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雑誌目次

雑誌文献

病院55巻4号

1996年04月発行

雑誌目次

特集 二交替制看護を追う

何故二交替制勤務か—ようやく選択できる時代に

著者: 高橋美智

ページ範囲:P.322 - P.325

はじめに
 「入院=小さい引越」.こんな風景が解消される方向に向かって半世紀.病院もようやく利用される人々を中心に据えた体制の在り方や,提供する医療の質,入院生活の質にかかわる諸サービスの内容等が問われるようになり,それに対応するための取り組みがクローズアップされるようになってきた.
 病院を構成する要素の中でも大きな範疇を占め,かつ利用者と最も近い関係で働く職員を管轄する看護部門は,部門自体が中心になって変革に取り組まなければならない課題をたくさんかかえている.中でも本特集テーマを含む,“看護職員の勤務体制”は,患者,看護婦,病院経営者をはじめ多方面から大きな関心が寄せられている課題の一つである.

看護サービスは24時間

著者: 嶋崎佐智子

ページ範囲:P.326 - P.329

はじめに
 看護サービスは,人びとの求めに応じて,24時間を通しいつでも,どこででも提供されなければならないのは当然のことである.しかし,保健医療専門職が行う看護実践としてどのように具体化できるかは,医療関係職種に関する法律,費用の支払い方を含めた医療制度の中で示される一定の規則等に拠ることとなり,社会の変化や医療環境の変化に即して十分な対応ができているかとなると,多くの問題を抱えていると言わざるを得ない.
 我が国の医療の在り方は,社会の動きに伴って変化しており,各種検討会や諸団体等が時に臨んで提言を行い,指針を示すなどしている.「国民医療総合対策本部中間報告」(資料1),日本病院会の「病院憲章」(資料2)がその例である.看護についても,「看護体制の改善に関する報告ならびに病院看護管理指針」,「看護制度検討会報告」等が出された.このような経緯と法律・制度改正までの間にはさまざまの経過があったが,医療法,老人保健法,健康保険法等の改正によって,医療は,人びとの生活を重視した実践を目指し,看護は,地域における看護サービスとしての重要性を持ち,独立した事業を行うことも可能になった.

疲労と二交替制

著者: 市川幾恵

ページ範囲:P.340 - P.343

はじめに
 夜勤といえば,均等三交替制の日勤,準夜,深夜という時間帯を勤務するのが主流である.そして夜勤は食事時間,睡眠時間の不規則化や胃腸障害,慢性疲労の原因となって生体リズムに反することは経験的にも明らかである.
 夜勤が看護婦の生体に及ぼす影響についてはすでに多くの検討がある.看護婦の退職理由のなかに「夜勤が辛い」「体力的に夜勤を続ける自信がない」「もっとゆとりのある生活がしたい」などの声がいつも聞かれていた.週休二日制となり労働時間は週40時間にはなったが,増員なきこの制度はわれわれに労働増加を余儀なくしている.さらに医療の高度化は看護業務の高密度化であり,それは看護需要の増大でもある.しかし病院経営はかってなく厳しい時代を迎えている状況であり,コスト削減を目指しつつケアの質を向上させてゆく方法を探ることが看護管理者の課題である.

看護労働形態の多様化に関する法的・経済的側面の検討

著者: 山﨑慶子

ページ範囲:P.344 - P.350

はじめに
1.働きやすい勤務体制への変革のための法的検討の必要性
 従来病院で働く看護婦の世界では,看護婦は夜勤をやって当然,そうでなければ半人前という,堅い信念が共有されてきた.したがって,夜勤ができないまたはしたくないという個人的な事情や意志は,一律にわがままとして退けられてきた.夜勤をしない半端な労働力は,たいていは日勤のみの外来勤務で,ほぼ所定労働時間で働くパートタイム労働者となるか,それが適わなければ潜在看護労働者として労働市場からの撤退を余儀なくされていたことは,改めて述べるまでもない.したがって看護婦が夜勤をしない働き方の選択に,市民権を与える必要がある.同様に,夜勤を選択することも,相応の評価によって,正職員としての夜勤専従者を確保できると考えられる.
 看護婦の労働形態を多様化しようとする時,現行法の範囲内ではどのようなことが可能か,夜勤をする場合にも,夜勤のみをする者と,日勤と夜勤とをする者,さらには,日勤と夜勤とをする者でも,日勤中心の者,夜勤中心の者など働き方のバリエーションを認め,ふさわしい処遇をすることによって働く側の選択肢を増やすことが必要であろう.勤務帯が日勤か夜勤かという軸だけでなく,総労働時間の長短による軸も想定される.

