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雑誌目次

雑誌文献

病院62巻10号

2003年10月発行

雑誌目次

特集 変貌するか医療法人

巻頭言

著者: 河北博文

ページ範囲:P.813 - P.813

 わが国において病院の開設主体は国から個人まで20 数種類あると言われている.9,200 を超える病院の中でも最も多数を占める開設主体が医療法人である.医療法による医療法人は,持分のある社団と寄付行為による財団,そして最近,特別医療法人が加えられた.さらに,租税特別措置法に定められた特定医療法人もある.

 昭和25 年の医療法人制度設立時には旧厚生省が中心となり医業を主たる事業とする法人のあり方を議論し,医療の持つ公共の利益のためにという社会性を重視し,それを開設主体である医療法人の性格とした.しかし一方,旧大蔵省を中心として,当時,民法上の公益法人による事業の課税問題が検討されていて,医療そのものが営利事業という位置づけがなされていた.言い換えれば,今日の医療法人の矛盾の端はこの二つの違い,開設主体そのものの性格とその組織が行う事業の性格という異なったものを同一に扱ったことに発している.

【てい談】医療法人の事業の公益性と税制,そして私的所有との整合性

著者: 田中滋 ,   土屋俊康 ,   河北博文

ページ範囲:P.814 - P.820

 病院の開設主体は国から個人まで20数種類あるが,9,200強ある病院の中で多数を占める開設主体は医療法人である.医療法人は,持分のある社団と寄付行為による財団,そして,持分のない特別医療法人と租税特別措置法に定められた特定医療法人がある.

 本座談会では,医療法人の公益性,私的所有,イコール・フッティング,税制,病院の機能などをkey wordsに,今後の医療経営にふさわしい開設主体の在り方を探る.

医療法人のコーポレイト・ガバナンス

著者: 川原邦彦

ページ範囲:P.821 - P.825

 本年3月26日に厚生労働省に提出された「これからの医業経営の在り方に関する検討会」最終報告書では,わが国が抱える医療・医療保険制度の現状を俯瞰したうえで,21世紀の医療提供体制を視野に入れつつ,医療法人を中心とする医業経営に求められる将来像を,医療法人制度を中心とする医業経営についての改革の方向と,これを支える政策,制度のあり方を中心的課題におき,取りまとめている.

 同報告書では,今後の医療の担い手としての医療法人を中心とする医業経営の在り方として,①質の高い効率的な医療提供体制の整備,②変革期における医療の担い手としての医療法人を中心とする医業経営の在るべき姿の二点を指摘している.そしてその後者において,「医療法人制度の改善を図るに当たっては,非営利性の原則を維持し,配当禁止の徹底を図りつつ,株式会社参入論において論議されている論点,すなわち資金調達の多様化,徹底した顧客ニーズの把握による顧客サービスの向上等の顧客満足度の向上,消費者の選択肢の拡大,必要な人材の投入,経営マインドを発揮した効率的経営と優れた法人統治(ガバナンス)の確立,経営情報の開示などについて積極的に取り入れるべきことについての見解の一致をみた」としている.

特別医療法人・特定医療法人の選択

著者: 石井孝宜

ページ範囲:P.826 - P.831

 本年3月26日に公表された「これからの医業経営の在り方に関する検討会」最終報告書(副題:国民に信頼される,医療提供体制の担い手として効率的で透明な医業経営の確立に向けて)は,今後の民間医業経営,特に病院を開設する医療法人の医業経営の在り方に関して大きな制度変革の方向性を提示したものといえる.

 病院経営への株式会社参入論が様々な形で議論されている現在,将来にわたって医療法人が医療提供体制の有力な担い手として機能するための一つの提案が当該報告書であるとも考えられる.以下では,特に公益性が高いといわれている特別・特定医療法人制度と最終報告書の関連,並びにその後の制度改正について整理するとともに私見を述べさせていただく.

資金調達の多様化

著者: 鈴木喜六

ページ範囲:P.832 - P.837

資金調達多様化の背景

 1.資金調達多様化の中心は直接金融

 資金調達の多様化とは,主に従来の銀行融資以外の方法が多様化していることを示す.この流れは,従来の銀行融資が資金提供者から資金借入者への中間に銀行が介在して「間接的に資金を融資する」間接金融と呼ばれていることに対して,新しい方法が銀行を排除して「資金提供者から資金借入者へ直接的に資金が提供される」ことから,直接金融の拡大と呼ばれている(図1).

