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特集 大災害に対するリスクマネジメント
災害に対応した医療体制—これからの災害医療
著者: 堀進悟1 相川直樹1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部救急部
ページ範囲:P.847 - P.849
文献購入ページに移動1995年は波乱の年である.1月から6月(本稿執筆中)までに,すでに阪神大震災および地下鉄サリン事件と,タイプの異なる2つの集団災害が発生した.前者は自然災害であり,後者は類例のない毒ガスによる社会的犯罪であったが,共に大都市を直撃し,大きな社会的影響を及ぼすと共に,緊急時の医療対応を必要とした.我々も前者では神戸への救援医療チーム派遣により,後者では死亡1人を含む115人の被曝患者診療により集団災害を目の当たりにする機会を得た1).これらの経験は,救急医療を担う我々に,将来に有りうべき集団災害への対応について,何をなすべきか考える機会を与えた.本稿では,これらの経験を踏まえ,1)行政区分を越えた災害医療ネットワークの整備,および,2)医学教育における災害医療・教育の推進,の2点を提言したい.
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