院紹介患者の回復期での受入れ,④退院する患者の医療・介護上の院外向けの情報整理,⑤家族への介護指導など,地域連携・在宅支援病棟としての機能が集約されている.医療が専門分化した今日,こうした院内外に対するコーディネーター機能を主とした病棟の必要性が増すと考えられる.

病院の高齢化対策

埼玉・秋葉病院にみる脳神経外科領域での対応

著者: 田澤俊明

ページ範囲:P.804 - P.805

はじめに
 「高齢化社会」を迎え,脳神経外科でも人口構成の高齢化に伴う疾病構造の変化が起こりつつある.高血圧症のコントロールが良くなり,高血圧性脳出血は減少したが,生活習慣の欧米化で今後は頸部内頸動脈病変の増加が予想される.また,脳腫瘍,脳動脈瘤,脳動静脈奇形,脊椎・脊髄疾患などについても,高齢で初めて発症する症例も多くなり脳神経外科の症例は全体として増加傾向にある.
 われわれの施設は,埼玉県浦和市にある一般病院(医療法人)であるが,これらの問題に対処するため,医療従事者の充足,施設の拡充,設備の充実を図ってきたので報告する.

MSWの相談窓口から

とんでもない話ととっておきの話

著者: 水谷祥子

ページ範囲:P.806 - P.806

退院促進or退院援助計画?
 今年の大阪の医療福祉研修会のシンポジウムで,ある救急病院に勤務しているベテランMSWのA氏より「病院は,冬の時代.経営努力の観点からは,MSWは退院促進係にならざるをえない」という問題提起があった.
 司会者より突然,私が年配ワーカー代表と指名されて,おそるおそる「退院促進係との発言については,そう言わざるをえないような事態になりつつあることを認めるが,今はブラックユーモアとして受け止めておきたい.救急病院での退院援助計画は,時間をかけられない故に,より高度の社会福祉専門性が要求されて大変難しいと思う」と言うと,「水谷さんは,ブラックユーモアと言ったが,病院の機能分類がすすむ中では,今や,退院促進のためにMSWを雇用している病院が増えている.ユーモアとして笑って済まされない時であることを認識すべき」との返答があった.

データ・ファイル

病院職員教育システム検討委員会報告書

著者: 厚生省健康政策局指導課

ページ範囲:P.807 - P.810

1.はじめに
 平成6年1月,「医療機関経営健全化対策検討委員会」(座長:小林功典厚生年金事業振興団副理事長.以下,「健全化委員会」という)は民間病院の経営健全化方策に関する報告書を提出した.本委員会は,この報告を受けて病院の幹部職員や経営担当職員の教育研修の在り方について検討を行うため,厚生省健康政策局長の私的懇談会として設けられたものである.(略)
 本報告書が関係者に活用されることにより,病院役職員の教育研修システムが確立され,今後とも医療の継続性が担保され,国民医療が適切に確保されることを期待するものである.

医学ごよみ

8月—August 葉月

著者: 木村專太郎

ページ範囲:P.811 - P.811

 今月は3人の偉大な医学者の誕生日を紹介する.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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