文献詳細
文献概要
特集 待ち時間解消はどこまでできるか
予約診療制度の活用
著者: 馬場富男1
所属機関: 1国家公務員等共済組合連合会総合病院虎の門病院
ページ範囲:P.738 - P.740
文献購入ページに移動予約制度に対する考え方は,病院によっていろいろである.それも外来患者数が多すぎる病院と,多くしたい病院との間の差であるように思われる.従来の外来をそのままにしておくと不定期的に患者のピークが起こり,それが病院全体の機能に悪影響を来してくることは明らかである.予約診療を行うと患者数が少なくなるというが,予約のやり方によっては患者数を多くすることも少なくすることも可能である.
患者数を常に一定数以上確保することは,病院機能の面からみて当然である.良い診療を行うには,まず良い医師(診療陣が患者を引きつける魅力を十分に備えていること)と良い医療設備とが必要であるが,それに加えて患者1人当たりの診療時間を確保することが大切である.このためには計画的な診療時間の割り振りが必要となる.この診療時間が病状によって異なるのは当然で,一般に神経内科などの場合には長く,眼科,耳鼻科などの場合は短くする.しかし,一定時間を割り振った後でも,弾力的な時間の再配分があることを念頭に置く必要がある.この二つがうまくいけば,その病院の診療レベルを質的に維持し,向上させることが可能となる.そして,これが予約制度の最大の目的であり,終局的には患者に良質の医療を提供するという病院の使命に合致する.
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