icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

病院62巻6号

2003年06月発行

雑誌目次

特集 病院管理からみた患者安全

巻頭言

著者: 大道久

ページ範囲:P.445 - P.445

 繰り返される医療事故報道は医療への信頼を揺るがせており,病院管理者にとって患者安全の確保は最も差し迫った課題である.医療の質の向上と患者安全の確保は表裏の関係にあり,医療事故防止の体制を整備して病院組織における安全文化の確立を図ることは,医療の質保証の基本的な前提となっているといえる.本特集では,医療の質と医療事故をめぐる諸問題を米国を中心とした諸外国の動向も踏まえてとらえ直し,医療事故の原因分析と有効な防止策の方法などについて改めて検討しておきたい.

 患者安全の確保については行政にとっても重要課題となっており,「医療安全支援センター」の設置など,最近の施策の概要と今後の方向について把握しておく必要がある.国民・患者側からの医療に関する相談の受け入れ,医療機関側からの情報提供も求められているが,その中で医療事故や医事紛争が主要な検討対象となっているからである.また,医療の現場の安全管理責任者であるリスクマネジャーは一定の定着をみているが,その業務内容と権限の範囲などは病院によって多様であるように見受けられる.患者安全の実をあげるうえで,リスクマネジャーのあり方を考えておきたい.

米国に学ぶ医療安全の方向性

著者: 相馬孝博

ページ範囲:P.446 - P.452

はじめに―その底流

 1999年の米国医学院(IOM;Institute of Medicine)1)の報告書は,英国詩人ポープの名文句「過つは人の常,許したもうは神の業(To err is human, to forgive, divine)」からとったタイトルと,米国医療事故犠牲者は交通事故死者数を上回るとの衝撃的な推計で,英語圏のみならず世界中の注目を浴びることになった.しかし,この報告書は決して突然出されたものではない.米国の麻酔患者安全財団は1984年から活動を開始しており,医療事故の発生頻度を調査したハーバード研究は1991年に出されている.時代とともに消費者の権利が意識されるようになり,医療界においても,医療サービスの消費者(=患者)の視点から,医療安全が考えられるようになったのである.

 米国には,政府組織の周辺に様々な団体があり,多くは非営利団体であるが,より安全で質の高い医療を求めて,連携をとりつつ継続した活動を行っている.本稿では1990年代後半からの米国の主要な団体の動向(図)を概説し,その方向性を探ってみたい.

医療安全の推進に向けた国の取り組みと今後の方向

著者: 宮本敦史

ページ範囲:P.453 - P.458

 医療は,本来,患者と医療従事者,ひいては医療に対する信頼の下に提供されるべきものであるが,昨今,医療事故の発生によりその信頼が大きく揺らぎかねない状況となっている.このため,医療事故の防止を図り,医療に対する国民の信頼を高めることは,現在,医療政策における緊急の課題となっている.

 頻発する医療事故は,1990年代後半から,欧米諸国においても大きな社会問題となっていた.米国医学院(Institute of Medicine;IOM)内に設けられた「米国医療の質委員会」は,1999年11月に医療事故の予防に関する包括的な報告書『TO ERR IS HUMAN(人は間違うもの)』(以下,IOM 報告)1)を取りまとめたが,それによると,ニューヨーク州およびユタ・コロラド州の主要病院でのカルテ調査による医療事故死亡の発生頻度を全米の入院患者に適用した場合,年間の医療事故による死亡者数はニューヨーク州のデータに基づくなら9万8千人,ユタ・コロラド州のデータに基づく場合は4万4千人にのぼり,いずれの場合も交通事故死亡(4万3千人),乳癌による死亡(4万2千人)を上回るとされている.また,入院患者の3%前後は入院中に事故(医学的関与に起因する有害事象)を経験していることが報告され,大きな反響を呼んだ.

 これを受け,2000年2月には,政府の各省調整作業委員会から行動計画「Doing What Count For Patient Safety」2)が発表され,この報告に基づいて当時のクリントン大統領が「5年間で予防可能な医療事故を半減する」と宣言し,現在取り組みが推進されている.また,英国および豪州も,2000年には医療安全に関する戦略計画3,4),2001年には行動計画5,6)を発表し,国を挙げて医療安全の推進に向けた取り組みを始めたところである.

