文献詳細
文献概要
特集 消費者(患者)の声/ニーズの吸収
保険者は消費者の代理人たりうるか
著者: 鈴木久雄1
所属機関: 1健康保険組合連合会
ページ範囲:P.575 - P.579
文献購入ページに移動物やサービスを購入し,その代価を支払う行為が消費であり,その実施者が消費者である.医療サービスの場合,病気やけがをして,その治療のため医療サービスの提供を受ける患者は,窓口での支払い(一部負担)は老人の数パーセントから多くても30パーセントにとどまる.
最近,悪徳商法から消費者を守る消費者契約法案が国会に提案される動きに対して,医師会は「患者を消費者と呼ぶのは非常に抵抗がある,医者はバナナを売っているのとは違うから」とか「医療機関は患者から診療報酬の一部しか受け取らない,診療報酬は健保組合との契約だから法案の対象外」との主張である(平成12年3月7日朝日新聞).確かに上記のように患者は一部しか現金を払っていないが,保険料の負担という形で医療費全体を支える保険の理論からすれば消費者である.また,医療サービスを受ける当事者は患者であり,最近多発している医療ミス,医療過誤などの被害を被るのも患者であり,消費者として保護されなければならない.
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