二交替制勤務についての検討

著者: 相川文子

ページ範囲:P.351 - P.353

はじめに
 従来,看護婦の勤務体制は三交替が基本とされておりました.基準看護承認を得るにも三交替を原則とされていたため,中小病院にとっては,マンパワーの面からもその実現は困難な道程でありました.数年前より,二交替制での基準看護も比較的容易に承認されることとなり,このことが看護婦の業務意欲を高め,ひいては,入院患者に対しより質の高い看護を提供する結果へとつながっております.
 当院でも1991年より基準看護を認可され,以前よりケアの行き届いた看護を実施できるようになりました.その経過と,現状とを述べることにより,いろいろな面から二交替制について検討してみたいと思います.

フレックスタイムの活用—365日24時間巡回介護サービスの実践を踏まえて

著者: 井上敏機

ページ範囲:P.354 - P.357

はじめに
 フレックス勤務という言葉は,私たちの仕事の分野ではあまり聞き慣れない言葉である.一般的には,一日のうち皆が一緒に仕事をする時間帯(コアタイム)を設け,その時間に合わせ,前後の時間を働く者が自分の都合に合わせて勤務することを言っている.このことは始業時刻と終業時刻とを同一にする必要のない業種では,同一にしなくても良い,拘束時間数だけ労働すれば良い,というきわめて合理的な考え方である.
 また,職種に応じた勤務形態があることは,他の職種を見ても明らかである.ホテル業を例に取れば,忙しい時間帯は朝と夕方以降とであるし,盆,正月は書き入れ時である.当然その時間帯,時期には必要な労働力を確保しなければならない.また,最近流行のコンビニエンスストアは24時間営業である.

〔座談会〕二交替制勤務の評価

著者: 竹内實 ,   原ハツエ ,   谷川睦子 ,   藤枝知子 ,   紀伊國献三

ページ範囲:P.358 - P.367

 紀伊國 本日は,「二交替制看護を追う」という『病院』の特集テーマのもと,看護界の関心の的である“二交替制勤務をどう評価するか”を,実際に実施しておられる先生方にお話し合いいただきます.
何故三交替でなければならないか
 紀伊國 まず竹内先生,何故二交替制と考えられたのですか.

二交替制看護の現場の声—管理者として/看護婦として

二交替制勤務の成果

著者: 真柴裕人

ページ範囲:P.330 - P.330

はじめに
 20年間,国立の大学病院において診療科長の経験をした.また,その間,病院長も勤めさせていただいた.「ニッパチ問題」で折衝し,三交替制の枠の中で,限られた人数のナースの勤務体制について工夫を凝らしたつもりであったが,結局,増員しかないというはなはだ智慧のない結論にしか到達し得なかったという後悔が残った.また,病院の新築設計に関連して,ナースステーション,処置室,病室,専用カンファレンスルーム,休憩室の配置等に配慮した.カンファレンスルームの休憩室への転換を主張する一部ナースと面談,説得する機会のあったのも忘れ難い.
 大学病院を辞し,呉共済病院に移ることを公表した時,ある婦長から「呉共済病院では二交替制勤務という特徴のあるシフトをとっています」という話を聞き,関心を抱いて赴任することとなった.

ナースが選んだ働きやすい勤務体制

著者: 畑瀬初美

ページ範囲:P.331 - P.332

はじめに
 当院の二交替制勤務は試行の時期を含めて11年が経過した.そして今では「動きやすい勤務体制」としてすっかり定着している.

二交替制看護の実施状況と評価

著者: 梅園明

ページ範囲:P.333 - P.334

病院の概要
 当院の概要をまず述べる.
 ①許可病床数544床.

経験により勤務体制は前進できる

著者: 遠山千恵子

ページ範囲:P.334 - P.335

導入までの経緯
 1991年度,看護婦不足も手伝ってか三交替制勤務に対する不満は70%にも達していた.そこで「看護婦を長く続けられる」,「生体リズムが保てる」,「仕事に満足感が得られる」勤務体制の模索が始まった.
 1993年,希望者による日勤・夜勤完全分離型と三交替制との併用,1994年,2病棟での変則三交替制を経て,1995年二交替制を全病棟で3か月間試行の後,11月から導入した.

