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雑誌目次

雑誌文献

病院6巻3号

1952年03月発行

雑誌目次

口繪

カナダの癌研究

ページ範囲:P.2 - P.3

——癌に對する科學の挑戰——
カナダ政府は數百萬弗の補助年金を支出し,各々同額を醵出する各州に於ける癌抑制活動を補助している。

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社會と病院

著者: 久松榮一郞

ページ範囲:P.4 - P.7

 私は昨年の9月から12月まで,アメリカの大學を視察するよい機會をもつことが出來ました。專ら體育,ヘルス・サービスを中心に見て廻つたのでありますが,大學のあり方がわが國と非常に違つていることが,私の強い印象でありました。その相違はなにから來るか,なかなか難しいことでありましようが,私は社會の成り立ちと社會をつくつている人々の考え方が,その原因ではなかろうかと獨りで考えた次第でした。
 アメリカの社會は,どの樣につくられているかということは,到底私には表現しにくいことでありますが,デモクラシーの社會であると一言にして申したなら,そう非難はうけないでしよう。然らばデモクラシーの社會とはどんなものかと細目にわたつて表して行こうとなりますと,なかなか難しいことになります。私は勝手に,私なりに想像をたくましくしたのであります。アメリカに始めに渡つてきた人達は,キリスト教的信仰をもち,互に兄弟のように相愛する氣持ちに満ちていたと思います。その人達が,あの廣い大陸にぶつつかり,その生活を開拓してゆくことは,並大抵のことではなかつたと思います。耕作をするのにも,家を建てるのにも,充分の苦難をなめたことでしよう。この大自然の中で,生活を切り開いてゆくためには,もともと信仰に厚く,兄弟の愛情をもつていた人々ですから,當然いつも相談し,力をあわせて彼等の仕事をすすめて行つたと想像されます。

保險診療單價

著者: 千種峯藏

ページ範囲:P.8 - P.10

 健康保險診療報酬の1點單價が,從來甲地(六大都市)11圓,乙地10圓であつたものを,今回,12月11日附厚生省告示を以て,甲地12圓50銭,乙地11圓50銭と改正,12月1日から適用することとなつた。
 この結末だけを見ると,何處にでもあるような改正で,さしたることにも見えないが,この1點單價の決定如何は,保險醫,保險者,被保險者,強いては政府にとつて,廣汎な又深刻な影響のあるところから,この問題を追つて,保險醫の辭退という最惡の事態に迄突入して,世上大きな波紋を描いたのである。しかし,1點單價の改正が決定したというものの,之と表裏する諸問題が未解決のままとなつているから,波紋はまだおさまつたとは言えないのである。

新しい入院料の解説

著者: 岩田佐文

ページ範囲:P.11 - P.13

まえがき
 入院患者の治療には最も優れた醫學的な技術が必要であることは論を俟たないところであるが,熟練した暖い看護と治療の一環として充分考慮された患者食の給與とは患者の治療上,根本的な基盤をなすものであつて,恰も車の兩輪にも例えられ,患者の治療及び療養上極めて重大なことである。醫療の原價計算はその性質上一般製造工業におけるそれと比較して極めて難事に屬するが,しかし誰もが一應肯ける醫療費の原價を算出し,推進することは社會保障確立の見地から目下の急務であり,又當然解して行かねばならぬ問題である。
 この意味において入院治療の重要な要素をなす入院料,即ち入院治療を行うために必要な基本的な經費について新たに,原價計算方式に基いた幹事案が去る12月27日の第6回中央社會醫療協議會に提出され,その内容が明らかにされたことは極めて意義深いことであつた。會議は結局まとまらなかつたので,厚生大臣は同月29日幹事案に基く入院料を決定告示した。

病院防火對策覺書

著者: 山元昌之

ページ範囲:P.14 - P.20

I
 過日は新潟の大學病院本館が燒失したという放送を聞いて愕然としたのであつたが,今朝又,釧路市立病院約1,600坪全燒との放送である。病院當局者が常に最も心配しているものは火災である。從つて防火對策が病院管理の重要な1項目とたる。Stone氏のHospital Organization and Managementにも"Fire Prevention"として,これに1章を割いている。(本誌第3巻第5號,拙稿,病院經營文献について參照)病棟には深夜でも誰か眠つていない人がいるので,早期に發見されるため初期防火の程度で處理される場合が多いが,本館や研究室方面から出火した場合には往々にして大事に至るのが在來の例である。又本館には外來診察所が含まれているのが普通だから,醫療器械設備の損害も大きいわけである。極端な場合には,診療機能が1時間的にせよ停止するようなことにもなる。幸い,新潟では翌日から外來診療を開始されたそうであるから,これは不幸中の幸であつた。我々はこの新潟や釧路の不幸を,他山の石として,再びこの轍を履まないように,この際各自の防火對策を振返つてみることが必要であろう。又本誌にも,これまで病院防火對策に關する記事は1度もなかつたようである。この面にも注意が拂われてよい時であろう。

