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雑誌目次

雑誌文献

病院55巻10号

1996年10月発行

雑誌目次

特集 介護保険制度をめぐって

[座談会]介護保険をめぐって

著者: 青柳俊 ,   𠮷岡充 ,   栃本一三郎 ,   増子忠道

ページ範囲:P.926 - P.935

 増子 6月の国会終了以後,介護保険は行く末がはっきりしませんが,この介護をめぐる現状は,医療従事者側にも,あるいは福祉事業従事者側にも重大な問題です.そこで日本での本来あるべき医療と介護との関係,あるべき介護のこれからの充実のさせ方,そのポイントは何かを論議したいと思います.
 最初に,日本医師会を代表して青柳先生から,自己紹介とあわせて医療と介護の関係について,日本医師会のいまの基本的なお考えをお聞かせいただけますか.

介護保険法と老人病院

著者: 猿原孝行

ページ範囲:P.936 - P.940

はじめに
 介護保険法案は1996年7月国会に提出されなかった.だが10月の臨時国会では提出され成立するものと考えられるが,流動的だ.
 地方での介護保険法に対する公聴会も順調に推移しており,国民の反対意見は少ないようにマスコミが報道している.このことを考えれば介護保険法は早いか遅いかの違いはあるものの近い将来,筆者のような施設運営をしている者に大きな影響を与えるものと考えている.

介護力強化病院と療養型病床群の対応

著者: 安藤高朗

ページ範囲:P.941 - P.948

 公的介護保険制度は,老人保健福祉審議会報告ならびに厚生省試案(本試案)がまとめられ,介護保険法案として次期通常国会に提出される予定である.法案では在宅サービスを1999年4月に実施し,施設サービスについては5年後の2001年を目処に実施されることとなっている.こういった内容を踏まえて,公的介護保険制度について介護力強化病院の観点から所感を述べる.

医療機関・施設における介護の国際比較

著者: 黒田研二

ページ範囲:P.949 - P.954

介護の国際比較
 介護保険制度導入の議論とのからみで,しだいに介護という概念がクロースアップされてきた.介護保険制度は,現在,医療と福祉の体系の中で対応されている各種のサービスのうち,要介護の高齢者へのケア・サービスを一元的な費用体系のもとで提供できるよう,制度の組み替えを図ろうとしているところにポイントがある.つまり,従来,医療や福祉サービスに含まれている長期ケアの要素が,介護という概念で包括されようとしているともいえる.この場合の介護とは,医療的ケア,リハビリテーション,看護および対人的ケア,福祉用具の提供,さらに施設や住居といった環境の整備までを含む広い概念である.
 介護の国際比較を行う際,留意すべき点がいくつかある.社会的介護にかかわる政策は,医療,福祉さらには住宅といった分野にまたがって施策化されている.この点は日本および先進諸外国において事情は同様だが,どの分野でどのような対応が図られているかは国によって異なる.例えば,ナーシングホームは米国ではメディケアやメディケイドからも費用が支出されており,医療の体系の一部とみなしうるが,デンマークでは福祉サービスの一部である.スウェーデンでは,これまで医療体系の中で県がナーシングホームを管轄していたが,1992年のエーデル改革によって市の管轄へと移行され,福祉サービスと一体化された.

保健・医療・福祉を連携したシステム

小さな町の小さな試み

著者: 中村利夫

ページ範囲:P.955 - P.956

 奈井江町は,北海道のほぼ中央に位置し,札幌と旭川とのちょうど中間で,人口約7,800人の小さな町です.以前は炭鉱の町として栄えていましたが,エネルギー革命の余波を受けて炭鉱は閉山となり,現在は,農業と中小企業を中心とした町となっています.そしてこの高齢化社会を迎え,また,若者の社会流出が進行し,御多聞に洩れず高齢者の比率が高くなり,20%を目の前にするに至っています.

茨城県の住民参加型地域ケアシステムの試み

著者: 佐々木順子

ページ範囲:P.957 - P.959

地域医療カンファランス
 保健・医療・福祉の連携による在宅ケアは,御調町をはじめとして,医療機関の訪問看護にその端を発した例が多い.茨城県でも,国立霞ヶ浦病院の医師を中心とした地域医療カンファランスによる在宅ケア1)が,1984年から現在まで続いている.行政,福祉施設,ボランティアなどを含む地域の多くの人の参加するその活動は,県内各地に地域ケアの在り方を示し,意欲的な地域では医師会が中心となって事例検討会を始めるなど,保健・医療・福祉の関係者や行政の働きによい影響を与えてきた.
 しかし,茨城県のホームヘルパーの派遣,デイサービス,ショートステイの利用率は全国でも最も低いグループに属しており,県全体からみたときの県民の在宅ケアへの関心は,なかなか高まらなかった.