部分的夜勤専従看護を取り入れた二交替制の試み

著者: 小林武彦

ページ範囲:P.335 - P.336

はじめに
 当院は,196床の地方の地元密着型の病院である.56床の急性期一般病棟と,140床の療養型病床群病棟とを併せ持っている.今回は,急性期一般病棟を中心に,現在当院がとっている変則二交替制・一部夜勤専従制・夕方早朝の援助勤務体制につき,導入の経過,その実態などを明らかにしたい.

選択できる勤務体制を目指して—夜勤専従を試みて

著者: 北川美恵子 ,   杉浦博子

ページ範囲:P.336 - P.337

はじめに
 近年,働く女性の増加に伴い,結婚,妊娠,育児をしながらも勤務をする看護婦が増えてきた.しかし,交替勤務で不規則な生活にやむなく退職,または非常勤にならざるをえないのが現状である.慣れた職員の長期的な勤務を可能とするためにも二交替制勤務に夜勤専従制を導入する意義があると考え試行調査をしてみた.調査は「労働科学研究所」越河らの指導を受けて実施した.
 以下に当院の看護体制を記す.

救命救急センターにおける二交替制看護

著者: 林成之

ページ範囲:P.337 - P.338

はじめに
 これまで,ナースステーションを中心とした診療体制は,ICUにおいて医療内容の高度化やそれに対応するICUモニターの進歩によって,刻々変動するICU患者の管理には必ずしも充分対応できないことが指摘され,チーム医療における医師・看護婦の役割,専門的看護・管理技術の確立,医療人の意識改革,医療設備の充実,診療体制の工夫など,重症患者を治すためにはどのようにすべきかが改めて問われるようになってきた.これらの背景をふまえて,救命救急センターにおける二交替看護体制の意義,問題点,その導入評価について述べる.

救命救急センターにおける12時間二交替制勤務の評価

著者: 松月みどり

ページ範囲:P.338 - P.339

はじめに
 当施設では1991年11月の開設時から12時間二交替制勤務を行っている.今回は看護婦満足度などのアンケート結果から,この4年間の12時間二交替制勤務を三交替制勤務を行っている看護婦との生活タイムスタディーを比較し,看護婦の二交替制勤務に対する満足度の変化について考察する.

グラフ

113年の歴史をもつ県下最古の民間病院—財団法人磐城済世会松村総合病院・舞子浜病院

ページ範囲:P.313 - P.318

いわき市の医療事情
 上野から常磐線の特急で2時間20分でいわきに着く.いわき駅は少し前までは平という駅名であった.いわき市は昭和41年に5市4町5村が合併してできた.福島県南部で茨城県に接している.年間平均気温が14℃で冬も降雪がほとんどない温暖な地域である.人口は約36万人.市街地や都市機能が各地に散在した広域多核都市である.近年,産業基盤や都市基盤の拡充が図られた.工業を基幹として水産業,農林業,観光などの経済が市を支えている.常磐,磐越自動車道の開通など交通体系の整備により,市の近代化が急速に進んだ.
 駅周辺の街並や道路もきれいに整備され,近代的な町に生まれ変わった.いわき駅から徒歩7,8分のところに松村総合病院があり,さらにそこから車で約15分,松林が続く舞子浜海岸の近くに舞子浜病院がある.

第37回日本人間ドック学会会長を務める 日本赤十字社熊本健康管理センター所長 小山和作氏

著者: 日野原重明

ページ範囲:P.320 - P.320

 小山和作先生は昭和7年長崎県に生まれ,昭和35年熊本大学医学部を卒業された.大学では内科学を専攻され,昭和48年に内科の講師になられるまで臨床に携わる一方,地域の予防医学にも献身された.患者の治療もさることながら,疾病の予防の重要さを早くから認識されていた.
 臨床医学に比べて遅れがちであった予防医学に本腰を入れて取り組んでみると,大学にいて片手間で出来ることではないことが分かり,昭和47年に財団法人を設立して本格的に予防医学に邁進することになった.先生の情熱とパワーの賜物で昭和53年には日本赤十字社熊本健康管理センターの誕生をみ,初代の所長になられた.以来「健康医学」一筋に17年間赤字を出さず,280名の職員を抱え,年間30万人の健康管理を手掛けるまでになった.ビジョンをもつこのセンターには若い医師が勤務したいと申し出ることが多いという.

