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連載 医療事故・医事紛争防止とリスクマネージメント・12(最終回)
リスクマネージメントの構築(4)
著者: 川村治子1
所属機関: 1杏林大学保健学部保健学科成人保健学教室
ページ範囲:P.1144 - P.1147
文献購入ページに移動 先頃横浜市衛生局は,管轄する5病院のそれぞれにリスクマネジメント(以下,RMと略す)の実務担当者を専任で複数人配置することを決め,RM構築に向けて彼らに対する教育を開始することを発表した.横浜市立大学病院の事故を重く受け止めての市をあげての決断であろうが,一自治体が管轄するすべての病院にこうした人的配置を行い,RMに取り組むことはもちろん初めてである.設置主体を同じくする複数の病院で同時にスタートすることは,RMに関する経験や情報を相互に活用できるという意味でも画期的である.
さて,これまで3回にわたってリスクマネジメントの構築について筆者の体験をもとに述べてきた.わが国の多くの病院に共通した人的制約の中で,いかにRMを構築するかを模索することが目的であった.看護部からスタートし,全体へと広げる方法をとったが,現在1年を経て,一般スタッフにRMに対する共通認識や自主報告制度への理解がおおむね得られ,各部門のRM担当者からなるRM部が形成され,事故やニアミスの自主報告から改善点を検討するための定期的な委員会が開催されるところまでこぎつけた.つまり,総意に基づいて,組織的な事故防止体制への枠組みができたところである.
さて,これまで3回にわたってリスクマネジメントの構築について筆者の体験をもとに述べてきた.わが国の多くの病院に共通した人的制約の中で,いかにRMを構築するかを模索することが目的であった.看護部からスタートし,全体へと広げる方法をとったが,現在1年を経て,一般スタッフにRMに対する共通認識や自主報告制度への理解がおおむね得られ,各部門のRM担当者からなるRM部が形成され,事故やニアミスの自主報告から改善点を検討するための定期的な委員会が開催されるところまでこぎつけた.つまり,総意に基づいて,組織的な事故防止体制への枠組みができたところである.
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