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医療従事者のための医療倫理学入門
21.人を対象とした医学研究に関する倫理的問題
著者: 浅井篤1 大西基喜2 福井次矢3
所属機関: 1京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻医療論理学 2京都大学医学部附属病院総合診療部 3京都大学医学部附属病院総合診療部臨床疫学
ページ範囲:P.907 - P.909
文献購入ページに移動医学研究者Nが,肺がんに対する新しい抗癌剤臨床治験(phase 3)の研究プロトコールを考案中である.プラセボ単独使用を含む無作為割り付け二重盲検対照試験を発展途上国Aで行いたいと思っている.A国は貧しく,国民の多くは肺がんになっても全く化学療法を受けていなかった.また,今まで他国の研究者によって行われたA国での研究を見てみると,人々の研究参加を含めた多くの重要事項が共同体の長の裁量で決められており,「インフォームドコンセント」もすばやく取得されていた.さっそくNは研究プロトコールを仕上げにかかった.
このように,A国でプラセボを対照薬とした臨床研究を実施することに倫理的な問題はないだろうか?
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