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精神病院を建てるにあたつて
著者: 關根眞一1
所属機関: 1國立武藏療養所
ページ範囲:P.13 - P.16
文献購入ページに移動 病人が病氣を療養する場所は病院か療養所であることが療養の目的にかなつているので醫療の點も重要であるが,又療養環境の適應も必要な條件の一つである。割合短い期間入院を要する患者を收容する病院でも患者の病室は患者の生活環境を構成する區域であるためその環境が患者に與える心理的影響の相當重要であることは看過出來ないものである。ましてや慢性疾患で1年以上も長い間療養を要する患者たとつては病室そのものが殆んど自分の住居ともなつてしまうので病室としての機能性を充分に具備することは勿論であるが患者の療養生活に對し心理的影響をとくと考えて設計設備することは患者への精神的效果と共に身體的效果をも追從的に得らるるものである。身體的疾患の病院の構造設備は患者の疾患に適合して設計を研究して理想に近いものを作り上げて種々の模範設計が發表されているが精神病院の建築は患者の性質上折角研究を重ねても現在の我國の經濟状態では理想的のものを實現することは容易なことでない。私共が精神病院を經營管理していると病氣の性質上何かと患者に悩まされることが多いので時には同じ醫師でありながらつくづく考えさせられることがよくある。殊に建物の構造設備の點で患者の症状に對しそれらがうまく適合していないために悩みの種が續出するものである。
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