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医学ごよみ
9月—September 長月
著者: 木村專太郎1
所属機関: 1医療法人喜悦会那珂川病院
ページ範囲:P.907 - P.907
文献購入ページに移動現代医学には放射性同位元素は非常に重要であるが,そのきっかけである人工放射能を発見したのは,キュリー夫人の長女イレーヌ(Irène Joliot-Curie, 1897〜1956)とその夫フレデリック・ジョリオ(Frédéric Joliot)である.今日はこのイレーヌの誕生日である.彼女が生まれたころ,両親は放射能物質分離の仕事に没頭しており,イレーヌの養育を補佐したのは,著名な外科医であった祖父ウージェン(Eugène Curie)であった.とくに1906年に父ピエールが交通事故で死亡したあと,祖父が父の代わりをしてくれたという.その祖父も1910年に他界した.
母のマリーはイレーヌの教育に心を砕いていた.当時の学校教育に疑問を抱いていた科学者仲間は,自分たちの子どもを交代で講義したり実験を指導する「組合学級」を開いていたが,イレーヌもそこで学んでいた.イレーヌが最初に「学校」に入学したのは12歳になってからである.
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