「時代」と歩調を合わせつつ—済生会泉尾病院グループの報告

著者: 武田惇

ページ範囲:P.959 - P.960

 私たちの泉尾病院グループが所属する社会福祉法人・恩賜財団済生会には,「医療と福祉の両立」および「地域密接型運営」という2つの特色があると自負している.
 とりわけ,明治天皇の「済生勅語」を理念とし,その御内帑金により創設(1911年)された経緯から“済生会人”は「福祉の済生会」を心のどこかで常に意識している.

要介護高齢者の生活介護支援の調整は誰がするのか?

著者: 松本文六

ページ範囲:P.961 - P.962

 高齢の要介護者を支援するためには,従来の病院医療の考え方を大転換する必要がある.これまでの病院は,治療が終わり,その高齢者を退院させれば,すべて終わりであった.しかし,その高齢者が自宅に帰って再び入院しないで済む方策をも提案してゆかなければ,治療をしたことにはならないことに多くの関係者が気づき始めた.地域医療を真摯に追求しようとすればするほど,病院運営の発想を転換せざるを得なくなってきた.このような考え方は超高齢社会を目前にして,広く日本の医療界に浸透しつつある.保健・医療・福祉の統合した活動という広い意味での医療を私たちは追求せざるを得なくなったし,地域医療病院はとりわけ,その方向性が社会より求められている.
 私どもは,良質にして包括的な保健・医療・福祉の一貫したメニューを地域に提供したいと,1980年の病院開設以来努力してきた.15年目にして,病院(101床),2つのサテライト診療所(いずれも無床),老人保健施設(以下,老健)(90床),在宅介護支援センター(以下,支援センター),訪問看護ステーション,健診・健康増進センターをつくりあげ,保健・医療・福祉の連携の中で一人の要介護高齢者をどう支えてゆくのかと考えながらその実現へ向けて努力している.

保健・医療・福祉を連携した在宅ケアシステム

著者: 濱田建男

ページ範囲:P.963 - P.965

蘇陽病院の概要
 当院は熊本市から宮崎県延岡市に向かって車で約1時間20分,標高約600mの九州の尾根に当たり,九州の「へそ」と呼ばれる蘇陽町の南端に位置する蘇陽町と清和村による自治体病院である.病床数57床(一般),常勤職員数61名で,そのうち常勤医師は内科3名,外科2名,非常勤医師は整形外科,眼科,耳鼻咽喉科各1名である.附属施設として,へき地診療所(蘇陽町1,清和村2)歯科診療所,在宅介護支援センター,訪問看護ステーションがあり,一方,公設民営の特別養護老人ホームの嘱託医療機関でもある.

グラフ

地域の中核病病として2次,3次機能を整備—特定医療法人関越病病

ページ範囲:P.917 - P.922

 特定医療法人新都市医療研究会・関越会関越病院は,東京大学第2外科の3人の医師が基金を拠出し,共同経営の実践とプライマリケアを担う病院として1974年に埼玉県鶴ケ島町(現在の鶴ケ島市)に開院された.
 開院以来20年,開設当時は新興住宅地であった病院の周辺も落ち着いた住宅地に変貌した.39床で発足した関越病院は,地域の中核的医療機能と役割を担う病院へと発展している.3年間にわたる新病棟=南館の増築と旧病棟=本館のリニューアルを終えて,従来からの1次,2次医療の機能に加え,3次的機能をも合わせ持つ地域の中核病院として,「急性期の医療を柱に,3次の医療も担える包括的な医療を地域住民に提供できる体制づくり」を目標に新たな歩みを開始した.