 一方,わが国においても,1999年1月に発生した手術患者の取り違え事故を契機に,行政をはじめ,個々の医療機関や関係団体などにおいて様々な取り組みが推進されているところである.

 本稿では,まず,医療安全の推進に向けた基本的考え方について述べ,さらに,厚生労働省がこれまでに実施してきた医療安全対策と今後の方向について概説する.

わが国における病院の安全管理体制とリスクマネジャーの実態

著者: 井部俊子

ページ範囲:P.459 - P.464

はじめに

 医療機関において医療事故防止を推進し,安全な医療を提供していくためには,個々の医療従事者の患者安全確保に対する意識改革が求められる一方,医療事故防止における組織的な取り組みが不可欠である.医療は,複雑かつ高度化しており,さらに医療サービス提供プロセスには多くの医療従事者がかかわっているため,医療従事者個人の努力では対処できない問題があるからである.

 医療機関における安全管理体制の構築は,部門や職種ごとの安全管理体制のみならず,組織横断的に安全管理を担う体制作りが重要であり,病院管理者の責務である.医療安全管理を機能させるために中心となって活動する役割をもつリスクマネジャーの配置が試みられ,その後,診療報酬制度にも反映されることになった.

 米国では,アメリカ・ヘルスケア・リスクマネジメント学会(American Society for Healthcare Risk Management:ASHRM)がヘルスケア・リスクマネジャーの認定を行っている.ASHRMでは,ヘルスケア・リスクマネジャーの業務範囲を,①損失の防止と回復,②訴訟管理,③リスクファイナンシング,④規制と認定,⑤リスクマネジメント・オペレーション,⑥生命倫理,の6領域に分類している.これらの業務内容は,米国におけるリスクマネジメントが医療事故による訴訟対策が発端となっているとされ,「組織体」における損失予防という意味合いが強いものとなっている.

 一方,わが国では,医療機関におけるリスクマネジャーの組織的位置づけは様々であり,その役割や機能について標準的なあり方が十分に検討されてこなかった.

 本稿では,平成13(2001)年度に実施した医療技術評価総合研究事業「医療機関におけるリスクマネジャーの機能に関する研究」(主任研究者井部俊子)の結果を元に,医療安全に取り組む医療安全管理者の実態を報告し,わが国における医療安全管理体制のあり方について考察したい.

認定病院における医療事故関連情報の共有による患者安全の推進

著者: 遠矢雅史 ,   大道久

ページ範囲:P.465 - P.469

 有効な医療事故防止策の実施は,今や医療提供における喫緊の課題である.院内では安全管理委員会などの設置,事故防止マニュアルの作成,インシデント・アクシデントレポートの検討,継続的教育の実施などにより一定の成果を上げているが,毎日のように医療事故報道は続いており,医療への信頼を確保するためにもさらなる有効な施策が求められている.

 財団法人日本医療機能評価機構は,学術的・中立的立場から病院機能の評価と改善支援の事業を展開している公益法人である.同機構から医療の質向上に積極的に取り組み,既に認定証を取得した病院は880病院〔平成15(2003)年3月末現在〕を超えており,今後さらに毎月30~40病院の増加が見込まれている.

【座談会】患者安全への課題

著者: 井部俊子 ,   岡本豊洋 ,   佃守 ,   林茂 ,   橋本廸生

ページ範囲:P.471 - P.481

今,何が課題か

 橋本(司会) 本日は,病院の中で診療,看護,管理のトップの立場で,患者安全にご苦労されている方々からご意見を伺い,今後の課題を議論してみたいと思います.所属される病院の性格や開設主体がそれぞれ異なりますので,マネジメントの手法も異なると思われます.その辺りも意識してみたいと思います.

 まず始めに,患者安全確保への課題として,今一番の課題をお聞かせください.皆さんの病院での問題でもいいし,一般的な観点からでもかまいません.

グラフ

いつも住民のために地域包括ケアを実践する―公立みつぎ総合病院

ページ範囲:P.433 - P.438

 「地域包括ケア」あるいは「保健・医療・福祉の連携」という言葉は今や巷にあふれているが,広島県御調町で行政の機構改革が行われ地域包括ケアシステムがスタートしたのは20年前.以来,公立みつぎ総合病院を核として,「寝たきりゼロ」「住民のために」を合言葉に地域包括ケアを実践し,わが国の保健・医療・福祉政策を常に先取りしてきた.小誌では1985(昭和60)年5月号(44巻5号)で同院を取材しているが,当時の記事を振り返りつつ今回取材してみると,今も変わらぬ理念が脈々と流れ,時代の変化に対応しながら進化してきた様子がうかがえた.

