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雑誌目次

雑誌文献

病院57巻12号

1998年12月発行

雑誌目次

特集 退院後ケア

[てい談]これからの医療福祉供給体制と退院後ケア

著者: 白澤政和 ,   桃田寿津代 ,   大道久

ページ範囲:P.1074 - P.1082

在院日数短縮の背景
 大道(司会)本日は鼎談「これからの医療福祉供給体制と退院後ケア」ということで,この問題についてご関心の深い三人の方々にお集まりいただきまして,話を進めさせていただきたいと思います.最初に私からこの課題について,若干の背景的なお話をして,口火を切らせていただきます.
 現在の医療,とりわけ病院医療の流れの中では在院日数の短縮がきわめて重要な課題になっています.その背景としては,平成10年4月の診療報酬の改定で,入院時医学管理料といわれている診療報酬により急性期を想定した病院と,いわゆる慢性期の病院とを区分する動きがあったことです.その2種別の入院時医学管理料の区分点を平均在院日数28日とし,それを境に従来の病院の機能を急性期と慢性期に分けるという方向性が改めて明らかになりました.

クリティカルパスと退院後ケア

著者: 千田治道

ページ範囲:P.1083 - P.1087

クリティカルパス導入とその効果
 済生会熊本病院脊椎関節外科センターでは,平成9年6月より整形外科9疾患にクリティカルパス(以下CPと略す)を導入し,良好な結果を生んできました.現在,CPは31疾患となり,ほぼ全疾患をカバーする態勢となっています(図1).
 こうしたCPの導入にあたって,私たちは当初以下のような効果を期待しました.すなわち,1)インフォームドコンセントの充実,2)医療業務の均一化・効率化,3)在院日数の短縮化です.しかし実際に使用してみると,それに加え以下のようなプラスアルファが出現しました.それは,4)医療行為の見直しと改善,5)医療の高密度化,6)コメディカルのより密接な関与,の3点でした.

退院後ケアと地域医療機関の連携

著者: 阿部理一郎

ページ範囲:P.1088 - P.1091

 地域社会で開業する医師にとって,医療連携は日常の診療において,常に直面する問題である.
 入院依頼や検査依頼といった患者紹介,あるいは,最近では病院から逆に紹介されるケースもあり,信頼できる医療機関との医療連携は,風通しのよい良質な地域医療づくりには不可欠なものとなっている.

退院とケアマネジメント

著者: 鎌田ケイ子

ページ範囲:P.1092 - P.1095

 在宅ケアサービスは介護保険制度がスタートすれば,現在よりも保健・医療・福祉間の連絡が進むと思われる.というのも介護保険サービスは利用者ごとに1人の介護支援専門員(ケアマネジャー)のもとに保健・医療・福祉の諸サービスを統合した形で提供されることになるからである.したがってケアマネジャーによるケアマネジメント機能が適切に機能すれば在宅ケアサービスは現在より一段と組織的・計画的に提供されることになる.
 介護保険制度がスタートして改めて問題となるのが,病院と地域・在宅との連携である.介護保険サービスは,保健・医療・福祉相互の統合連携が図られるが,医療保険制度との組織的な連携までは考えられていないからである.したがって病院から退院する患者に対して,誰がどのように責任を持って連携を取っていくのかは,制度上は明らかにされていない.

退院後ケアと社会資源の活用

著者: 堀越由紀子

ページ範囲:P.1096 - P.1100

 社会資源とは,人が社会生活上の基本的なニーズを充足し,よりよく暮らし,よりよく生きるあるいは死ぬために,活用することのできるものすべてをいう.すなわち,人,モノ,お金,制度やサービス,機関,情報など何であれ,人が自分の生活をよりよくするために活かせるものはすべて社会資源である.これらを患者・家族が用いて生活をよりよいものにしていくのを助ける過程が社会資源の活用ということになる.そして退院後ケアのための社会資源の活用は,退院計画プログラムの一部ととらえることができる.
 1984年に米国病院協会で策定された「退院計画ガイドライン」では,退院計画プログラムを「患者とその家族が退院後の適切なケアの計画を作るのを助けるために病院が提供するべき,部門を越えた病院全体としての(援助の)プロセスである」と定義し,その目的は良質な患者ケアの継続性を保障すること,入院が必要な他の患者にとっての病院資源の利用可能性を保障すること,および退院後の社会資源の適切な利用を保障することであるとしている.患者の入院医療のニードが終了したとき,患者や家族が病院内のケアからセルフケアあるはその他の社会資源によるケアへとタイムリーかつ健全に適応できるように,病院はその責任において患者や家族を支援しなければならないのである.

