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文献詳細

雑誌文献

病院55巻12号

1996年12月発行

特集 「薬害問題」から学ぶこと

薬害エイズ—その原因,比較と葛藤

所属機関: 1

ページ範囲:P.1151 - P.1153

文献概要

はじめに
 1982年7月16日,アメリカのCDC (US Center for Disease Con-trol)の有病率および死亡率の週刊レポート(Mobidity and Mortality Weekly Report)は,血友病A型の患者におけるカリニ肺炎の3症例を報告した.3例とも同性愛者ではなく,また経静脈的薬物の使用の既往がなかった.これらの症例はその後エイズと呼ばれる疾患に罹患していたが,当時はまだわからない原因によって血液を介して感染する可能性を提示していた.そして,これらの3例によって次のようないくつかの重大な課題が提起された.アメリカに血液を通して感染するよく理解されていない致死性の新しい疾患が存在するのか? これらの3例は血液の収集政策に対して抜本的に考え直すのに十分な根拠を与えるのか?献血者はこれまで賞賛の対象であったが,死をもたらしたということでむしろ追及されるべきなのであろうか? もしこの新しいまだわからない危険性に対抗して血液を確保しようとすれば費用が増大し,かつまた死をもたらす可能性があるのか?これら3症例はまちがった警鐘となったであろうか? これらの疑問に対して簡単な回答はなかった.
 それから約15年後の現在おいても,アメリカにおいてはHIVによって汚染された血液および血液製剤の供給に対して追及がなされている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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