主張

「大過なく」をタブーに

著者:

ページ範囲:P.321 - P.321

 春は人事異動の季節でもある.公的な職に就いておられた方から,大過なく過ごすことができたというご挨拶状をいただくことが多い.その意味は謙遜を込めたものであろうし,儀礼的な意味もあろうが,はたして「大過なく」は管理の立場からは適当な表現であろうか.
 看護の勤務体制など,新しい試みを病院はますます必要とするのではないだろうか.護送船団方式と呼ばれたように,他の医療機関が行っていることを,そのまま実行すれば何とか存続することができた時代は急速に変化しつつある.環境の変化を捉え,対策をいち早く実行することがこれほど求められる時代はない.

厚生行政展望

新規施策と医療費抑制

著者: 厚生行政研究会

ページ範囲:P.368 - P.369

 昨今のように財政事情が厳しくなってくると,政策決定者にとっては「医療費抑制」効果という言葉が,新規施策を打ち上げる際の隠れキーワードとなってきている.すなわち,医療費抑制効果の薄い施策は新規施策として財政当局に受けが悪いということである.裏返して考えれば,新規に打ち出される施策については,医療(関連)産業全体の収支構造をより厳しい状況へと追い込む可能性に警戒が必要であるということである.しかしながら,経済的に不安定なサービス産業が良質のサービスを永続的に提供できるはずのないことは経済学のイロハである.医療というサービス産業の良質な発展に責任を負う厚生官僚は,あれこれと知恵をしぼって,「理論」的には,すなわち財政当局への説明資料上では絶大な医療費抑制効果があるのだが,「実際」的にはGNPの伸び程度の産業発展が保証される仕組みを考えねばならない.

対談シリーズ 介護問題をめぐって・7

地域リハビリテーションの今後の展開と介護問題

著者: 大田仁史 ,   堀尾愼彌

ページ範囲:P.370 - P.377

生活拡大のための在宅でのリハビリ
 大田 私は介護制度については素人ですから,堀尾先生に整理をお願いしたいと思います.まず,地域リハビリテーションをどう考えるかということですが,ここでは在宅で生活をしておられる人にとって,リハビリテーション(以下,リハと略)といわれるサービスがどのようなものかということに限定して話を進めたいと思います.
 障害者や高齢者が在宅で生活をしていく上でリハがどういう役割を果たすかというと,大きな理念ではノーマライゼーションの中で語られるべきことだと思います.具体的な活動としては,障害を持つ人たちの生活を拡大できるように心身両面からアプローチすることだと思います.

連載 アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第18回

愛知県がんセンター

著者: 石田好

ページ範囲:P.379 - P.386

 愛知県がんセンターは,1964年に東海地方におけるがん対策の初の総合施設として病院と研究所とを併合して開設された.以来,がんの診断・治療・研究で多くの実績をあげ,国内外にも高い評価を得てきた.
 しかしながら,近年の医療技術の高度化,年々増大する医療需要に対応するためには,その施設も老朽化・機能拡充による狭隘化が深刻化してきた.ここに,来るべき21世紀に向け「国内外に誇りうるがん医療のメッカ」を目指すために,今回,国際医学交流センターを併設し,病床数も355床から500床に増床する,現敷地内での全面的な改築計画となった.

愛知県がんセンターの基本計画

著者: 柳澤忠

ページ範囲:P.380 - P.381

1.日本建築学会東海支部の取り組み
 愛知県衛生部と建築部からの委託により,日本建築学会東海支部設計計画委員会で「愛知県がんセンター施設整備に関する研究」と題する研究を正式契約したのが1986年7月7日で,名古屋大学柳澤研究室が担当した.
 研究内容は,①対がん施設の将来予測,②敷地調査と交通計画,土地利用計画,③現状の施設分析,④全体構成・単位空間の計画,⑤施設規模計画,⑥防災計画・環境計画,⑦段階建設計画,⑧基本設備計画,⑨物品管理・情報管理計画の9項目であった.基本構想・基本計画である.