退院後ケアの実践—良質な療養環境を提供できるシステム作り

著者: 西山雅則 ,   織田正道

ページ範囲:P.1101 - P.1103

 祐愛会織田病院は佐賀県南部の鹿島市にある.鹿島市の属する佐賀県南部保健医療圏は2市10町で構成され,圏域の人口は約18万で,高齢化率は20.4%である.地域の中核病院として国立嬉野病院があるが,当市より20kmと離れているため,当院がこの地域の基幹病院の役割を担っている.病床数は103床で,診療科目は,内科,外科,脳神経外科,耳鼻咽喉科,皮膚科,麻酔科,リハビリテーション科である.関連施設として老人保健施設,訪問看護ステーション,および二つの在宅介護支援センター(鹿島市中央地区,鹿島市西部地区)を有している.

退院後ケアの実践—法人内関係機関との連携の取り組み

著者: 川合秀治

ページ範囲:P.1104 - P.1107

 筆者はそれまでは消化器を専門とした外科医で,昭和60年からは図1の若草第一病院で外科部門担当の副院長として勤務していました.平成元年から(その当時は特例許可)老人病院である若草第二竜間病院に転勤し,老人との本格的なかかわりが始まりました.竜間病院の沿革は図2のとおりです.平成4年からは老人保健施設・竜間之郷の施設長をしています.平成6年から8年までの2年間は竜間病院長を兼務していました.そして今では老年科医というよりも,「おじいちゃん・おばあちゃん担当医」と自称しています.このような体験から在宅医療について多くのことを学んできました.それらの要点をまとめながら,最近経験した一つの実践例をとおして私たちの考えている退院後のケアを説明していきます.
 医療法人若弘会は図1のごとく,類型の異なる病院3施設と老人保健施設(市から在宅介護支援センターの業務委託を受けています)1施設と訪問看護ステーション7か所で運営されています.いろいろと試行錯誤をしてきましたが,ここ10年ほど私たちの法人では病院の基本的運営方針を,

退院後ケアの実践—客観的指標に基づいた退院後の腎疾患患者の管理

著者: 前田憲志

ページ範囲:P.1108 - P.1109

 近年,在宅医療やケアが急速に推進されている.しかし,リスクを上昇させることなく在宅に移行し,必要に応じて再入院,再評価,再訓練を行いつつ,長期に最も最適な管理が実施されるための管理方式はまだ,確立していない.さらに,データベースに基づいた効果やリスクの評価に基づいた管理方法の修正方式についての検討も全国的な規模では開始されていないのが現状である.
 しかし,医療・介護様式が大きく変化するとき,データベースに基づいた医療のむだを省いた最適制御方式の標準化を行うことや効果ならびにリスクの状況を把握して改良を重ねることは必須事項である.

退院後ケアの実践—退院後の生活を支える熊本赤十字病院の取り組み

著者: 開田ひとみ

ページ範囲:P.1110 - P.1112

 熊本赤十字病院は病床数480床,19科の診療科を持ち,県下唯一の救命救急センターを持つ地域中核病院である.1日の平均外来受診者数は1,180名,救命救急センターの1日平均受診者数は110名である.在院日数は17日,病床稼働率は95%以上である.当院の特徴として,入院患者の約40%が救命救急センターからの入院であり,急性期のケアに重点をおいている病院である.
 近年,高齢人口の増加や疾病構造の変化,在院日数の短縮化,ニーズの多様化など社会の変化が著しい.その変化は,医療や看護の場にも大きな影響を与えている.

脳卒中後の在宅老人におけるリスク管理

著者: 大坪亮一 ,   山口武典 ,   在宅老人の家庭内リスク管理に関する調査研究班

ページ範囲:P.1113 - P.1115

 生活様式の変化と高齢化社会を背景に,循環器疾患の有病率は増加し,死亡原因の40%を脳血管障害,心臓病などが占めている.殊に脳血管障害患者では,退院後も後遺症として何らかの障害が残ることが多く,寝たきり原因の第1位となっている.また,在宅療養中の患者における家庭内での再発,転倒による骨折・頭部外傷などの合併事故発生は,問題をさらに複雑化,深刻化させると思われる.
 しかし,これまで在宅療養患者の在宅環境や,在宅療養中に発生した疾患や転倒事故などに関する大規模な調査はなく,在宅療養中の家庭環境,および疾患・事故発生の実態とこれに関与する医学・環境因子についてはいまだ不明な点が多いのが現状である.

