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雑誌目次

雑誌文献

病院6巻4号

1952年04月発行

雑誌目次

口繪

慶應病院の新呼吸器病棟

ページ範囲:P.2 - P.4

設計 工學博士 谷 吉郎
竣工 1952年1月

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副院長論

著者: 守屋博

ページ範囲:P.5 - P.7

 大低の病院に副院長の制度があり,その規定として,「副院長は,院長を補佐し,その不在の時は,代行する」となつているのが普通であり,實際には副院長的仕事を何にもやつておらぬのが普通である。この樣な副院長は,首席醫長又は古參醫長と云う位の意味であつて,副院長,副團長,副頭取等と同じく,何等實權をもたないで又各々の本務が忙しいので,管理については相談も受けないのが普通であつて,單なる職階的に澤山の月給を出す爲の儀禮的の存在である。
 しかし中には本當の副院長の仕事をやつている場合もあつてこれを分類して見ると次の樣になる。

米國に於ける麻酔學の現状

著者: 天野道之助

ページ範囲:P.8 - P.11

紹介
 天野學士は麻醉學の勉強の爲に1昨年渡米し,1年のResident生活を濟まして,目下シカゴ大學醫學部麻醉科の助手として活躍して居られます。昨年8月同大學に行きました時詳しく見せて貰い麻醉學がいかに重要であるかを更に深く認識させられました。其の時撮影した數枚の寫眞と共に同君の特別寄稿御送り致します。

專門職業としての醫療社會事業

著者: 松尾友重

ページ範囲:P.12 - P.16

 近代的な醫療機關はなんらかの意味において社會事業的な,廣い意味でいえば社會福祉的な施設を必要としている。それは國民生活がその經濟的な基盤において,きわめて脆弱であり,醫療費の負擔がたちまち生存を危うくするというところにも理由がある。(社會保險あるいは醫療扶助の取扱い)また技術的にも實際の治療にあたつて,疾病または傷害にたいする外科的内科的な處置のみでは,完全な治療が行いがたく,醫師が患者を治療するために,患者のもつている社會的精神的な問題を理解し,考慮しなければならないという考えかたは醫學においても,けつして新しい問題ではなく,進歩的な醫師,あるいは病院管理者はケースワークが醫學の研究治療に對して非常な貢献をなすものであることに氣附いたのは相當に昔のことである。(ケースーワーカーの採用)。さらに治療面以外の問題つまり病院の合理的經營あるいは組織というような面に關しても,社會事業技術の一つであるコンミユニテイ・オーガニゼーシヨンCommunity Organizationの應用が期待されていいわけであり,(オーガナイザーの採用)せまい意味の社會事業からはなれて病院内における患者あるいわ附添人にたいするサービスを受けもつという意味においての施設が必要である。(病院内における無料奉仕)

一つの試み

著者: 高橋信美 ,   永井友二郞

ページ範囲:P.17 - P.20

 私は日頃がら多くの病人の方々に對して,科學的な診療を,心をこめて又わけへだてなく行いたいと念じ且つ努力して來た。このことは,その人に惠まれた當院においても極めて困難な仕事であつた。今後も又決して容易でない。しかしそれが困難であればそれ丈,私は何とかしてやり遂げたいと思う。
このたび永井内科醫長がこうした方面で一つの試みを行つたが,私はその内容と結果とをみて非常に興味を覺えた。色々と意見や批判もある事であろうが,實際このことを試みた所に意義があると思う(高橋記)

女子大學生により博物館の財寶を病院へ

ページ範囲:P.21 - P.22

 紐育市では最近病院にいる回復期にある患者に何か目方のあるものをさげさせる事を計畫した。同市の博物館では博物館から持運びの出來る陳列物を市立大學の志願作業員達により病院に運ばせ患者に展示する。學生達は極細い針仕事や,古代の衣裝,前世代の玩具,古い戰爭裝備,其の他の興味をひく物件等の取扱いや成立などについて教育している。此の展覧は患者の元氣を鼓舞するばかりでなく,博物館でみるよりも一層近寄せて觀覧することが出來るので患者達に大いに歎迎されている。

看護婦作業時間の分析的研究(3)

著者: 畑昇 ,   淸長美濃輔

ページ範囲:P.23 - P.27

第3章 勤務時間
1)作業開始及び終業時刻
 前述の通り看護婦の出勤時刻,診療介補,開始時刻,診療介補終業時刻,作業終了時刻は個人差日差が甚だしいので之等を記録法の資料から度數分布圖を作つて觀察すると次の通りである。

病院關係人事消息

ページ範囲:P.27 - P.27

◇繩田 千郎氏 鹿兒島醫大放射線科教授の氏は,同大學附屬病院長に就任。
◇飯田 無二氏 徳島大學産婦人科教授の氏は,同大學醫學部附屬醫院長白川吾一郞氏の辭任に伴い同院長に就任。

病院給食の管理法に就いて(3)

著者: 矢野眞琴

ページ範囲:P.28 - P.36

團體給食献立表の作製に就いて
 我々は献立表を掲示板に掲げて,夫を見ながら調理を行う樣にして居る。從つて献立係の責任は極めて重く,献立表は此の責任を傳えるべき重要なものである。此等は院長が直接に検閲し意見を加える事にすれば管理が行き屆くのであるが,大きな病院ではそんな暇もないから,主任者に代行せしめてもよかろう,勿論献立表検閲の際には色々な注意が行われる。季節の野菜を食膳に供する樣に要求したり,検食の結果調理上の不都合や材料の良否,價格の適否,其の他經理,設備,人事等一切に亘つて指示を與える。主任者は検食を怠らない樣にしなければ,榮養科業務に就いてのよき意見は生れて來ない。
 献立表は成るべく大きい方が分り易いが,紙の經濟と取扱いの便宜から現在では横6寸縱1尺7寸(長手八つ切り)の紙を用い,主食と副食は別にしている。又副食中特別副食の献立表は別に作るが,之に就いては後に述べる事にしよう。生食献立表には材料欄は既に印刷濟みであつて數量だけを書込む樣にして居る。

