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文献詳細

雑誌文献

病院57巻6号

1998年06月発行

文献概要

主張

病院の外来は罪悪か

著者:

所属機関:

ページ範囲:P.497 - P.497

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 介護保険法案が国会審議を通過し,介護保険の給付が2000年の4月から行われることに決まった.それに伴って医療法の改正が関連法案として議論され,かかりつけ医,地域医療支援病院などのあり方がその後検討されている.また一方,定例的ではあるが診療報酬改定が行われ,世の中全体の景気の低迷と国家財政の逼迫とを理由に社会保障費,かつ国民医療費に対し制度として強力にその抑制が行われる方向になっている.この一連の経過のなかで特に目につく現象として医療の効率性,効果性を主たる課題とし,病院外来の受診抑制が極めて強い制度による拘束のもとに行われようとしている.医療提供体制のあり方上も,さらに診療報酬上も病院が外来診療を行うこと自体が社会的罪悪のように取り扱われていることに大きな疑問を感じざるを得ない.利用者の流れを無視し,経済的観点からのみで,制度により強圧的な変更を強いている.
 地域医療支援病院の紹介率が80%を超えるということは,患者の意思を無視して多くの初診はまず診療所に行けということか,あるいは,受診を控えるということとしてしか理解できず,これはまさに経営の行き詰まっている医師会病院の救済策としか考えられない.診療報酬上は200床以上の病院については外総診と老人再診患者に対する外来管理加算が算定できなくなったというような改正が盛り込まれており,極めて悪意のある対策である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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