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連載 医療事故・医事紛争防止とリスクマネージメント・7
医療事故/紛争事例から学ぶ(5)
著者: 川村治子1
所属機関: 1杏林大学保健学部保健学科成人保健学教室
ページ範囲:P.163 - P.166
文献購入ページに移動 ヒューマンエラーに基づく医療事故のほとんどは確認さえ怠らなければ,あるいは指示が正確に伝達されてさえいれば起こらなかった事故である.なぜ確認をしなかったのかと悔み,再発防止として「確認の徹底」を誓う.ところがしばらくするとまた似たような問題が起きる.
工程が自動化された業種では確認こそが人間の業務である.確認のポイントは明確でマニュアル化も可能である.しかし,医療ではサービスの種類がまず多種である.また,医師の指示から患者への提供まで複数のスタッフが介在する.確認ポイントは例えば注射一つとっても患者名,薬剤名,量,投与方法や速度,投与時刻と多様である.さらに注射部位の安全性,注射前後の病態確認もある.しかも確認は危機的な状況や,煩雑な業務の中で行われる.つまり,確認もまた専門知識に基づく応用力とスピーディさが要求され,業務の流れの中に無意識的に組み入れられている行為である.電車の発車や通過を確認する駅員のような行動を期待することは所詮無理である.
工程が自動化された業種では確認こそが人間の業務である.確認のポイントは明確でマニュアル化も可能である.しかし,医療ではサービスの種類がまず多種である.また,医師の指示から患者への提供まで複数のスタッフが介在する.確認ポイントは例えば注射一つとっても患者名,薬剤名,量,投与方法や速度,投与時刻と多様である.さらに注射部位の安全性,注射前後の病態確認もある.しかも確認は危機的な状況や,煩雑な業務の中で行われる.つまり,確認もまた専門知識に基づく応用力とスピーディさが要求され,業務の流れの中に無意識的に組み入れられている行為である.電車の発車や通過を確認する駅員のような行動を期待することは所詮無理である.
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