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雑誌目次

雑誌文献

病院58巻3号

1999年03月発行

雑誌目次

特集 病院組織と意思決定—コーポレイトガバナンスとは何か

組織は何のために存在するのか

著者: 小山博之

ページ範囲:P.210 - P.212

 初めにお断りしておきたいのは,筆者は病院経営には全くの素人だということである.以下に述べることは筆者の専門の企業経営に関することであり,その中から読者に病院経営と共通する問題を汲み取っていただければ幸いである.

病院経営とコーポレイトガバナンス

著者: 遠藤久夫

ページ範囲:P.213 - P.215

コーポレイトガバナンスとは何か
 1980年代,わが国の企業経営上のキーワードとしてコーポレイトガバナンス(以下CGと略す)という言葉が登場した.筆者の理解するところでは,CGはやや異なる二つの意味で使われている(表1).一つは株主(すなわち企業の所有者)が株主の利益を代理するように経営陣(取締役)をコントロールするためにはどのような方法が有効かという意味での使われ方である.これは株式会社の巨大化に伴い「所有と経営の分離」が進行した過程で生じた問題であり,株主—経営陣の代理人問題(agency problem)として経営学の研究対象とされてきた領域である.この意味で使われる場合を,狭義のCGの問題としておこう.
 これに対して,CGの概念をより広義に解釈し,企業行動の社会的コントロールの方法と位置づける見方もある.すなわち,企業を取り巻く様々なステークホルダーズ(stake-holders,利害関係者)から企業に及ぼす牽制が企業行動にどのように影響を与えるかというアプローチである.こちらは,企業がその社会的責任を適切に履行するためにはどのような社会の仕組みが望ましいか,という企業倫理や社会的責任との関連で登場する場合が多い.

病院組織における適切な意思決定

著者: 小山秀夫

ページ範囲:P.216 - P.219

適切な意思決定の模索
 経営体としての病院における「適切な意思決定」と「効率的組織の確立」という命題は,その病院が継続する限り永遠であろう.なぜならば,いかなる手法や手順を用いても,将来に関する意思決定は,所詮推測の域を脱しないし,いかなる組織改革も既存の組織が前提となり,絶えず組織改革を進めることが求められるからである.
 それゆえ,経営には王道はなく,正答がない世界であり,結果としての成功と失敗が将来に明らかになるのみである.それゆえ,P.F.ドラッカーは,次のように主張するのであろう.

〔てい談〕変革期の病院組織の意思決定をどうするか

著者: 竹田秀 ,   中村哲也 ,   井手義雄

ページ範囲:P.220 - P.228

 井手(司会)バブル経済崩壊後のわが国の経済の破綻は,今後のわが国少子高齢社会の到来に大きな不安を投げかけております.これらの対策として様々な変革が行われておりますが,金融ビッグバンに象徴されるような変革が,経済的,社会的,また政治的にも行われてきています.これらの一環として医療のビッグバンも真剣な議論がなされております.このような変革期に,病院組織をどう対応させていくのか.また,変革期において一番重要な病院の意思決定をめぐって本日は議論していただきたいと思います.
 最初に簡単に先生方の施設の概要を述べていだたきたいと思います.

長期投資と日常の運営を視野に入れた財務管理

著者: 河野桂三

ページ範囲:P.229 - P.232

 適切な長期投資は,経営計画の推進と企業の成長のためには不可欠であり,病院経営にとっては大きなウエートを占めている.財務面からいえば,病院が戦略的投資を行うには,長期投資を可能にする財務体力の維持と形成を図っておかねばならないということになる.
 また,長期投資に耐えうる財務体力がありながら,目先の費用を惜しんで必要な投資を抑えたりすることは避けねばならぬことであり,そのためにも,日常の運営の中で現在の財務体質を正確に分析,把握できる財務管理が必要という結論に達する.

当院では組織と意思決定をこうしている—理念への実践

著者: 津留水城

ページ範囲:P.233 - P.235

 高齢社会の進展と経済のマイナス成長期を迎え,わが国の社会構造は大きな転換期に直面している.病院は,高度成長期における医療費の大幅アップの時代とは異なり,2000年4月に導入される介護保険も含めて厚生省が次々と打ち出す低医療費政策に,今後どう対応していくのか,その対策に戸惑っている.
 病院は基本的に非営利的組織として位置づけられながら,一般の営利企業と同じく採算性を無視してはもはや存続しえない.この矛盾の中で,さらに国・公立病院が政策医療の名の下にその採算性を国・自治体の助成に委ねられるのに対し,民間病院は自給自足で経営の安定化を図らねばならない.しかも,医の倫理の下に人の健康と生命を守る使命感は常に要求される.こうした中で経営管理者は病院職員に対しても,プライドと意欲を与え,生きがいを感じさせる組織作りが必要とされる.

