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文献詳細

雑誌文献

病院57巻8号

1998年08月発行

文献概要

主張

薬価制度改革の問題点

著者:

所属機関:

ページ範囲:P.681 - P.681

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 薬剤費を削減するためには,「給付基準額(日本型参照価格)制度」の導入が提唱されている.今までは一つ一つの医薬品に対してそれぞれ「薬価」が設定されていたが,新しい制度では,同じような薬効を持った医薬品をグループ化し,このグループに分類された薬に対しては,保険として支払う「基準額(参照価格)」が設定されるようになる.そして,医療機関がこの基準額以下で購入した場合には,その金額を保険から補償することによって,薬価差をなくすことが最大の目的である.また医療機関が基準額以上で購入した場合には,その差額分は患者の自己負担とすることで,一方では保険者の負担を減らし,他方では製薬会社に対して価格を引き下げる圧力がかかることが期待されている.
 ところが,改革案にはいくつか問題がある.第1に,類似の薬効の医薬品に対して同じ給付基準額を設けることになっているが,どこまでを「類似の薬効」とするかによって制度が大きく変わる.「類似」であっても薬効は微妙に異なり,薬効に違いがあるからこそ新たに新薬として認可されている.したがって,例えば副作用の現れやすい患者では,同じ薬効に分類された医薬品の中で,高価なものを使わざると得ない場合もあり,その際に差額分を患者に負担させることは大きな問題である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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