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文献詳細

雑誌文献

病院55巻8号

1996年08月発行

文献概要

特集 待ち時間解消はどこまでできるか

“待つ”“待たされる”の心理—病院の待ち時間に関する心理学的考察

著者: 松田文子1

所属機関: 1広島大学教育学部心理学科

ページ範囲:P.726 - P.730

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はじめに
 一様に流れる物理的時間に対して,心理的時間は縮んだり伸びたり,人により状況により複雑に変化する.日常生活の中でどういうときに,なかなか時間がたたないと,あるいは時間がとても長いと感じられるか,考えてみよう.「人を待っているとき」,「おもしろくもない講演を聞いているとき」,…….では逆に,どんなときに時間がアッという間に過ぎるか,あるいは時間が短く感じられるかを考えてみよう.「原稿の締め切りに追われているとき」,「飲み屋で同僚と話が盛り上がっているとき」…….
 こうしてみると,心理的時間は,早く過ぎ去ってほしいときにはかたつむりのようにノロノロ進み,ゆっくり進んでほしいときには矢のように飛んでいく,大変皮肉な性質の持ち主のようである.そうすると,病院の待ち時間というのは,実際の時間以上に心理的には長く感じられる宿命なのではないか.取り組む相手はなかなか手ごわい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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