グラフ

健全経営を続ける大型自治体立病院—鹿児島市立病院

ページ範囲:P.1065 - P.1070

 幕末から明治維新にかけて活躍した西郷隆盛や大久保利通,東郷平八郎などが育った鹿児島市内の加治屋町.鹿児島市立病院はその町の一角の,甲突川の河畔にある.
 鹿児島市立病院は昭和15年,市立診療所として発足した.20年に市立病院として改組し,23年現在地に許可病床160床で診療を開始した.

第50回保健文化賞を受賞 医療法人高田西城会高田西城病院院長 川室優先生

著者: 藤原満喜子

ページ範囲:P.1072 - P.1072

 川室優先生の視線はいつも「ひと」に向けられ,その眼差しは優しい.
 先生は,障害を持つ人も持たない人も共に生きる真に心豊かな地域社会づくりを目指して,精神障害者の地域ケァ体制の整備・拡充と地域住民への啓発活動に取り組んでこられた.

主張

病院も地球環境問題に取り組みを

著者:

ページ範囲:P.1073 - P.1073

 カエルを熱湯に入れようとしてもすぐに飛び出してしまうが,カエルを冷水に入れ火で熱していくと,そのままゆだって死んでしまうという.地球環境問題というものはまさに人類にとって,このカエルと全く同じことを意味している.人間の存在が地球の自浄能力を超えてしまったために起こっている問題であるが,同時に現在の世代の人々にはあまり実感として感じられないことも事実である.ご存じのように地球環境の悪化に対してはCO2の過剰排出による温暖化や異常気象,砂漠化や酸性雨,オゾン層の破壊や大量の廃棄物処理問題など,多くの要因が挙げられているが,日常の生活を営んでいくうえではそれらの要因による生活に対する直接的な影響はあまり感じられない.しかし,地球環境が確実に悪化していることは極めて明白なことである.これらの問題に対し,将来を想定して,今すぐにでも実行可能なことから問題解決に向かって着手していかなければ,人類が持続可能な成長,ないしは存在を維持していくことは不可能である.地球環境問題にしても,今日の経済の悪化にしても劇的な変化がごく身近に起こらない限り,日本人の対応はとても貧弱なものでしかない.
 わが国の問題意識,あるいは対策の実践と比べて最近のヨーロッパ各国の対応は迅速であり,適切であるように思われる.欧州連合の確立を目指す中で,ヨーロッパ10数か国は大変なエネルギーを費やしながら理想に向かって着実な歩みを続けている.

特別寄稿

イギリスにおけるカルテの開示制度

著者: 宇都木伸

ページ範囲:P.1116 - P.1120

 イギリスにおいては,カルテは1990年の法律によって開示が義務づけられている(コンピュータ化された情報については医療記録も含めて,すでに1984年に一般的に開示されることになっており,その連続線上に手書きの医療記録を乗せたのが90年法であるとみてよい〈Gd 1-3〉).その法の成立直後に政府は『1990年医療記録アクセス法—NHSのためのガイド』という30頁ほどの小冊子を回状として全国の医療関係施設に配布し,関係者への周知方を依頼した.その冊子は,法の紹介・解説を本文とし,付録として①模範申込み書式,②病院記録へのアクセスのガイドライン(これは家庭医も参照することが予想されている〈Gd 6-10〉),③フローチャートおよび④患者への広報シートを備えている(図1に①,2に④を訳出した).
 いま,わが国でもカルテ開示の法制度化が進められようとしているので,イギリスの状況を医療者に知っていただきたく,急ぎ紹介する.ただし,この法律自体はすでに邦訳が公にされているし,ごく最近も法律誌に紹介された(注1).そこで本稿では法規定に関する部分の紹介は最小限度にとどめ,法規定にない解釈や実際の運用にかかわる部分を少し丁寧に紹介することに努めた(法の規定を〈§〉で表し,小冊子本文の解説を〈Gd〉,ガイドラインのそれを〈GL〉と表示した.注2).