 このような変化は,一見すると「中間搾取の排除」として社会的に好ましいように見えるが,従来の資金仲介者(銀行)が担っていた機能が不要になったわけではない.この機能は,資金提供者・資金借入者のいずれかが負担する必要があり,その点では銀行を排除する金融方法にはそれなりの課題が加わってくる.

病院における「広報」活動と経営情報の公開

著者: 高木安雄

ページ範囲:P.838 - P.842

はじめに―なぜ社会との「広報」=情報開示が求められるのか?

 病院・診療所など医療機関を取りまく経済環境はきびしい.かつてない経済不況の中で患者の医療に対する眼はますますきびしくなり,コスト意識による投薬・検査のあり方はもちろん,医療の質や安全管理のあり方など新しい要素も加わり,医療機関はこうした患者や社会からの問いかけにどのように応えるべきなのか,経営戦略や資源調達の観点から大きな課題となっている.

 本来,病院の「広報」部門がそれを担うのであり,情報開示を含めて病院のPR活動が大切となっている.しかし,わが国では public relation の略であるPRは,宣伝や広報などと狭く解釈され,企業や組織が社会の中で生き残るための戦略について,社会とのより良い関係の確立という意味で理解されていない.本稿では,こうした元来の意味でのPRを「広報」という言葉で使うことにするが,医療機関が社会とどのように関係を結んできたのか,アメリカの病院の取り組みの歴史を振り返りながら,日本の特徴と課題を考えることにする.経営情報の開示を考えるうえで基本的な問題となるからである.

 わが国においては,高度経済成長の中で医療に限らず,財・サービス全体が圧倒的に供給者優位の下で提供されて,消費者や患者は長く無視されつづけた.やがて,トヨタやソニーなどの製造業は世界一うるさい日本の消費者の眼にさらされ,また,きびしい国際競争を生き抜くために,明確な企業戦略ときびしい経営管理を余儀なくされ,世界に羽ばたいていったが,医療や金融などのサービス業は国内市場の調和と保護が優先されつづけた.確かに,医療や金融などの「護送船団方式」による保護行政は,戦後の経済復興や国民皆保険の普及・定着に効果的であった.しかし,今日の消費者・患者のニーズは成熟化・高度化・多様化し,サービスの質と効率化が求められる以上,企業や医療機関は市場の中でその存在理由を検証しなければならない.

 医療機関(病院・診療所)は,医療保険制度と診療報酬によって保護されてきた産業といえる.この二つの制度制約だけを考えていれば,それなりに経営は維持できたのである.しかし,きびしい国際競争にさらされる他の産業界からすれば,質とコストの両面で医療のあり方には問題があり,株式会社による病院経営への参入や混合診療など医療サービスが規制改革の大きな標的とされるのも当然といえる.厚生労働省の「これからの医業経営の在り方に関する検討会」の報告書(2003年3月)が,「非営利性・公益性の徹底による国民の信頼の確保」を強調するのもこうした時代的な背景によるもので,医業経営の透明性を高める方策として,情報公開が挙げられている.

 しかし,厚生労働省によって実施される「制度」ばかりを見つめてきた医療機関にとって,患者はもちろん広く社会(=医療サービス市場)に眼を向けて必要な説明を行い,必要な資源を調達することは初めての経験であろう.医師や医療機関であればフリーパス,特別レートでお金を貸してくれた銀行はもはやなくなり(それ自体,銀行の与信能力のなさの証明であるが),医療の質と効率化に対する社会的説明を求められるようになった.医療法人の経営情報の公開は,こうした文脈の中で考えなければならない.

病院の設立主体・所有形態の現状と比較―日本と欧米諸国

著者: 長谷川敏彦

ページ範囲:P.843 - P.849

 今日,日本の医療界では,設立の主体,所有の形態をめぐる議論が関心を呼んでいる.その1つは急性期病院の中核を担ってきた公的病院の経営のあり方をめぐる議論,2つ目は数的に日本の入院施設の大半を担ってきた私的病院のあり方をめぐる議論である.3つ目には非営利を建前としてきた医療産業界での営利企業の参入の是非をめぐる論争である.

