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文献詳細

雑誌文献

病院61巻9号

2002年09月発行

文献概要

病院管理フォーラム 事務長の病院マネジメントの課題—急性期病院の立場から・6

聖路加国際病院の過去・現在・未来(3)

著者: 中村彰吾1

所属機関: 1聖路加国際病院

ページ範囲:P.747 - P.749

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⦿健全経営を目指して−1999,2000,2001年の戦略
 1.増収戦略(七つの実行プラン)
 前号で記述したが,1997年の決算状況は償却前でも単年度は赤字であり,当院にとって危機的様相を呈していた.1998年度の予算においても,増収策,費用削減を実施しても4億円の赤字スタートを切っていた.上半期を過ぎた頃突然,日野原理事長,三上常務理事に呼び出しを受け,健全経営実現のため抜本的に経営改革を遂行するよう諮問を受け,同時に事務長職に再任するようにとの拝命を受けた(私事であるが,約3年間JICAのベトナムプロジェクトに参加し事務長職を辞任していたので再復帰になる).すぐに改革,改善計画を立案すると共に,Doプラン=実行プランにおいて,それぞれのプランは誰が・どのセクションが担当し,いつまでに達成するのか,どのようなチーム・プロジェクトを組むのか,5W1Hの法則に則って詳細計画を割り当てた.
 1)紹介率を30%以上にし,加算取得を目指す 当時,当院の紹介率は14%と低い率であったので,病診連携室を強化することになった.具体策として
 ①返信率を高める 紹介をした医療機関の医師に,紹介された患者様にどのような検査をし,どのような治療を行おうとしているのか情報を提供することである.これによって「聖路加へ患者様を紹介すると2度と戻ってはこないのでは」という不安をなくせる.この返信率が低かったので,各科別,医師別の返信率のリストを作成し,何科のどの医師が低いのかを公表することで,紹介医に対するマナーの徹底を励行するよう喚起した.現在の返信率は95%に上り,紹介医師が気持ちよく患者様を紹介できる院内システムを整備することにより,紹介率も40%を超すことができた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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