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医療従事者のための医療倫理学入門
9.医療従事者の警告義務—守秘義務の限界
著者: 浅井篤1 大西基喜2 永田志津子2 新保卓郎2 福井次矢2
所属機関: 1京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻 2京都大学医学部附属病院総合診療部
ページ範囲:P.811 - P.813
文献購入ページに移動20歳代後半の既婚男性が数日続く倦怠感と微熱を主訴に来院した.問診上,輸血歴や家族歴に特記すべきことはなかったが,数か月前に配偶者以外の女性とコンドームを用いない性交渉があった.身体診察上頸部リンパ節腫大が認められ,患者の同意の上で行われた抗体検査でHIV感染症と診断された.
担当医師は患者に診断,病状,予後を説明するとともに性交渉や血液による感染の可能性にも言及し,患者の配偶者も検査を受ける必要があると説明した.しかし,患者はHIV感染の事実を妻に話すのをためらった.担当医師はどうすべきであろうか.
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