当院では組織と意思決定をこうしている—常にディスカッションを基礎に

著者: 細木秀美

ページ範囲:P.236 - P.237

 当法人は第二次世界大戦から復員した創設者,細木高行が1946年に開設した無床の細木診療所から1955年に細木病院となり,1958年医療法人仁生会細木病院となって現在に至っている(表1).その間,次第にベッド数を増し,1985年には病床622床にまで増床した.1964年には土佐看護専門学校を開設,1975年に高知市の郊外に三愛病院を開設した.1988年には精神科デイケア「フレンズ」開設.1992年には在宅介護支援センター「一宮」,1993年には在宅介護支援センター「城西」と訪問看護ステーション「高知」を開設し,翌年には訪問看護ステーション「高知西」を,そして1995年には老人保健施設「あうん高知」入所50床,ショートステイ30床を開設した.
 1996年には,老人デイケア「ゆうゆう」を開設し,その暮に高知市より西に約16kmの日高村に無床の診療所「日高クリニック」を開設した.その翌年,細木病院は一般病院の320床と細木ユニティ病院271床(精神神経科231床と内科40床)に分割した.1998年の春から老人デイケアは「ゆうゆう1」と重度痴呆の老人デイケア「ゆうゆう2」に分割された.医療法人仁生会細木病院は急性期病棟140床は新看護2:1(A)で平均在院日数20日であり,他は療養型病棟180床である.また細木ユニティ病院は34床が精神神経科の療養型病棟であり,他は新看護体制2.5対1(A)である(表2).

当院では組織と意思決定をこうしている—組織は「人」である,外部の「常識」を取り入れる

著者: 吉水信裕

ページ範囲:P.238 - P.239

 病院の組織はどこの病院でも大同小異でわれわれのところでも特別奇抜なものではない(図1).機構そのものよりは,「人」であり,どの人をどこに置くかが重要で,人に沿って組織を作ることになる.いかにして意思が上下,左右に同じように伝わり,皆が同方向に向かって進めるかが大切なのである.
 病院という性格から医局(医師)が牽引車とならなくてはならないが,同時にコメデイカルである看護部や薬局,レントゲン科,リハビリテーション科などの協力なしでは目標達成は不可能である.また当然のことではあるが,これら診療部門を支える事務部がしっかりしていないと組織は砂上の楼閣となってしまう.病院を支える各部門が病院の理念と進むべき方向とを理解し,いかにスムーズに仕事ができて,その力の結集が病院全体を前進させることができるかが組織作りのポイントであり,病院トップの仕事でもある.

当院では組織と意思決定をこうしている—貢献・創意・協調による合議を基に

著者: 根岸宏邦

ページ範囲:P.240 - P.241

 愛仁会高槻病院は,愛仁会という特定医療法人を構成している中の一施設である.特定医療法人愛仁会は,統一した理念のもとに,医療・保健・福祉活動を行う組織であり,全員参加と合議を基とした民主的な組織体である.そのモットーとするところは,貢献・創意・協調であり,すべての活動は他に定められた理念とこのモットーに照らし合わせて行うべきであると考えられている.
 愛仁会には,図1に示すようないくつかの機能の異なる施設が含まれているが,それぞれの施設はそれぞれの施設の組織と意思決定のシステムを有している.そして,それらは愛仁会として統合され,愛仁会という法人の活動方針として遂行されている.