 国立病院は従来赤字体質で,その多くが設備投資や経常経費に公的資金(税金)を補塡して運営してきた.しかしバブル経済の破綻以降,中央,地方政府ともに戦後最長の不況の中で,極めて厳しい財政状況となっており,行政的な政策医療のためとの名目で補塡されてきた赤字補塡も事実上不可能となり,新たな所有形態の提案がなされるに至っている.具体的には国立病院の場合,旧厚生省所有の国立病院,旧文部省所有の大学病院,そして旧労働省所有の労災病院が,来年4月をもって独立行政法人に移管することとなり,多くの自治体で病院の民営化や公社化が進められている.私的病院については,かつてその多くが院長である医師の所有の下にあり,医師による個人所有であったが,経営の非効率性や不透明性から,以前からの旧厚生省の主導もあって法人化へと流れてきている.さらに医療法人の中でも持分のない特定・特別医療法人への移行が強く行政指導されている.小泉内閣発足以降の行政改革委員会の中で,医療は規制緩和の最も遅れた領域と位置づけられ,企業の参入や特区による実験的試行が提案されている.結果的には特区で保険適用外の種目に関する営利団体の参入が始まろうとしている.

グラフ

未来に向けて再スタート 地域に必要とされる病院へ―特別医療法人萬生会熊本第一病院

ページ範囲:P.801 - P.806

 特別医療法人萬生会熊本第一病院は,明治18年から熊本市に歴史を刻む(当初は浦本医院).昨年12月に市中心部の魚屋町から,国道57号東バイパス沿いに新築移転した.

 移転に際し,診療科を増設.糖尿病,消化器領域で活躍中の医師らを招聘し診療を充実・強化.県下民間病院初の本格的無菌病室2室を備え血液疾患の先端的治療を行い,また,東洋医学を取り入れた療法など,予防医療や健康回復維持活動に力を入れる.

特別寄稿

FMEA(失敗モード影響分析法)の医療領域への応用

著者: 相馬孝博

ページ範囲:P.850 - P.854

FMEAとは何か

 FMEA(failure mode effect analysis:失敗モード影響分析法)1)は,「製品」の信頼性を確保するために,工学分野で開発された分析手法である.ISO(international organization for standardization:国際標準化機構)9000シリーズ適用の品質管理プログラムにおいても,FMEAの活用が明記され,製造業を中心にして,世界中の多くの産業で品質改善に利用されている.

 大雑把に分けると,製品計画から設計の段階では設計FMEAが,製造(建設)から運用の段階では工程FMEAが用いられている.いずれにせよ,「製品」の全ライフサイクルにわたり,起こり得る不具合(failure)を未来予測して,望ましくない影響の分析(effect analysis)を行い,製品信頼性を向上させることに主眼がある.この不具合は英語ではすべて「failure mode 」であるが,設計FMEAでは故障モード,工程FMEAでは不良モードと呼ばれており,医療をはじめとするサービス産業では,最終生産物が物質でないので,本稿ではこれを「失敗モード」としておく.

特別企画 第4回フォーラム医療の改善活動(2002年11月10日)より・5

―パネルディスカッション―安全な医療を目指して―質・安全の取り組みのこれまでとこれから(ディスカッション)・4

著者: 新木一弘 ,   大道久 ,   河野龍太郎 ,   北島政憲 ,   嶋森好子 ,   丸木一成 ,   三宅祥三 ,   飯塚悦功 ,   上原鳴夫

ページ範囲:P.855 - P.859

 上原 まずは,医療関係者のご意見を聞かれた率直な感想を,河野さんと丸木さんにうかがいたいと思います.まずは河野さん,いかがでしょうか.

 河野 個人的な印象ですが,医療システムはスタート時のシステム設計が悪すぎて,今やっとそれを見直すという整備段階にきたと思います.しかし,根本的な対策を取らない限り,医療システムの安全,つまり患者の安全管理の改善はなかなか難しいのではないかと感じています.まず,医療システムは情報システムだという認識をきちんと持つことであり,コンピュータを前提としたシステムを考えることだと思います.

