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特集 医療政策の新しい潮流
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著者: 広井良典
所属機関:
ページ範囲:P.13 - P.13
文献購入ページに移動同様のことは医療についても言える.個々の医療関係者の努力もあって,WHO(世界保健機関)の評価にも見られるように,日本の医療システムは一定の良好なパフォーマンスを示してきたといえるが,現在に至って,国民の医療に対する意識や関心の高まりの中,従来とは異なる新しい次元で多くの課題や問題点が議論されるようになっている.医療政策について見れば,1980 年代前後からの医療政策の基調は,様々な規制的手段や競争原理導入といった手法を活用して,医療の効率性を高め,またその費用対効果を上げるというものであった.しかしながら,上記のような経済状況の変化や,医療や健康に対する人々のニーズの多様化,医療技術や生命科学そのものの急速な変化などの中で,従来型の枠に収まらないタイプの政策展開が求められるようになっており,先進諸国においてもそうした様々な試みが始まっている.
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