特別企画 第4回フォーラム医療の改善活動(2002年11月10日)より・1

メイヨークリニックにおける質改善と医療安全の取り組み

著者: フィッシャーデボラ

ページ範囲:P.482 - P.484

 今日は,メイヨークリニックでは医療安全を確保するためにどのような組織体制を築いてきたか,どんな具体的活動を行っているか,それ以上に重要なこととして病院の中にどうやって安全の文化を浸透させていくか,また病院のリーダーたちが医療安全に果たすべき役割の重要性についてお話します.

メイヨークリニックの取り組み

 メイヨークリニックでは1999年に安全に対する取り組みが始まった.同年, 医学研究所,Institute of Medicine(IOM)レポート『To err is human』(邦訳:『人は誰でも間違える―より安全な医療システムを目指して』,日本評論社)が出版され,患者の安全という考え方について重要性が認識されるようになった.IOMはもう一つの報告『Crossing the quality chasm』(邦訳:『医療の質―谷間を越えて21世紀システムへ』,日本評論社)を公表し,この中で社会は病院に六つの条件を要求している.それは,安全性,エビデンスに基づいたケア,常に患者中心であること,時宜を得ていること,システムが効率的であること,公正性を重視した構造であることだ.

新連載 日本版クリニカル・ガバナンスの確立に向けて・1

ブレアのNHS改革と日本版クリニカル・ガバナンス

著者: 武藤正樹

ページ範囲:P.486 - P.489

はじめに

 イラク戦争への加担によって与党労働党内部からも離反を生み,また国民支持率を急落させた英国労働党のブレア首相ではあるが,こと国営医療(NHS:ナショナルヘルスサービス)改革においては,1997年政権について以来,意気軒昂だ.2001年6月に首相に再選される総選挙前のテレビ演説で「医療制度改革をなしとげなければ,首相の座を保守党に明け渡す」とまで公約し,その後,数々のNHS改革メニューと改革数値目標を生み出している.

 本稿では,こうしたブレアのNHS改革の概要と,その中心的概念である「クリニカル・ガバナンス」,すなわち「臨床統治」―臨床の場で医療の質と安全を規律し,統治する―という概念を紹介するとともに,その概念の日本への応用について考えてみたいと思う.

連載 病院管理フォーラム 看護管理=病院のDON・30

管理職のワーキングスペース

著者: 小山秀夫

ページ範囲:P.490 - P.491

DON のワーキングスペース

 次の数字は,何であろう.

 局長級  18

 部長次長  9

 課長級   5

 補佐級   2.6

 係長級   1.8

 一般職   1

 正解は,国土交通省大臣官房庁営繕部が定めている,「新営一般庁舎面積算定基準」の「地方大官庁(局)地方ブロック単位の事務室の面積換算率」である.官庁の建物を新築する場合,最近では4m2に,この換算率によって算出された面積が標準となる.課長1人,補佐1人,係長2人,一般職22人の課であれば,33.2(5+2.6+1.8×2+22)×4=132.8m2の事務室ということになる.ただし注があり,「事務室内に定位置をもたないものは含まない」とある.こんなことまでが決まっているのは,公務員の世界だけであろう.

 国公立の病院は,この基準を採用しているので,新築の県立中央病院の看護部長室は36m2(6mスパンの部屋で,最近の標準的多床室と同面積)ということになる.県立中央病院や国公立大学病院クラスの病院は,数も少ないが,最近は,看護局長という呼称も増えてきた.こうなると72(18×4)m2ということになるが,筆者はまだ見たことがない.

施設管理・8

防犯のためのファシリティマネジメント(2)

著者: 小室克夫

ページ範囲:P.492 - P.494

 前回(「病院」62巻4号)では,病院の防犯につき,米国の調査から①監視カメラの増設,②優秀な警備員の配置,③入室制限システムの設置,④完全施錠の徹底,⑤従業員への指導方法の改善,さらに⑥職員の大きな名札などが窃盗事件の減少に功を奏していること,また日本看護協会の実態調査から,⑦夜間の保安体制は職員や患者以外の第三者の出入りや動線管理が重要であることを報告した.

