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特集 医療保険改革と病院
今後の医療保険制度改革について
著者: 中村秀一1
所属機関: 1厚生省保険局企画課
ページ範囲:P.600 - P.604
文献購入ページに移動平成9(1997)年5月からの患者一部負担の見直しと政府管掌健康保険の保険料率の引き上げを内容とする「健康保険法等の一部を改正する法律案」が国会で審議されている.今回の法改正が求められた背景は,いうまでもなく近年の医療保険財政の悪化である.
政府管掌健康保険は,1997年度に12年振りに赤字に転落し,以後連続して赤字を計上している.この結果,1996年度には約1兆5,000億円あった積立金が,1996年度未には3,000億円台にまで減少し,他方,将来見通しは,1997年度には単年度で8,300億円の赤字が見込まれ,5年後の2001年度には単年度で1兆7,800億円の赤字に達するという極めて深刻な状況にある.その他の医療保険財政の状況も同様に厳しい状況にある.健康保険組合では,1994年度に赤字組合が全体の5割を超え,1995年度の赤字組合は62%に達し,赤字総額は2,000億円を超えている.国民健康保険でも,1994年度に全体の3分の2の市町村が赤字を計上している.
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