当院では組織と意思決定をこうしている—組織文化が組織の意思を決定する

著者: 石谷邦彦

ページ範囲:P.242 - P.243

 ある意思の決定は,その人あるいはその組織の辿ってきた文脈(con-text)に沿ってなされている.個人にとってそれは人生であり,組織と考えればそれは組織文化といわれるものであろう.その時々の意思決定とその結果の集積が人生であるように,組織もまたその時々の意思決定と結果の集積が組織文化を創ってきた(ここでの文化は精神文化,行動文化,物質文化を一括する).これまでの文脈,すなわちあらゆる意味での歴史的認識・価値観が未来を想定したところでその時の意思が決定される.そしてそれは結局,両者とも「生きることの意味は何か?」の問いに代表されるような哲学的連鎖の中に身を置くことになる.
 われわれの病院は1983年癌専門の民間病院として創設され,QOL(quality of life)の研究とホスピス・ケアを行う病院として現在では全国的にも多少知られる存在となっている(表1).その歴史,概要などについてはわれわれの論文1,2)を参照されたい.そこでも強調したように,当初から「経営」とは「組織化のプロセス(=意味あるいは価値創造のプロセス)」であることを認識し実践してきた.現代社会にあって企業をはじめとする諸組織は,単に環境の変化に適応する主体であるだけでなく,自らもそうした変化を生み出す社会的行為主体として行動し,他の組織の行動に影響を与えるという意味で他の組織の「環境」を構成している.

グラフ

健康と福祉の町づくりの拠点—山形県・最上町立最上病院/老人保健施設「やすらぎ」/最上町「ウエルネスプラザ」

ページ範囲:P.201 - P.206

蚤風馬の尿(しと)する枕もと
 『おくのほそ道』で芭蕉がこう詠み逗留した封人の家(国重要文化財)が残る山形県最上町は,宮城県鳴子町・秋田県雄勝町との県境の山形県東北部にある.冬の平均積雪1.5mと山形県内で有数の豪雪地帯である.
 町内には最上川の源流小国川が流れ,赤倉温泉,瀬見温泉などがある温泉の町である.山林・原野が町の7割を占め,国有林面積が日光市に次ぎ全国で第2位である.人口は約1万2千人で,高齢化率は24%(平成10年度4月).

主張

損益計算書か貸借対照表か?

著者:

ページ範囲:P.209 - P.209

 この数年の一部上場企業の経営破綻は,わが国経済に大きな波紋を投げかけている.バブル経済崩壊に伴う経営処理の対策の遅れが主な原因であるが,現在のわが国不況下において種々の経営上の問題を示唆している.病院の経営においても同様である.健康保険制度の成立以来順調に右肩上がりしてきた病院経営は,1998年度は医療保険制度の改革により病院収入は横這いまたは減少となり,多くの医療機関が赤字決算に陥ると思われる.一般企業と同様病院経営の緊急かつ大胆な経営の見直しが必要である.
 さて,厚生省は1994年病院経営の悪化に伴い「医療施設経営改善支援事業」を創設し,医師会,病院協会に委託して医業経営の研修会や経営相談事業に対して補助金を交付してきた.一定の成果を上げたとのことでこの支援事業は廃止され,1999年度からは「医療施設経営安定化推進事業」が開始される.この事業は,医療機関の資金調達方法や収益業務の導入に伴う調査研究を行う事業とのことであるが,急激な医療機関の経営破綻が予想される現在,この事業に速効性があるのか疑問である.

特別寄稿

輸血医療体制の見直しと変革への提言

著者: 髙橋孝喜

ページ範囲:P.244 - P.248

 製造物責任法(PL法)の施行1),「薬害」AIDS問題の解明,輸血後移植片対宿主病(輸血後GVHD)に関する緊急通達2)やwindow period(感染後検査陰性期)の献血者血液からのHIVまたは肝炎ウイルスの伝播感染に関する報道など,輸血の安全性について社会的関心が集まっている.スクリーニング検査の進歩などにより,感染症ウイルス伝播の危険は従来より小さくなっているが,血液すべての国内自給は実現していない.すなわち,アルブミンなどの使用適正化が進まず,今日なお血漿分画製剤の多くを輸入に頼っている状況である.
 一般に注目されているのは輸血副作用だが,輸血自体は極めて有効性が高く,広く行われている補助療法である.実際,白血病などの多剤併用療法,大量の出血を伴う手術など,輸血なしでは有効な治療がなし得ない病態は多い.

マネージドケアと米国医療の変容

6.マネージドケアと米国医療の変容(その3)

著者: 田村誠

ページ範囲:P.250 - P.254

権力の「階層システム」から「分散システム」へ(承前)
3.「医師,看護職」の関係
 日本と比較すると,以前から,米国における看護職の医師に対する相対的地位は高かったといえるかもしれない.その相対的地位は,マネージドケアの興隆により,さらに高まったと考えられる.

