icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院55巻7号

1996年07月発行

文献概要

厚生行政展望

「薬害エイズ」問題について

著者: 厚生行政研究会

所属機関:

ページ範囲:P.682 - P.683

文献購入ページに移動
罪と罰
 昨今,厚生省に勤務している職員やその家族は肩身が狭い思いをしている.くる日もくる日もわずかな残業手当でお国のために深夜まで働いたあげくに,世間からは「悪い奴ら」みたいな評価しかされないのではやりきれない.それでも彼らは,公務員としての職責を全うするため,日々黙々と働いている.欧米型国家とは異なり,この日本の発展を支えてきたのは,「健全な」議会制民主主義でもなく,「中立公正な」世論(マスコミ)でもなく,綿密かつ周到な行政を司ってきた官僚なのだ,という自負こそが,彼らの滅私奉公精神の原動力なのである.
 「薬害エイズ」問題で焦点のひとつとなっているのは昭和58年から60年にかけての行政判断の是非である.相反する決定に伴うそれぞれのリスクに対して行政判断と行政責任はいかにあるべきか,という論点は重要なテーマであり,この機会に十分に掘り下げるべきところであるが,残念ながら世間の関心は,「真相」解明という名のもとでの製薬メーカーと官僚と政治家との癒着構造の追跡ばかりに向けられている.それはそれでマスコミに任せておくとして,厚生行政のやぶにらみ論評を10年以上もやってきた厚生行政研究会としては,冷静にこの問題を論評してみたい.なお,この問題は,官僚の信頼を著しく失墜させた某省の不祥事とは質的に異なる問題である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら