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文献詳細

雑誌文献

病院61巻5号

2002年05月発行

文献概要

事務長の医療よもやま話・4

治療費をもらうべきか,もらわざるべきか,それが問題だ!

著者: 岩﨑公平1

所属機関: 1医療法人桃花会一宮温泉病院

ページ範囲:P.431 - P.431

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●インフルエンザ感染の場合は?
 これは実際に一宮温泉病院で起こった事例である.今年1月下旬に53歳の女性の患者さん(Aさん)が,交通事故に遭い頸椎捻挫(むちうち症),腰部打撲のため来院した.X線写真上は骨折など大事には至らなかったが,吐き気が強く食事も取れない状態だったので4人部屋に入院となった.その頃からちょうどインフルエンザが流行りだし,同室の患者さん(Bさん)が40℃近い高熱を出し,検査結果ではA型インフルエンザと判明した.ところが運悪く,体力も弱っていたAさんもインフルエンザにかかってしまった.幸い,即効性のインフルエンザ治療薬でAさんもBさんも2日で回復した.Aさんの治療費は交通事故に関する整形外科領域は損害保険会社へ,インフルエンザに関する内科領域は健康保険扱いで本人へ請求するのが通常の扱いである.入院係の職員がAさんのところへ請求書を持って行って説明した.
 職員:「インフルエンザの治療費は交通事故外ですので,損害保険会社に請求するわけには参りませんで,申し訳ありませんがAさんがお支払い下さい」 するとAさんは少しむっとした表情となり,間をおいて「私はむちうちで入院したんです.インフルエンザにかかったのは,院内感染で病院の責任です.ですからその分の支払いはできません」 職員は唖然として「….そ,そうですか」と言葉を残しその場を退散して,すぐ,筆者のところへ相談にきた.そもそもAさんは内科的には全く問題なく,交通事故に遭い整形外科領域の治療のため入院した.本人にとってみれば,インフルエンザにかかったのはとんだとばっちりだ.Aさんの主張は一理あり,よってAさんへの請求は取り下げた.ただしAさんの了解のもとで,社会保険へは残りの8割を請求した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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