 根本的にわれわれの考え方を変えなければいけません.まず,実は私自身がそうであったように,国民が医療の現実を知らないことが一番の問題です.私は医療関係者がこれだけ劣悪な環境の中で働いているとは思っていませんでした.具体的にいうと,例えば発電所の原子炉の運転員が夜勤をして,同じ日にまた仕事をしていたら,皆さん,どう思いますか? また,フランスから成田まで飛んできたパイロットがそのまますぐに大阪へ飛ぶとしたら,皆さん方はそんな飛行機に乗りますか? こういうことが普通に起きているのが医療界です.国民がこうした状況をきちんと理解して,必要なものは負担して国にシステムの変更を要請することも必要ではないでしょうか.

連載 病院管理フォーラム 事務長の病院マネジメントの課題 急性期病院の立場から・19

病院組織の活性化を目指した人事考課の取り組み

著者: 佐合茂樹

ページ範囲:P.860 - P.863

病院の活性化の視点

 病院を取り巻く環境が大きく変わろうとしている.使い古された表現ではあるが,地域の「病院」が変わりつつある現実を見ていると,そう思わざるを得ない.病院の機能特化の流れに代表されるように,医療提供体制の整備では一般病院を急性期と慢性期に分けたいという思惑があり,施設基準や診療報酬制度の体系もそれに合わせて整備されつつある.このような環境下で,一般病院の病院管理者たちは,旧態依然のままでは生き残れないことを予測して,医療制度そのものが地域医療に合わない実態や診療報酬上のメリットのみが医療を支えるものでないことを肌で感じながら,自院のあるべき姿を模索し,病院の変革を試みている.

 急性期病院か慢性期病院かという選択は,地域ニーズを踏まえた病院個々の機能により決定されるものである.病院がどちらの方向性を目指す場合でも,大切なことは,組織としての意思決定が職員に周知徹底され,活力ある運営ができるか否かである.良い病院の条件はまさに「組織の活力」に左右されるものであり,その意味では病院組織をいかに活性化させていくかの課題は,管理職に課せられた重要な使命ともいえる.今回,筆者の連載の最後として,特に急性期病院に限定した話題ではないが,院内活性化と職員個々の成長の視点で取り組んだ木沢記念病院の人事考課制度について紹介する.

看護管理=病院のDON・34

看護情報提供と看護連携

著者: 小山秀夫

ページ範囲:P.864 - P.865

有機的連携の意味

 病院看護はチームケアが前提となり,各看護職の有機的連携が重要である.この他,どのような病院でも,医師との連携,理学療法士や作業療法士との連携,栄養士や薬剤師との連携というように,院内の他職種との連携について焦点が当てられ,改善方策が検討されることが多い.しかし,専門職種が多く,比較的多くの職員が交替制勤務で24時間,365日の業務を遂行する場合,実は,看護職の連携が十分でないということが起きる.

 医療や看護あるいは社会福祉などの分野では,各サービスの有機的連携が必要だといわれてきた.実際にこの用語は,行政の各種の通知文によく利用されている.有機的とは「多くの部分が集まって,たがいにつながりを持ち,それが全体を形づくり,よく統一がとれているさま」のことで,連携とは「共同して物事を行う」ことである.したがって,保健・医療・福祉の有機的連携といえば,この三者が集まり,つながりを持ち,全体に統一がとれた共同事業を行うということである.

事例による医療監視・指導─院内感染・医療事故予防対策・7

薬剤過剰投与の事例と院内巡回による情報把握の重要性

著者: 桜山豊夫

ページ範囲:P.866 - P.867

 山崎豊子原作の『白い巨塔』という小説が新たにテレビドラマ化されるようですが,この小説は以前にも田宮二郎の主演で映画化され評判を呼んだことがあります.後にテレビでも『白い巨塔』と『続 白い巨塔』の二作が同じ田宮二郎主演でドラマ化されましたが,ドラマ最終回放送時の衝撃的な事件も記憶に残るところです.現代と時代が違うので,描かれた内容が今の時代にもぴったり当てはまるとも思われませんが,映画の中で主人公(田宮二郎)が無事(?)外科学講座の教授に就任した後,婦長が「ただいまから財前教授の回診が始まります」と叫んで,助教授,講師,医局員を引き連れて大名行列のような教授回診が行われるラストシーンが印象に残っています.

