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特集 年功給は崩せるか
年功給から職務給・業績主義給への転換—年功賃金を支えてきた定昇制度が変わり始めた
著者: 肥後文雄12
所属機関: 1東京都経営者協会 2World-at-Work(旧ACA:アメリカ報酬協会)
ページ範囲:P.620 - P.625
文献購入ページに移動昭和35(1960)年経済白書の政府指摘の中に,「年功賃金体系が,賃金原資を次第に増加させること,それは定期昇給制度の普及と労働者構成の高年齢化の2面からひきおこされている.(中略)技術革新の進展とあいまって,現実の作業の中核的役割を演じつつある若年層は,年功賃金の下における彼らの報酬が余りにも少ないという不満が大きくなって来て,この面からの生産性向上の阻害要因になりうる.(中略)年功賃金を改めていくことが重要視されねばならない」とある.これは,まさに今指摘されていることと同じである.つまり,この40年あまりの間,わが国の賃金の体質変革は進んでいなかったと言える.
わが国の賃金は,戦後の生活給本位の賃金形態を引きずり,属人的要素(学歴,勤続年数,年齢,能力,人物,性別など)を主な決定要素としてきた.それまでの賃金制度に対し,職務給の導入が1950〜60年代に提唱されたが,欧米型職務給は背景が違うわが国の企業風土にはなじまないといわれ,その後はむしろ職能給が主流となり今日まできている.
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