小病院—發展しつつある農村地方のために——HOSPITALS VOL.25 No.6より

ページ範囲:P.37 - P.39

 發展しつつある農村地方の必要を充たすに素晴らしく適當である—と同時に經濟的にも恰好な病院は—ミネソタ州,モリスに在る50床を有するStevens County Me-morial Hospital (ステイヴンス郡立記念病院)である。此の病院は426,047弗の費用で7月1日頃に完成の豫定である。但し此の豫算中には敷地代,可動設備費及び技師報酬は含まれていない。これは1951年1月から3月までの間に米國で建築された2階建病院の最低建築費である。
 1病床8,520弗94仙當り,建坪1平方呎15弗の總計である。1950年中に落成した病院の1平方呎當り平均建築費は,(ミネソタ州保健局の資料によれば)17弗20仙であつた。ステイヴンス郡は優位の農村地方にあり,郡役所所在地のモリスが郡の中央部であるので,病院建設地として選ばれたのである。此の病院は,それまであつた廢用の建築物を取拂つて郡内の主要病院として設計されたのである。病院の財政は起債と4割5分の國庫補助金によつて賄われる。

一般醫業は醫療が評價される標準である—Modern Hospital Aug. 1951より

ページ範囲:P.40 - P.42

 一般醫は家庭醫として又醫療の相談相手として立場を維持出來る事になつている。此の役目を果すよく修業のつんだ一般醫は今迄より以上に醫療を行い,又もつと優れた醫療を經濟的にどの醫療事業の個人的分配者が與えるよりも,消費者を滿足させて行う事が出來る。私はあらゆる一般醫が完全な醫療を行い得ると云うほど簡單ではないが,あらゆる社會で彼等の多くはそれが出來,又やつている。良い資格のある一般醫を勵まし發展せしめ支持して行くのは保健と醫療の分野に於ける指導者が引受けねばならぬ。

臨床病理懇談會記録(Ⅲ)

ページ範囲:P.43 - P.44

臨床病理懇談會規約
1.名稱
本會は臨床病理懇談會と稱する。

看護制度をくずす者

著者: 津田順吉

ページ範囲:P.45 - P.46

 順吉は開業醫のなりたてである。長年の病院勤めの間に縣指定の舊制看護婦養成所をやり,最後には甲種養成所も作り一とかどの指導者と自認していて,よく婦長や教務主任の惱みを輕くいなして得々としていた。各生徒の個性の差から來る不和合,若い主任と生徒の間の指導に關するいざこざ,そのわづらはしさ,難しさをよく聞かされて,その都度「誠意さえあれば若い生徒はどうにもなりましよう。そんなつまらぬことで,惱んだり苦しんだりする事は愚だ。よろしくやりなさい。なんなら私がやりましようか。そもそもナイチンゲールは」などと逆に婦長や教務主任をやつつけて,その惱みを問題としていなかつた。
 順吉が開業すると,來て呉れた看護婦はこの8月に最後の舊制の看護婦試驗を通つた。しかし實地を何んにも見ていない本ばかりで勉強をしていた娘さんであつた。世話をしてくれた醫師會の事務長もその娘さんの頭のよさを褒めていたし,ついて來られたお母さんもやさしい立派な方であつた。しかしそちこちの事務所に半月位しか勤め得なかつたと云う事が氣がかりであつたが一しよにやることにした。

—國立東京第一病院—消耗品月別單價表

ページ範囲:P.47 - P.49

(昭和26年11月分)
衛生材料を除く…

日本病院協會たより

ページ範囲:P.51 - P.52

A.病院蘂劑師會月例會
日時1月24日 會場 都藥剤師會館
出席者 約50名
1.講演"ペニシリンの新製藥基準に就いて"萬有製藥株式會社學術部長岩永貞三氏2.特別講演"最近の政情に就て"毎日新聞社 C44住本政治部長

編集後記

著者: 編者

ページ範囲:P.54 - P.54

 陽春4月,櫻花爛漫とその妍競う,1年中で最も晴れやかな季節がやつて來た。それと時を同じうして,過去1ヵ年の精進のあとを示す各學界の幕が各地で切つて落される。昨年,東京で未曾有の盛會振りを示した日本醫學會が,今年は北は北海道から南は九州に至る各地で,華やかに開催されようとしている。丁度1年前の本誌では,日本醫學會總會を機とし論説を掲げて病院管理學會の提唱を行つた。その結果として,澎湃として湧き起つた同志の熱意が,日本病院協會の設立を契機として,日本病院學會の創立を齎らし,6月25日第1回日本病院學會の開催に成功せしめた。本學會は未だ日本醫學會には加入していないが,日本病院協會の一事業としてその第一歩を踏み出し,今年も同じく6月に第2回を開催すべく目下着々準備が進められている。何れ近くその具體的計畫の發表があると思われるが,廣く病院人の御參加を希望して止まない。
 時恰も,我が國再建の秋に當面している。病院管理は,何度も云われる如く終戰後俄かにスポツトライトを浴びて大きくクローズアツプされた問題だが,今日迄の處は所謂飜譯時代の軌を脱していない。併し,終戰後大きく急轉廻した我が國の社會制度は,我が醫界に限らず凡ての面に亘つて多かれ少かれ飜譯時代と云つて過言でない樣に思われる。教育制度然り,警察制度然り,地方自治制度然りetc。そして今日,獨立を機として凡ての制度が,我が國情,習慣に照して再検討の時期に逢着している。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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