 小林圭樹主演で画家の山下 清をモデルにした映画『裸の大将』の中では,戦前の精神病院の中での院長回診のシーンが出てきます.喜劇ですので,多少誇張もあるでしょうが,興味深いシーンでもあります.

医療機関のマーケティング戦略─産科の受療行動からみえるもの・6

産んだ人はどのような情報を活用して施設を選んだか

著者: 伊藤ゆかり

ページ範囲:P.868 - P.871

少子化時代の出産場所選び

 日本では,子どもを産むことが珍らしくなってきている.2002年人口動態統計によると,出生数は115万人,合計特殊出生率は1.32に落ち込み,過去最低である.国立社会保障・人口問題研究所の「第12回出生動向基本調査」では,結婚5年未満の若い夫婦が実際に産む予定にしている子どもの数は1.99人と2人を切っている.「子どもは1人」という夫婦が増加しており,社会は急速に少子高齢化へ移行している.

 このように,出産する機会が減っているため,出産を取り扱う施設にとっては,厳しい経営環境である.それゆえ,出産を取り扱う機関にとっては,子どもを産む女性のニーズや不満を正確にとらえるということが,かつてないほどに求められてくるだろう.

医療安全管理の実践・6

医療安全の有効な方策―EBMに基づくAHRQ25方策とコンセンサスに基づくNQF30方策

著者: 長谷川敏彦 ,   藤澤由和 ,   平尾智広

ページ範囲:P.872 - P.877

 医療安全の院内におけるシステムや概念,そして医療事故の実態などについてこれまで述べてきた.そこで今回は,具体的な患者安全の方策についてこれまで議論され,検証されてきたことをまとめたい.

 米国の医療の質と安全性をリードする全国的な合意形成グループ,全国質フォーラム(National Quality Forum:NQF)は,本年5月,これまで議論されてきた様々な医療安全方策をNQF内の検討委員会で,有効性や効率性などの観点から検討した結果,極めて重要なセットとして30方策を推奨するに至った.それまでも,例えば米国厚生省質管理庁(Agency for Healthcare Research and Quality:AHRQ)のプロジェクトで,カルフォルニア大学サンフランシスコ校およびスタンフォード大学を中心にした研究チームがEBMの手法を用いた医療安全方策の評価によって,23の有効かつ安全な医療安全方策が推奨していたり,米国の優良大企業が集まって医療の質や安全性について進言をするリープフロッグ(Leapflog)・グループが三つの大きな活動を推奨してきた.また当然米国医師会,米国病院協会,その他の専門団体もその領域における医療安全方策を推奨してきた.

病院ボランティア・レポート─ボストン,ロンドン,そして日本・7

アートを取り入れた院内活動

著者: 安達正時

ページ範囲:P.878 - P.880

 アートを取り入れた病院の活動は国内外問わずよくみられます.アートがどのような形で取り入れられているか,どれも個性的で興味深いものがあります.

英国ロンドン―Chelsea and Westminster Hospital

 Chelsea and Westminster Hospital は1993年にできた,英国で最も新しい公立教育指定病院です.この病院は,元々地域にあった五つの病院(St Stephen's Hospital・ Westminster Hospital・Westminster Children's Hospital・West London Hospital・St Mary Abbots)が合併して一つの総合病院として建設されたものです.

アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第108回

公立南砺中央病院

著者: 三谷恭一

ページ範囲:P.882 - P.887

南砺地区

 公立南砺中央病院は,富山県南砺地区の医療を担うために,新たに設置された病院である.この病院の事業主体は,広域連合という形式の地方公共団体で,病院を建設するために2町3村が参加して造った新たな自治体である.広域連合に参加した町村のうち,福光町,城端町,平村,上平村の2町2村が富山県に属し,白川村だけが岐阜県に属している.このような越境した広域連合はわが国では初めてのことで,山間地としての白川村の事情を考慮した結果,可能となった広域連合である.

 そもそも,南砺地区には,城端町に90床の城端厚生病院があったが,老朽化と狭隘化が進み,病院機能としても南砺地区の医療を担うには心細いものであった.そこで,城端厚生病院を発展的に解消し,広域連合を設立,広域医療圏のニーズに応えられる新病院の建設となった.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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