第25回日本病院設備学会学会長を務められる日本医科大学医療管理学教室教授 岩崎榮氏

著者: 小山秀夫

ページ範囲:P.924 - P.924

 正義感と責任感が強く,抜群の行動力と物事に対する深い洞察力とを兼ね備え,積極的で肯定的な姿勢を崩すことはない.肺と循環器のスペシャリストとして長年臨床に取り組み,長崎大学医学部第二内科の助手,講師,助教授を歴任し,米国へ心肺機能の研究のため留学されてもいる.
 医局生活の後,国立長崎中央病院で離島の地域医療を本格的にすすめこの体験がプライマリ・ヘルス・ケアの重要性を確信するのに役立った.「医療が医師1人ではできない,コメディカルスタッフの方々と協同でしか成立しないこと,終局的には地域住民や患者の協力が必要なことを痛いほど経験することができた」と25年間の地域医療体験を総括した.

主張

人事考課制度の導入を!

著者:

ページ範囲:P.925 - P.925

 多くの病院においては,「1997年度の新入職員採用」も無事に終了し,来年度以降の事業計画に基づいた人事計画の検討が行われていることであろう.「今年の採用者は優秀であった」とか,「今回の採用者をこのように教育してみよう」とか,新入職員に対する病院管理者の熱き期待が感じられる.このような期待は,病院の経営悪化に伴う組織活性化のためであろうが,現状においては小手先の対策では対応が不可能な状況に陥っていることを病院管理者は認識しなければならない.
 ところで病院の経営活動であるが,計画された収入の確保とそれに見合う経費のコントロールを行う経営活動は一般企業と同じである.むしろ一般企業に比較すれば,病院の経営は比較的楽であろう.人件費の増加を加味した2年に一度の社会保険診療報酬の改定は,なんら病院として企業努力もせずに収入の確保を可能としているし,医療法,診療報酬体系下に基づく人事配置を行えば人件費相当は確保されており,人事面での積極的な対応を行う必要もなくなっている.大規模な設備投資を行わない限り,企業としての存続は保障されているのである.しかしながらこのような環境はいつまで続くのであろうか.最近の厚生省の医療保険審議会などの各種審議会の経過を見る限りにおいては,このような優遇された環境の継続は期待できないことは明らかである.

病院進化論・5(最終回)

進化の加速と寿命の短縮化

著者: 古川俊之

ページ範囲:P.966 - P.970

病院建築の耐用年限(寿命)の短縮
 記録を繰ると,日本の代表的な総合病院では,母屋が戦後2〜3回は改築されている.戦後の病院は廃屋のようなありさまであったし,復興期に建てられたのも安普請であったといえばそれまでであるが,実は時代とともに病院建築の寿命が短縮しているのではないか? その根源には医療の進化の加速が,施設・装備や建物の更新を不可避のものにしているようである.例えば施設階(inter-stitial space)は,病棟のフロア間にかなり高い空間を設け,電力,上下配水,各種医療ガス,さらに搬送装置を収容する工夫で,将来の装備の新規導入ばかりか増築に当たってさえ,改築なしに対応できるといわれた.もちろん欧米の新築病院で取り入れられた.ところが病院の重装備化が急速に進んで,施設階の役割は今では搬送システムのみとなった.日本で施設階はまだ神戸中央市民病院と東京大学附属病院しかないのに,技術の進化と新旧交代の勢いが先行している.
 日本では鉄筋鉄骨コンクリート製の建造物の耐用年限はおおむね50年と決まっている.昨年の阪神淡路大震災を機に耐用年数を調べると,50年どころか1971年と1981年の2回にわたって建築基準法が改正され,それぞれの時期より以前の建造物は耐震性に疑問が呈されている.これまで紹介してきた海外の病院建築の中にも,地震国の日本では許されない構造のものもある.

特別寄稿

緩和ケアと一般病院の対応

著者: 武田文和

ページ範囲:P.971 - P.975

はじめに
 今回の寄稿について編集室から,一般病院が緩和ケアの導入にどう対応したらよいのかとの課題をいただいたと受け止めている.
 私が働く埼玉県立がんセンターは,専用の緩和ケア病棟(いわゆるホスピス病棟)を持っていないが,病院全体で緩和ケアマインドのがん医療を実践している.がん専門病院であることが,一般の病院よりも早く緩和ケアの考え方を導入することに有利であったかも知れない.しかし,どの病院においてもがん患者の受診率が高くなっており,一般病院にもがん専門病院にも同じ社会の住民が受診しており,その社会にはがんであるか否かにかかわらず,患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を向上させる緩和ケアへのニーズが高まっている.筆者のがんセンターがこのニーズに対応してきた経緯を紹介し,がん緩和ケア導入への対応を考えてみたい.