使ってみてひと言

著者: 小川一誠

ページ範囲:P.385 - P.385

 病院の改築のために患者の意見をアンケート調査し,患者にやさしい病院となることを設計の基本としたとされている.立体駐車場から入る所は外来棟の2階,左手に案内,薬局,会計,受付と並ぶ.受け付けをすませると同じ階の内科系外来,放射線診断部へと進む.外科系外来へはエスカレーターを利用する.患者の流れはスムースであり,現在のところ患者の評判は非常に良い.強いて欠点を挙げるとすればトイレがもう少しあったほうが便利と思う.
 3階は臨床検査へともつながっている.廊下を歩きつつ中央を見るとアトリウムがある.ここは1階から4階までの吹き抜けとなっており,ベンチが置かれ,家族との語り合いの場であるとともに,朝など内部を散歩している患者さんが多い.アトリウムは機能としては採光にも用いられており,病院の中央でまさにシンボル的な憩の場である.
 広いエレベーターホールから,病室へと上がる.8階東,9階東西が個室で,他は一般病室である.ナースステーションはオープンシステムとなっており,患者とナースとのコミュニケーションが気楽にとれる.病室の入口は引き戸となっており,余分なスペースが不要で,しかも,開閉のわずらわしさがない.トイレ,手洗いなどの段差をなくして,点滴を持った移動を容易にしてある.そしてエレベーターを降りた中央と東西の病室の奥にデイルームが設置されており,午後など家族と談笑する姿を見る.

病院経営の新しい指標・2

経営管理評価指標と指標の統合化

著者: 関田康慶

ページ範囲:P.387 - P.390

はじめに
 わが国の病院機能評価方法の推移をみると,財務諸表分析を中心に,収益,費用,患者数,業務量,診療圏などの関連項目評価法が主として論じられてきた1〜3).このアプローチは一般企業の経営評価アナロジーとも考えられ,病院会計準則などのように,病院に適した評価方法を確立しながら体系化が進められてきた.
 他方,病院機能評価の視点から,日本医師会・厚生省4),日本病院会5)が病院機能評価マニュアルを作成し提示した.これらマニュアルでは,病院機能の定性的評価体系が示され,前者のマニュアルでは計量化も行われている.これらは病院の自己評価を促進し,個々の病院の機能向上を期待したものであった.

レポート

大型自治体病院の経営実態を分析する〔第1部〕—500床以上の中核病院50の経営を8〜12年間フォローして

著者: 武弘道

ページ範囲:P.391 - P.394

はじめに
 1987年度を境に日本の病院の経営は年々悪化しており,最近では病院経営改善のためのセミナーなどが各地で頻繁に開催されるようになってきた.しかしながら日本の病院の経営は西欧諸国のそれと大きく異なるところがあり(外来収入,保険点数,医師の採用など),外国の病院の経営分析の方法をそのまま持ち込むわけにはいかず,独自の分析指標を使用せねばならぬ部分がある.
 筆者は1994年の全国自治体病院協議会の病院長・幹部職員セミナーにおいて「平成4年度の大型自治体病院の経営分析」のテーマの下に50の大型自治体病院につき分析を行い報告したが,1996年1月には同セミナーにおいて再度「大型自治体病院経営の昭和62年,平成4年,平成6年度の変化」というテーマの下に講演した.

ナースステーション考・3

佐世保市立総合病院

著者: 山口美代子 ,   梶原正樹

ページ範囲:P.396 - P.398

新総合病院建設決定後の看護部の取り組み
 佐世保市立総合病院は,県北の中核病院として60年の歴史があり,その間増改築を4回経験し,現病院は1990年に移転・新築した.1985年に部門代表で構成する「建設準備院内委員会」が設置された.看護部は“変革”を目指してソフト面の改革と,患者および働く看護職員を尊重した新時代の病院運営について,基本計画の段階から設計者らの助言を得て協議を重ね,委員会に提言した.
 ナースステーションについては,職員が勤務交替しても医療物品の収納探策に迷わない,夜間緊急時に同フロアで物品相互利用を可能とし,看護職員のリリーフ体制をとりやすくする,病室や廊下に物品が溢れないようにする,とし,①面積や設備・諸室形態を共通にして作業拠点を標準化する,②物品収納スペースを確保し,定位置にセットする,ことを基本に据えた.

医学ごよみ

4月—April 彌生

著者: 木村專太郎

ページ範囲:P.403 - P.403

□11日 パーキンソン病
 パーキンソン(James Parkinson,1755〜1824)が,英国のロンドンに生まれた日である.彼の父ジョン(John)は外科医であった.息子のジェームスも外科医であり,ロンドンで開業して大変成功していた.
 後世にパーキンソン病として彼の名前を戴くようになった“An Essayon the Shaking Palsy”という短い論文は1817年に発表された.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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