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病院管理フォーラマ 事務長の病院マネジメントの課題—急性期病院の立場から・3
病院改革とは—急性期病院への道
著者: 正木義博1
所属機関: 1社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院
ページ範囲:P.502 - P.504
文献購入ページに移動済生会熊本病院は,平成7年4月新病院を建設移転した.それまでは熊本市西部の旧市街にあったが,どうしても近くに移転先を見いだすことができず,郊外の新しいバイパス沿いで,熊本市の南部に移らざるを得なかった.患者さんがこれまでと同じように来るか,救急車がきちんと入ってくるか,かすかな不安は残ったが,これまで当院が患者さんや地域に行ってきたことや,それに対して患者さんの当院に対する信頼感を考えると,この不安は次第に消えていった.無事,移転が済み新病院での診療が開始されたが,患者さんは予想どおり旧病院と変わらず,かえって次第に増加していった.
筆者が当院に入ったのは同年8月で,既に新病院での診療が始まっていた.病院経営は開院当初ということや,記念行事費,移転費用などで3か月間は採算がとれなかったが,7月からは黒字に転じた.当時から,月ごと,診療科ごとの収支採算状況表を作成していて,大半の診療科は黒字であったが,中には赤字の診療科もあった.しかし,病院全体の採算はとれていて,特段早急に手を打たなければならないということはなかった.しかし,この先,経営を取り巻く環境は次第に厳しくなっていくことは明白で,当院の経営がどのような展開になっていくのか予想できず,どのような手を打つべきか悩み始めた時でもあった.
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