厚生行政展望

O−157について

著者: 厚生行政研究会

ページ範囲:P.976 - P.977

千人の死
 本年6月1日,岡山県邑久町で小学生が死亡して以来,日本中が0-157で明け暮れた.0-157による死者も十数人を数えている.厚生省「食中毒統計」上では病原性大腸菌による食中毒事件数は例年30件前後であり,特に増加傾向にあるわけではない.病原性大腸菌は発症までの潜伏期間が長いために臨床現場では食事との関連づけがなされにくく,集団発生が見過ごされがちである.当の患者自身,自分の現在の腹痛の原因が1週間前に食べたものにあるとは思わないであろう.保健所から喫食調査をされたところで,1週間前に食べたものなど思い出せるわけがない.かくして病原性大腸菌は,食中毒統計に晒されることも少なく,世間からの警戒を逃れて賢く日本社会を侵食してきたのであろう.
 食中毒統計はごまかすことができても,死亡統計(人口動態統計)はこまかせない.死亡統計上は「腸管感染症」としてカウントされるものに紛れているのであろうが,1995年統計では1,096名がその診断名(その9割以上が「診断名不明確な腸感染」)で死亡している.1994年は945名であった.1994年統計について,死亡数の年齢階級別内訳を表1に示す.若齢者死亡も結構多く,小学生が「腸管感染症」で死亡するのは今年に限った話ではない.

連載 アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第24回 病院食事サービスのパラダイムシフト

病院食事サービスのパラダイムシフト

著者: 長澤泰

ページ範囲:P.978 - P.979

■中央配膳方式の限界
 病院近代化の担い手として,近年導入されてきた様々な院内業務の中央化.給食業務もこの例に洩れない.かつて各病棟で調理・配膳していた業務を1か所の厨房ですべて行う中央調理・配膳方式が,現在では当たり前のように病院に導入されている.
 確かにこの方式は,調理機器や空調・換気・給排水設備を集約できるため,同じ予算で水準の高いものを導入でき,また調理師の協力態勢や栄養士による管理も容易という利点がある.しかし,以前は調理が済めば片端から患者に配れば良かったのだが,今度は,調理された食事の清潔と適温を保って遠くの病棟の各患者に搬送する方法を考えなければならなくなった.つまり,中央調理は良いとしても中央配膳が問題をはらんでいたのである.

給食システムと関連施設

著者: 堀田正治

ページ範囲:P.979 - P.982

 ホスピタルアメニティの向上の一環として食事サービスの改善は不可欠であるといえます.適時適温給食,精度管理された治療食,患者への個別栄養教育という目標と並んで,選択メニューの導入や,病棟食堂の整備により給食に「ふくらみ」をもたせること,外来者や職員を含めて食事提供できる施設を備えることなどにより病院全体の食事サービスのレベルの向上を目指します.

フルセレクト,フロア管理,クックチル—給食システムの改革を

著者: 金谷節子

ページ範囲:P.983 - P.987

■革命期に突入した病院給食
 病院給食は,1994年の食事療養費導入に代表されるように今,大きく変わろうとしている.医療が自己決定権に代表されるインフォームドコンセントの波に洗われていることと同じである.当院では,主食,主菜,副菜,デザート,飲み物などを毎日,前日オーダによるフルセレクトメニューを実施しているのも,インフォームドコンセントの一環と考えているからである.病院給食の最終目標は「誰でもが,食べたいときに食べたい物を食べることができ,かつ,栄養管理が1人1人になされ,疾病の治療,予防,アフターケアが食事を通して行われることである.」と思う(表1).それはレストランである.
 本稿ではその理想に向けて,現在,当院ではどのようなシステムを採用しているのか,また,地域の中核病院として,当院を取り巻く教育,福祉の各種施設との関連,また在宅にターゲットを絞り,センター給食への道をさぐる.

