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特集 改めて病院の安全管理を問う
「医療事故」と「医療の質」をめぐる新たな国際的潮流—米国医学院報告書の衝撃
著者: 長谷川敏彦1
所属機関: 1国立医療・病院管理研究所医療政策学部
ページ範囲:P.117 - P.123
文献購入ページに移動 近年,欧米では医療事故と医療の質をめぐる新たな国際的潮流が渦巻き始めている.特にここ数年,イギリス,アメリカ,オーストラリアなどの英語圏を中心に深刻な議論が展開されている.その背景として,「医療技術の高度化によって診療過程の複雑化が医療事故を実際に増やしている」ことや,「医療技術の標準化が進み,その情報が情報技術の発達とともに一般の人々にも普及しつつある」こと,さらには「権利意識の昂揚とともに医療への期待と批判が高まっている」からだといえよう.
特にこの1年,医療事故の予防について米国医学院(IOM)により,1999年11月に「人は間違うもの」というIOM報告書が出版され,衝撃は英語圏を越えて世界に走っている1).わが国での医療事故に関する議論の高まりも,直接的には2年前の某大学病院におけるあるまじき医療事故をきっかけとしているが,このような国際的な潮流と無縁ではないと考えられる.
特にこの1年,医療事故の予防について米国医学院(IOM)により,1999年11月に「人は間違うもの」というIOM報告書が出版され,衝撃は英語圏を越えて世界に走っている1).わが国での医療事故に関する議論の高まりも,直接的には2年前の某大学病院におけるあるまじき医療事故をきっかけとしているが,このような国際的な潮流と無縁ではないと考えられる.
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