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特集 病院医療—21世紀への遺産 21世紀のコメディカル
診療放射線技師
著者: 熊谷和正1
所属機関: 1社団法人日本放射線技師会
ページ範囲:P.1070 - P.1071
文献購入ページに移動X線が発見されたのは20世紀直前のことである.発見間もない20世紀初頭から,X線の物理的性質や生物効果を応用した技術が他分野に先駆けて医療に取り入れられた.そして,100年の間にX線を含む放射線は医療に不可欠なものとなった.この発展の経緯の中で,わが国ではX線集団検診による結核の罹患者発見への成果は特筆されるべきものである.このことが,医療での放射線の活用価値の実証とその後の利用技術の急激な発展を動機付けたといえる.集団検診とともに医療でのX線利用が普及するに従って,その生物学的危険性を鑑み,本邦唯一の医療放射線専門職種である診療エックス線技師(後に,診療放射線技師と改称)が法的裏付けをもって国家資格として誕生した.
放射線の医療への利用技術は,電子工学技術の発達とともに,高度な形態へと発展し続けた.その中で,エポックメイキングなできごとがX線CTの開発であった.その画期性は,人体の輪切り画像が得られることではなく,この種の装置にコンピュータを使ったことでもない.輪切り画像を得るX線装置はCT出現以前から存在していたのである.X線CT開発以前は,感光性フィルムへのX線の直接投射という形で,人体内部の画像を得てきた.
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