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文献詳細

雑誌文献

病院58巻9号

1999年09月発行

文献概要

特集 改めて癒しの環境を問う

癒しの音環境デザイン

著者: 上原和夫1

所属機関: 1大阪芸術大学音楽学科

ページ範囲:P.840 - P.842

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 音は人類の歴史の中で時代や地域を問わず人々の暮らしと密接にかかわり,時として超自然的な存在として魔力をも感じさせ,同時に精神的な安らぎをもたらしてきた.古代社会における治療的儀式には,呪術者の存在とともに音は欠かすことのできないものであったようだ.太鼓を打ち鳴らすことによって痛みを忘れさせるといったペインクリニックのような行為も行われていたと考えられる.このように音は元来癒しとしての役割を持ち,人々の健康とかかわる重要な位置を占めていたことが想像できる.
 われわれ現代人にとって癒しを感じさせる音は,やはり大自然の様々な営みがもたらす渓流の音や鳥のさえずりなどの自然音であり,また伝統的な文化が育んできた寺の梵鐘などの精神性を持つ響きなどであろう.しかしながら今日では,われわれを取り巻く音の環境は機械文明全盛の中で大きく変化し,もはや自然音や伝統的な音を明瞭に聴き取ることは極めて困難な状況にある.とりわけ無数の人工音に取り囲まれた大都市の音環境は,人々に精神的にも生理的にも過度の負担を強いており,音の存在が重大なストレス要因にもなっている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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