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特集 病院医療—21世紀への遺産 21世紀のコメディカル
精神保健福祉士
著者: 門屋充郎1
所属機関: 1日本精神保健福祉士協会
ページ範囲:P.1068 - P.1070
文献購入ページに移動日本における精神保健政策は,19世紀末の1900年に制定された精神病者監護法から始まった.今年は精神衛生法施行50周年であり,世紀末共々精神保健福祉も大きな節目の年である.
20世紀の精神保健福祉は総じていえば隔離と保護,社会防衛政策優位の世紀であった.患者軽視,福祉施策の無策,一貫して精神病となった国民の不幸は,他の疾病の比ではなく,精神医療とて医療総体の中で差別を受け続けた世紀であった.不幸は精神医療,精神保健・福祉総体が社会から軽視され続けたという現実であり,その中で処遇された精神障害者は最も不幸であり,援助専門職も社会的役割の犠牲を背負ってきた世紀といえよう.しかし20世紀末の数年間において精神保健福祉法が成立し改正され,障害者プランが示され,欧米に遅れること20〜30年とはいえ,脱施設化と脱中心化は21世紀の中核的課題となり,人間の自由と平等の保障は人権思想の高まりとともにノーマライゼーション社会の構築へと向かいつつある.
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