地方都市での病院づくりを模索する—諏訪中央病院の増改築

著者: 武井義親

ページ範囲:P.1128 - P.1133

 組合立諏訪中央病院(組織市村:茅野市,原村,諏訪市)は,人口5万3千人の茅野市に,本院235床,分院91床(平成4年開設)で運営されていた.市内の病院は当院のみである.東隣りの諏訪市に諏訪赤十字病院(480床),西隣りの富士見町に富士見高原病院(134床)がある.
 平成5年より本院と分院の統合を目指し,どのような病院にするかマスタープラン推進室を中心に検討を重ね,平成6年から院内マスタープラン委員会で院内の合意を計ってきた.平成8年にドック健診棟を着工し,同年末より運用開始した.同年末には増築棟本体工事も着工し,平成10年2月に完成した.その後既存棟改修工事を行い,平成10年6月には改修工事も終了し,増改築工事竣工式を迎えることができた.新築工事ではなく,増改築工事であったため,様々な制約のなかで病院づくりを進めることとなった.その概要について報告する.

マネージドケアと米国医療の変容

3.マネージドケアの医療費抑制効果と質

著者: 田村誠

ページ範囲:P.1121 - P.1127

 前回は,マネージドケアにより引き起こされた問題や反感,すなわち「マイナスのインパクト」を論じた.今回は,主に統計的手法を用いたマネージドケアの「医療費抑制効果」や「治療の質の評価」に関する実証研究の成果,すなわち「プラスのインパクト」を整理する(注1).

特別企画 シリーズ・ISO9000sの医療への導入を検討する・6

ISO9000s取得と病院医療の質向上

著者: 木村憲洋

ページ範囲:P.1134 - P.1136

 最近医療の質向上に関する関心は非常に高い.果たして質とは何であろうか.医療においては,診療行為の結果(アウトカム)である.簡単に表現すると骨折が治る,心臓バイパスの手術が成功することであり,指標としては臨床評価指標(clinical indicator)など.では,アウトカムは何で成り立っているのだろうか?それは,構造(ストラクチャー;静的な物.例えば,医師が2名,看護婦を5名配置している,MRIを持っている等々,評価指標は日本医療機能評価機構など)と過程(プロセス;動的な物.例えば,手術をどのような手順で行うか,ISO 9000sなど)である.「概念的には(アウトカム)=(ストラクチャー) X (プロセス)がほぼ成り立つ.

連載 医療事故・医事紛争防止とリスクマネージメント・6

医療事故/紛争事例から学ぶ(4)

著者: 川村治子

ページ範囲:P.1138 - P.1140

 平成4年に大腸癌検診が老人保健法の検診項目に加えられて以来,2次検診として大腸内視鏡検査が急速に普及した.この内視鏡検査の普及が大腸ポリープの発見率を高め,内視鏡的ポリペクトミーも増加した.しかし,これに伴い穿孔や出血などの偶発症もまた最近増えている.
 内視鏡偶発症はそのほとんどが示談で解決されるため,医療事故防止としての議論にも上りにくい.しかし,今後の高齢化の進行で低侵襲的な内視鏡的治療はますます普及・発展し適用も拡大していくこと,さらに,内視鏡ポリペクトミーに限らず外来手術は医療費抑制上増加が予想されることを考えると,この領域のリスクマネージメントを検討することは極めて有用である.低侵襲性,外来手術であるがゆえのリスクもまた存在する.そこで,今回は事故事例としてごく一般的な内視鏡偶発症を取り上げ,内視鏡的検査・治療や外来手術がもたらす新たなリスクへの対応について考えたい.

アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第50回

日米医療施設の比較分析

著者: ヴィクトリアS.ダグラス

ページ範囲:P.1151 - P.1153

日米の医療施設:社会的背景の比較
 今日,ヘルスケアは建築において最も重要な分野の一つである.医療施設のデザインはこの100年間で大きく変化し,来世紀にも変わっていく.環境は患者の健康状態に外科学的,解剖学的,生理学的にも,副作用,合併症などにも影響することが明らかになっているが10),これまで患者のケアよりも機能性が優先され,患者,スタッフともにストレスを与える無味乾燥な医療施設が作られてきた.貧困なデザインからくるストレスは心配性や憂鬱,高血圧,引きこもりにもつながるという12,13)
 日米はともに先進工業国であり,経済的にも急成長してきた.生活水準は高く,ハイテク化しており,人口が高齢化している点も共通するが,ヘルスケアは異なった発達をしてきた.その理由としては人種構成,医療費用の負担者,訴訟に関する習慣の違いなどがあげられる.

