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特集 医療の規制改革と病院
営利医療の潜在力
著者: 小幡文雄1
所属機関: 1セコム株式会社
ページ範囲:P.32 - P.37
文献購入ページに移動 医療界およびその所轄行政当局の認識として,医療は「公益性」のある事業であり,したがって営利企業の参入は不適当である,とする考え方が一般的である.また,営利企業が参入すれば,利用者が便益を得るというよりむしろ不利益を被るので,医療は非営利組織によって担われなければならない,と考えられている.しかし,現代の社会においては,「公益性」の高い事業でありながら株式会社によって運営されている事業は,電力,ガス,銀行,運輸,通信など多数存在する.また,便益の問題についても,中曽根行政改革の成果である旧国鉄の民営化(株式会社化)は,利用者の利便性向上に寄与するところ大であったとの認識が一般的である.
このように,現代の資本主義経済システムにおいては,「公益性」を理由にアプリオリに,ある事業を行う組織が非営利組織に限定されることはない.「公益性」の高い事業の担い手を営利法人・非営利法人のいずれにするかは,利用者の便益とそのための費用負担(直接的負担のみならず,税や非効率性といった社会的負担を含む)の比較衡量をベースに,それぞれの国が,それぞれの歴史的背景・文化の下で,その政治過程を通じて行う,経済システムのあり方についての選択の問題である.
このように,現代の資本主義経済システムにおいては,「公益性」を理由にアプリオリに,ある事業を行う組織が非営利組織に限定されることはない.「公益性」の高い事業の担い手を営利法人・非営利法人のいずれにするかは,利用者の便益とそのための費用負担(直接的負担のみならず,税や非効率性といった社会的負担を含む)の比較衡量をベースに,それぞれの国が,それぞれの歴史的背景・文化の下で,その政治過程を通じて行う,経済システムのあり方についての選択の問題である.
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