癒しの環境

においのない身体と癒し

著者: 長千郷

ページ範囲:P.255 - P.255

病院のにおいはなくなっていない
 病院のにおいというとクレゾールのにおいを思い浮かべるが,今では消毒液はほとんど無臭であり,薬剤臭は昔より少なくなった.しかし,現在も病院は様々なにおいに満ちており,患者の安静,食欲,睡眠などの健康問題に大きな影響を与えている1).病院でのにおいの発生源としては,①環境因子によるもの(トイレ,汚物などの廃棄物,排水口や空調からのにおいなど),②患者自身から発生するもの(悪性腫瘍の開放創,褥瘡など),③医療者その他から発生するにおいがある.清潔な環境作り,換気の励行,ごみ箱の密閉,臭気源の除去など医療者の基本的な努力で解決できることも多い.

病院管理フォーラム 院内トータルシステムにおける物品管理・4

臨床検査部門の管理について

著者: 神野正博

ページ範囲:P.256 - P.257

 今回は臨床検査部門において当院が実践したヒト,モノの管理について触れることとする.臨床検査部門としては大きく分けて,1)生化学検査,2)細菌検査,3)病理検査,4)生理検査となる.まず各々の部門における病院における役割(Mission)とその問題点・経済性について整理検討し,業務改善に導くことが必要であろう.

Hospital Administratorへの道・3

事務長の創造と実践

著者: 鈴木紀之

ページ範囲:P.258 - P.259

 当院は,茨城県南部,筑波研究学園都市に所在する急性期一般病院である.開設は1985年,第三次救命救急センターを中心として活動してきた.病床数218床,平均病床稼働率約92%前後,平均在院日数約17日,外来患者数300〜400人(1日平均),職員数400人強というところが概要である.以下,詳細はホームページ(http://www.tmch.or.jp)を参照されたい.

看護管理・12

シフトワークマネージメント(交替性勤務の管理)—1.実状と導入に際しての視点

著者: 嶋森好子

ページ範囲:P.260 - P.262

均等割り3交替制勤務から選択の時代へ
 1996年の日本看護協会調査研究課の看護婦の勤務体制に関する調査1)によると,1991年には3交替をとる病院が73.3%,2交替制をとる病院が10.6%であったが,5年後の1996年には,それぞれ64.4%,30.0%となり,2交替制の病院が増加している.診療報酬の「夜間勤務等看護加算」の要件が,「病棟の実状に応じて3交替又は2交替であること」とされたことも,この流れを促進する要因となった.
 厚生省看護対策総合研究事業として,1993年度から山崎慶子氏(東京女子医科大学病院看護副部長)を主任研究者として,「看護サービスの安定した提供体制に関する研究」が行われた.筆者は,1994年度からこの研究に参加し,看護婦が働きやすい勤務体制のあり方について検討した.この研究では,大きく分けて二つの課題を検討した.一つは,日本で新しく3交替制以外の勤務体制を導入した病院の聞き取り調査を行い,看護婦が働き続けられる柔軟な勤務体制とその導入のための指針を作成すること.もう一つは,日本と欧米および環太平洋の6か国の看護婦の勤務体制を比較検討し,日本の看護婦の勤務体制の問題点を明確にすることであった.

Principle 病院経営・3

健全経営とは何か(2)

著者: 谷田一久

ページ範囲:P.264 - P.265

 前回は,医療と経営の分離というあたかも病院経営の常識であるかのごとくいわれている概念について,その誤りを指摘した.今回も,引き続き健全経営について述べる.

連載 アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第53回

震災対策への具体的提言

著者: 筧淳夫

ページ範囲:P.266 - P.268

 1995年1月17日の未明に発生した阪神・淡路大震災は,密集した現代都市における日本で初めての大震災であり,6,000人を超える犠牲者と数十万の被災者を生じた被害に加えて,今後の震災対策に大きな課題を数多く残した.
 この阪神・淡路大震災の後に,病院建築に携わっている数多くの研究者や設計者が,病院の被災状況に関する調査を実施しており,そのうえで被災の原因を整理・分析している.特に,今回の震災において病院に大きな影響を与えた原因として,非構造部材の破壊が病院機能を停止してしまうことがあげられた.

