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文献詳細

雑誌文献

病院56巻6号

1997年06月発行

文献概要

主張

責任ある個人

著者:

所属機関:

ページ範囲:P.497 - P.497

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 わが国では今日,社会に広く閉塞感が広がり,それを打破すべく社会保障を含め6つの分野で構造改革が進められようとしている.現在生きているわれわれの視野の範囲にある今後の約30年間,豊かさを実感できる社会を形作っていくためには,まさにわれわれ自身の知恵と努力が求められる.
 制度,政策を論じるときには現在と未来,そして国内と国際的課題とを別々に考え,その連携を図ることが必要である.医療を含めた社会保障制度を議論するときにも同じであり,30年後にどのような社会を想定するかによって,それに向かって今日からどう準備していくかが異なってくる.それが未来からの投影であり,将来の社会に現在の人々が責任を持つことでもある.特に社会保障は,個人の自由によって選択されることと同じ次元で社会全体の秩序を維持することもたいせつである.現在のように若い世代に長期的負担を強いながら主に高齢者の人たちが給付を受けるという仕組みは,将来の社会に与える影響が極めて大きいと考えられる.したがって,手後れにならないうちに従来の制度の延長でなく,新しい制度への大きな変革が求められることになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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