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特別寄稿
医療安全政策の国際動向とその方向性—1.総論
著者: 長谷川敏彦1 藤澤由和1
所属機関: 1国立保健医療科学院政策科学部
ページ範囲:P.402 - P.406
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1.IOM報告書の衝撃とアメリカの医療安全政策の動向
医療事故・患者安全の問題は国際的な広がりをみせ,今や人類史的な課題となりつつある.アメリカ,イギリス,オーストラリアの三か国は近年,国全体の医療安全政策をまとめている.それには1999年11月にアメリカで出版されたアメリカ医学院(Institute of Medicine:IOM)報告書『人は間違うもの』が大きく影響を及ぼしていると考えられる1).
このIOM報告書が公表された背景は以下のとおりである.まず1994年に有名な診療施設で医療事故が相次ぎ,多くのジャーナリズムがこの問題を取り上げたのであるが,こうした世論の高まりを受けてクリントン大統領は「医療の質のための諮問委員会」を設けた.この委員会はアメリカ厚生省を介してアメリカ科学アカデミーの一部であるアメリカ医学院(IOM)に医療事故に関する研究を委託し,その研究の成果がこのIOM報告書であったのである.
1.IOM報告書の衝撃とアメリカの医療安全政策の動向
医療事故・患者安全の問題は国際的な広がりをみせ,今や人類史的な課題となりつつある.アメリカ,イギリス,オーストラリアの三か国は近年,国全体の医療安全政策をまとめている.それには1999年11月にアメリカで出版されたアメリカ医学院(Institute of Medicine:IOM)報告書『人は間違うもの』が大きく影響を及ぼしていると考えられる1).
このIOM報告書が公表された背景は以下のとおりである.まず1994年に有名な診療施設で医療事故が相次ぎ,多くのジャーナリズムがこの問題を取り上げたのであるが,こうした世論の高まりを受けてクリントン大統領は「医療の質のための諮問委員会」を設けた.この委員会はアメリカ厚生省を介してアメリカ科学アカデミーの一部であるアメリカ医学院(IOM)に医療事故に関する研究を委託し,その研究の成果がこのIOM報告書であったのである.
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