病院斷想

著者: 大川秀吉

ページ範囲:P.21 - P.23


 病院は"病人のホテルである"—という言葉を最近,よく聞くようになつた。これはアメリカあたりの病院のあり方が,患者本位にできていて,ホテルに泊つたときのように,サービスもゆき屆き,よく面倒をみるので,患者としても,どこかの國のように,ちつとも"幽閉感"などを感じることなく,のびのびと療養ができるようになつてるからに違いない。
 私はいま"幽閉感"といつたが,日本の病院のすべてに幽閉感があるといつたのではなく,もしそんなものがあるとすれば,むしろわれわれ患者側にあることをいいたいのである。それは,なぜだろうか。理由は,極めて簡單である。これを一口にいえば,日本の患者は"貧乏"だということである。日本の患者が貧乏だということは,日本人の收入が低く,生活水準が戰前の75パーセントあたりを,いまだに彷徨しているということに關係がある。

病院内規の實例について

著者: 鈴木智 ,   尾口平吉

ページ範囲:P.24 - P.28

 病院は診療,看護等の純醫療面のみならず洗濯,家政等に到るまで幾多の職域が綜合的に運營されることによつて始めて,その機能が發揮される病院の規模が大きくなればなる程,又管理が近代化され醫療内容が高められれば高められる程,それは複雑化される。
 從つて病院の機能は,各職域が夫々最高度にその能力を發揮するとともに各職域間の業務が如何に綜合的に,有機的に運營されるかにかゝつていると言つても過言ではない。こゝに各職域の業務を規正して無駄と非能率,混亂を防止し1つの方向に一切の業務を整々と流れさせる爲に病院内規が要求される。

病院關係人事消息

ページ範囲:P.28 - P.28

◇佐々 貫之氏 電氣通信省關東遞信病院長の氏は,都立駒込病院長內山圭梧,慶大病院長大森憲太の兩氏と共に厚生省藥事審議會臨時委員に任命。なお氏は昨年末文京區上富士前町137(電話大塚6507番)に轉居。
◇齋藤 二郞氏 京都府立醫大教授(小兒科)の氏は今般停年で退職され,京都市上京區十本丸太町中央病院副院長に就任。

看護婦作業時間分析的研究(2)

著者: 畑昇 ,   淸長美濃輔

ページ範囲:P.29 - P.39

C.耳鼻科
 M.H.氏6月13日月曜日の場合時間經過は圖の通りである。
 即ち出勤は午前7時で診察開始は9時である。午前の作業中は休憩は全然ない。終業は11時50分近くであり,此の場合も多忙を極め晝休みは1時間30分あり充分休んでいる。午後は1時15分から診察は開始されている。午後診察終了は2時35分で,その後は約50分休憩し,材料作りを行つているが割に暇が多い樣である。尚4時半過ぎから急患が來ている。夜間診察は6時35分迄で極めて多忙であつて片付けが終つたのは7時20分である。

ELEMENTS OF THE GENERAL HOSPITAL (9)—綜合病院の要素

著者: 今村榮一

ページ範囲:P.40 - P.49

(65)100床綜合病院の洗濯室
1.金屬製洗濯機,36×54インチ2.金屬製洗濯機,36×36インチ
3.石鹸タンク,30ガロン4.2槽洗濯槽

日本病院協會だより

ページ範囲:P.50 - P.52

A.藥事對策委員會小委員會(東京病協)
12月7日 各委員出席
 1.藥名箋刊行 曩に第6藥局方講習會開催當日豫告した藥名箋を刊行する事にしB5版,片面アート紙,ビニール2回引,約200種名,1部25枚のもの1,000部をオフセツト印刷にて至急依頼することに決定。

臨床病理懇談會記録(II)

ページ範囲:P.53 - P.53

 2月2日午後1時半より前回同樣國立東一病院管理研修所講堂に於て第2回例會が開かれた。參會者は前回と同じく約70名で,都内大病院のみならず,50床程度の病院からも出席者があり,約1時間に亘る東京醫大學長緒方知三郞博士の特別講演に續いて議事に入り,終始熱心に活溌な議論が交された。

編集後記

著者: 編者

ページ範囲:P.56 - P.56

 我が國の現状は,複雑な國際問題をも反映して,獨立前夜の慌たゞしい樣相を呈しています。獨立を契機として我が國の眞の建直しをするべく,國會を中心とした劇しい論爭が行われています。凡ての制度,機構に嚴しい反省,再檢討が行われる結果として,終戰後大きく搖れたペンダルの搖り直しとも見るべき,所謂復古調の萠しが見えかけています。社會の動きに進退は常ですが,結果として何らかのプラスを齎らす動きが望ましいと思います。
 ここ数年間に於ける我が國の病院の進展には顕著なものが見られますが,もともと零に近い程度から出發し,漸く今日軌道に乘り始めたというのが偽らぬ實態でありませう。この歩調を緩めることなく獨立後も前進を續けたいものです。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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