早期退院計画・11

沖縄県立中部病院の平均在院日数短縮法について

著者: 宮城征四郎

ページ範囲:P.269 - P.271

 人口43万医療圏の中で,地域中核病院として救命救急医療を中心とした急性期医療に携わる本院は病床数550を擁し,平成元年から同4年度までは終始,赤字決算が持続していたが,同5年頃より辛うじて黒字に転じたとはいえ,なお,振幅の激しい不安定な経営状態に陥っていた.
 平成8年度頃から急速に経営状態が改善し,連続2年間,億単位の黒字決算を計上することができたことは,ひとえに職員一同の一丸となった地道な経営努力の賜物以外のなにものでもない.加えて管理者一同が智恵を絞って推進してきた経営改善策の成果も決して無視できない.中でも病床利用率の向上と平均在院日数短縮に向けての努力は現在の健康保険システムにおいて,経営改善上,最も大きな要因であり,過去2年の本院の黒字決算の源泉である.

民間精神病院はいま—21世紀への展開・14

鶴見台病院—病院本体機能の専門化を目指して

著者: 山本紘世

ページ範囲:P.272 - P.275

 次の法改正のために厚生省は1998年9月,「精神保健福祉法に関する専門委員会報告書」を公表した.その内容は広範囲で精神保健福祉法と医療法および医療保険制度にわたり,地域に密着した精神保健福祉施策の充実,精神障害者の社会復帰施策の推進,精神障害者の人権の確保の三つを基本的な方向としている.その中で今後の精神医療と病院経営に大きく関係するものは,精神病床のあり方,精神科救急事業と措置入院であろう.精神科特例を見直し,一般病床と同様に精神科においても精神障害者の病状に応じて病棟単位で急性期病床と慢性期病床を区分し,急性期病床は2次医療圏単位で必要病床数を検討すること,精神科救急事業の法定化のために救急指定病院制度をつくること,現行の措置入院指定病院の指定基準を見直すことなどである.
 一方,私どもの鶴見台病院は1998年8月末に2年半にわたる増改築工事をやっと終えて,いま精神療養病棟(A)を中心にした医療体制に変わろうとしているところである.次の法改正がどのようになるのか不明ではあるが,私どもの取ってきた方向がよかったのか,修正するところはないのかをこの機会に考えてみたい.

短期連載 病院マネージメントからみた平均在院日数短縮法・1【新連載】

日本の病院の平均在院日数—長期化の理由

著者: 加藤尚子 ,   長谷川敏彦

ページ範囲:P.277 - P.281

 先月号(長谷川敏彦:日本の病院の平均在院日数.58(2):120-126,1999)では,日本の病院の平均在院日数が,先進諸国に比較して数倍の長さになっていることを指摘し,少子高齢社会へ向けての機能分化の潮流の中で,在院日数の短縮が必然的に求められる状況を説明した.さらに,短縮への取り組み方法として,原因究明と対策のステップ,目標値のアウトラインを示した.
 今回から数回にわたり,急性期から亜急性期病院(もしくはそれを目指す病院)を対象に,在院日数短縮のためのアプローチを検討する.

データファイル

21世紀の国民の健康と医療の確保を目指して—医療保険制度構造改革への提言(中間報告)/高齢者に関する保健医療制度のあり方について(案)(その2)

著者: 健康保険組合連合会

ページ範囲:P.282 - P.286

はじめに
(略)
 現在,健康保険制度は,緊迫した経済状況の下で加入者数が減少するとともに標準報酬も低下しており,これに伴う保険料収入の減少が憂慮される状況となっている.このような状況は国民健康保険制度の運営にも影響を与えている.反面,医療費の支出は昨年9月の健保法等の制度改正以降,伸び率は下がったと言われつつも増高を続けている.今後いかなる制度を構築しても,このままの医療費の負担の下では全ての医療保険制度は耐えきれず崩壊することは明らかである.なによりも増高を続ける医療費の抑制が第一の重要課題であり,将来に向かって医療費については,国民・企業・政府や患者などすべての関係者が負担しうる水準を設定し,その水準まで医療費を抑制し,併せて給付水準を設定することが重要である.(略)

医学ごよみ

3月—March 弥生

著者: 木村專太郎

ページ範囲:P.287 - P.287

□8日 形成外科の父
 この日にポーランドのワルシャワに生まれたドイツの外科医グレーフェ(Karl F von Gräfe,1787〜1840)は,現在,形成外科の父として尊敬されている.
 彼はドイツで医学教育を受け,ベルリン大学外科学教授に就任した.彼は在職中に,当時としては新しい輸血に関する試み,帝王切開術,兎唇術など,いろいろの新しい外科分野を開発した.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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