病院管理フォーラム 院内トータルシステムにおける物品管理・1

院内の物品管理の考え方

著者: 神野正博

ページ範囲:P.1142 - P.1143

 日本経済同様に右肩上がりに増加してきた国民医療費は,先に厚生省から示された1998年度予測で1.1%の減少が推計されている.これは薬価改定に伴う診療報酬の実質引き下げや患者自己負担の増加による受診抑制政策によるものであり,医療業界もついに構造不況業種へ転落しつつあるように思われる.実際,平成9年の全国公私病院連盟による1,150病院の実態分析調査においても,公私病院の70%,中でも自治体病院の実に89%が赤字病院であるという報告がなされている.

看護管理・9

感染管理・3—院内感染防止の活動

著者: 嶋森好子

ページ範囲:P.1144 - P.1146

MRSAの型判別による院内感染経路の調査から
 われわれは,院内感染の感染経路対策を考えるために,MRSAの発生状況についての調査を行った.この調査は,院内で検出したMRSAについて,①コアグラーゼ型,②エンテロトキソン型,③毒素性ショック症候群毒素産生能,④抗菌剤感受性,⑤プラスミドパターン,⑥染色体DNAの制限酵素による切断パターン,の6種類の型判別を行うとともに,患者の移動と医療従事者との接触状況を調査して,MRSAの感染経路について検討したものである1)
 二つの病棟でのMRSA患者の発生状況と看護婦や医師など医療従事者との関連は,図1〜3のとおりである.これらの患者の発生状況からわかるように,医療従事者の不正確な隔離操作や,患者の転室・退院時の病室の清浄化の不完全さが,院内感染の拡大に寄与している可能性が大きいと考えられた.特に,別の病棟に入院している特定の医師が受け持つ患者に,同型のMRSAの発生が見られた.この調査結果を,看護部および医局会などで示して検討するなかで,この医師も含め看護婦および医師それぞれが,これまでの行動を見直すことになった.

癒しの環境

花と癒し

著者: 藤井康広

ページ範囲:P.1147 - P.1147

「花が美しく見えるのは,花が美しいからではない.花を美しいと感じる因子があなたの心の中にあるからである」
 私の好きな言葉である.

MQIの実践—練馬総合病院・10(最終回)

経営戦略としてのMedical Quality Improvement

著者: 飯田修平

ページ範囲:P.1148 - P.1150

 本誌の本年3月号(第57巻3号)から練馬総合病院のMQI活動を紹介した.第1回と最終回の今回は私が院長の立場で,その他の8回は,MQI活動に関与した職員が執筆し,毎回,私の所感を加えた.
 MQIの意義と導入の経緯を紹介することが目的であったので,初年度の活動を中心にした.MQI 3年目の本年は,発展的に,多少趣を変えており,別の機会に紹介したい.

民間精神病院はいま—21世紀への展開・11

三船病院—作業療法の病院から地域医療の病院へ

著者: 三船和史

ページ範囲:P.1154 - P.1157

 三船病院は人口約100万人の香川県の中讃地区丸亀市に位置する病床数597の単科精神病院である(表1,図1,2).1953年に創設され,初代院長の下で精神科作業療法が大規模かつ活発になされ,遠く他県からの見学者や入院希望者が多い時期がしばらく続いた.1981年に筆者が院長を引き継いでからは,時代の流れの影響もあって,地域に視点を置いた社会復帰活動に力を入れる病院へと大きく変貌した.ここではそのように変化してきた当院の医療の特徴と,最近直面している厳しい医療経済下での取り組みについて述べたい.

データファイル

病院機能評価認定証発行病院126病院に

ページ範囲:P.1158 - P.1160

 財団法人日本医療機能評価機構では,医療の質の向上を目指して1997年から病院機能評価を実施してきたが,認定証発行病院は平成10年11月16日現在で,126病院となった.これまで認定証発行を受けた病院は下記のとおり.
 なお,種別は下記のとおり

医学ごよみ

12月—December 師走

著者: 木村專太郎

ページ範囲:P.1161 - P.1161

□1日 「世界エイズデー」とギロチン
 昭和63年(1988)に世界保健機関(WHO)では,世界の人々のエイズに関する知識を高めようと,この日を「世界エイズデー」と制定した.
 今世紀の末まで,世界のエイズ罹患者は3千万人に達するだろうといわれている.日本でも少しずつではあるが増えているが,まだエイズの大爆発感染までには至っていない.これは日本国民の衛生観念が高いこと,あるいは栄養状態がよいことが影響しているものと思われる.

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「病院」 第57巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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