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Principle 病院経営・22
病診連携の枠組み(3)
著者: 谷田一久1
所属機関: 1広島国際大学医療福祉学部医療経営学科
ページ範囲:P.898 - P.899
文献購入ページに移動下の図は,医師の年齢階級別にみた医療施設の種別医師数(平成10年12月31日現在)を示したものである.この図からは,病院に所属する医師は比較的若い年齢層であり,診療所に所属する医師は比較的高齢の医師である,ということがいえる.この図はあくまで現状を示しているものであり,将来的には全体的に右にシフトすることであろうから,10年後を考えると,現在の30〜39歳の層は40〜49歳にシフトするし,40〜49歳は50〜59歳へとシフトするわけである.
その際,例えば50〜59歳へとシフトした約6万人の医師はいかなる施設に所属することになるのであろうか.現状において50〜59歳の医師,約3万人は病院と診療所に半々で所属している.しかし,10年後も同様の比率であるとは考えづらい.医師たちの就職先である病院は,医療構造改革のなかで,病床数を削減したり,急性期病院から療養病院へと移行したりしている.また,病院数も減っている.つまり,現在の流れは,医師の増加を吸収するだけの許容量を拡大しているどころか,むしろ,許容量を縮小する方向に動いているのである.医師の所属先としての病院が,医師の増加を吸収しきれないとなると,当然のことながら,医師は開業という道を選択することになるだろう.
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