新しい精神保健福祉法と病院の対応・6

司法精神医学の視点から

著者: 山上皓

ページ範囲:P.988 - P.991

 欧米の多くの国の精神保健法は,触法精神障害者に対して司法および医療双方の要請を配慮した適切な処遇をなし得るように,刑法・刑事訴訟法の規定と密接かつ有機的に関連する諸規定を有している.わが国の精神保健法にはもともとそれがないうえ,今回の法改正でもその点への配慮は全くなされておらず,その意味では新しい精神保健福祉法に,司法精神医学の視点からみて評価すべきものはない.
 現行の規定の中で精神障害者の触法行為と関連の深いものとして措置入院制度に関するものがあるが,これについては今回,従来の公費優先から保険優先へと重大な政策変更がなされた.措置入院制度がこれまで負ってきた保安的な側面を払拭し,医療上の措置として純化するという意味においては,それなりに意味を持ちうる変更かも知れない.しかし,そうであるとすれば,国は一方において,毎年1,000人前後生じている触法精神障害者の処遇問題に関し,何らかの責任ある制度を用意する必要があるであろう.

病院管理フォーラム

[薬剤師の新たな業務]外来患者への服薬指導

著者: 坂倉智子 ,   厚田幸一郎

ページ範囲:P.992 - P.993

 医薬品は患者に正しく使用されることによって,はじめてその本来の目的を達し得るものである.いかに優れた医薬品であっても,患者に適切に使用されなければ,十分に効果を上げることはできない.特に最近の医薬品は,強力な作用を有する反面,副作用も重篤である場合が多く,また剤形の多様化に従い,使用方法の複雑なものが増加している.さらに,慢性疾患の増加に伴って多剤併用処方や長期処方が増す傾向にあるのに加えて,患者が医師の指示どおりに医薬品を服用していない服薬不履行(ノンコンプライアンス)の比率が高いという現状がある.
 このような背景のもとに,適切な薬物療法を行うために,薬剤師が患者に対して服薬の目的や意義,服用方法や使用方法,使用上の注意,保管上の注意などを十分に説明し,また患者からの質疑に対応し,さらにその服薬コンプライアンスのチェックなどを行う服薬指導の必要性が強く求められている.

癒しの環境

病院のサウンドスケープ

著者: 服部俊子

ページ範囲:P.994 - P.995

現代のサウンドスケープ
 あなたがいつも聞こえている音にどんな音の種類がありますか?
 発車のベル,ポケットベルや携帯電話の音,目覚まし時計のベル,机の引き出しの音,同僚の声……いったいどれくらいあげられますか?きっと20個もあげられれば,非常に音に敏感なのかも知れません.聴覚は24時間無意識のもと働き続けてくれます.そのため,とても疲労していても,本人にとっては,あくまでも無意識のストレス要因となっていることはいうまでもありません.

訪問看護ステーション 実践レポート—北から南から

地域に根づくステーションを目指して—港北医療センター訪問看護ステーション

著者: 乙坂佳代

ページ範囲:P.996 - P.998

はじめに
 1992年4月から実施された老人訪問看護制度は,1994年10月には健康保険法の改正で対象者が拡大され,また3回の診療報酬の改正を経て経営的にも改善を図ることが可能となってきています.
 港北医療センター訪問看護ステーションは1993年7月に横浜市のモデル事業を受けて横浜市医師会を事業主として開設し,1995年10月に港北医療センターが事業主となって活動を続けています.開設から2年余りを経て地域の中での役割もみえてきました.当ステーションの活動を紹介し,これからの課題を考えてみます.

データファイル

今後の医療保険制度改革について

著者: 医療保険審議会

ページ範囲:P.999 - P.1002

 ■本稿は,改革案を策定する前に複数の選択肢を国民に提示して議論を深めていただく観点から,現段階において考えられる改革メニューを幅広に取り上げ,今後の議論の素材として取りまとめたものである.
 当審議会においても,以下のメニューを基として中期的な改革ビジョンと9年度を含む当面の制度改革案の作成を行うこととしており,今後,その双方について平行して集中的な審議を行い,具体的な検討を深めていく予定である.

医学ごよみ

10月—October 神無月

著者: 木村專太郎

ページ範囲:P.1003 - P.1003

□3日 卵管の記述者
 卵管のことを“Falloppian tube”(ファロッピウスの管)というが,この卵管について記述したファロッピァ(Gabriele Falloppio,1523〜1562)が,結核のためイタリアのパドア(Padua)でこの日に亡くなっている.ファロッピウス(Falloppius)はラテン語,ファロッピオ(Falloppio)はイタリア語読みである.彼はイタリアのモデナ(Modena)で生まれたが,誕生日は不明である.
 ファロッピアはまずフェラーラ(Ferrara)で薬理学を講義しながら解剖学を学び,1549年にピサ(Pisa)大学解剖学教授に就任した.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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