 今回はそれらを踏まえ,病院内の犯罪で最も多いといわれている盗難事故(窃盗)を中心にそれらの種類や傾向などについて述べ,また,各種犯罪(リスク)とその対応策(対応マニュアル)について述べる.

事務長の病院マネジメントの課題 急性期病院の立場から・15

経営改革―平成13~14年度の活動

著者: 伊藤良則

ページ範囲:P.495 - P.497

 平成12年度は全院的活動とPDCA(plan,do,check,action)のサイクルがうまく機能して,開放型病院,急性期病院加算が取得できた.

 しかし,東住吉森本病院の5年後,10年後のあり方を考えればまだまだ危弱な体質であった.そこでまず,地域における病院の使命や存在理由について原点に戻り検討した.すなわち経営理念やビジョンの再確認を行った.

事例による医療監視・指導─院内感染・医療事故予防対策・3

医療従事者が結核に罹患した事例

著者: 桜山豊夫

ページ範囲:P.498 - P.499

 SARS(重症急性呼吸器症候群)と呼ばれる新型肺炎が話題を集めています.本誌が出版される頃には,病原体の特定も進んで少し落ち着いているかもしれませんが,4月上旬の段階で,既に累積患者数はおよそ3,000人に達し,死亡者数も100人を超える勢いです.感染経路としては接触感染,飛沫感染が疑われているようですが,飛沫核感染(空気感染)もあるのではないかとの説もあります.

 本号では前回に引き続いて結核の院内感染について取り上げますが,結核も飛沫核感染によって感染が広がります.結核の院内感染に対して注意を払っていただければ,結果としてSARSの院内感染を予防するうえでも効果があると思います.

 前回は医師による診断の遅れ(doctor's delay)の結果,院内感染が発生した例をご紹介いたしました.今回は医療従事者が結核に罹患した例をご紹介いたします.

医療安全管理の実践・2

医療の安全管理―新しい考え方(2)

著者: 長谷川敏彦

ページ範囲:P.500 - P.503

四つの新基本概念群 (four basic conceptual cluster)

 前号に述べた考え方の転換を踏まえて,具体的に病院内の安全管理を執行するに当たって必要となる四つの核概念を提起したい.わざわざこのような新概念を提案し,地図化(mapping)するのは,医療安全が人類至上極めて新しい概念であり,具体的な執行の方法論が一部未開発で現場の方の創意工夫に頼らねばならないことや,病院の持つ特質が異なって一律の具体的な対策の提言が難しいからでもある.

 1.概念地図

 院内の患者安全活動を推進するための四つの概念は,それぞれが相互に関係し合っている(図 1).まず,すべての出発点は,人は間違うものだと認識し,そして間違いから学び記憶する組織を開発していくことである.医療事故の現状を把握し,分析判断し,改善のための介入方法を選択して現状を改善し,さらにそれを評価して安全を高めていくという過程は,決して終わることがない螺旋階段のようである.この上昇する螺旋の活動は,同時に院内の安全文化を醸成していく過程に他ならない.またこの永遠の過程は,戦略的には「危険管理」,「安全管理」,「質管理」そして「使用管理」という三つないし四つの戦略的発展段階の過程でもある.

 これらの組織開発と発展段階を推し進めるに当たっては,執行の推進基盤として三つの「識(織)」,すなわち「意識」,「組織」,「知識」が必要であり,また具体的に現状を分析したり,改善方法を考案するための質安全改善技法が必要で,とりあえずここでは「七つ道具」を提案したい.

医療機関のマーケティング戦略─産科の受療行動からみえるもの・2

産科医療機関における患者とのリレーションシップ・マーケティング

著者: 冨田健司 ,   井上淳子

ページ範囲:P.504 - P.507

 今日,医療機関を取り巻く環境は厳しさを増し,各医療機関とも存続と成長を実現するために組織の様々なマーケティング努力を必要としている.医療機関におけるマーケティングとはステークホルダー(患者,職員,連携医療機関,製薬企業,流通企業,地域社会など)の満足度を高め,信頼関係を築き,長期継続的なリレーションシップを構築することであり,このようなマーケティングを特にリレーションシップ・マーケティングという.供給過剰,医療ニーズの多様化,人口動態の急激な変化(少子高齢化),医療過誤問題の増大やそれに伴う情報開示の高まり,といった要因もあり,医療機関が患者と良好なリレーションシップを構築していくことは近年,より重要性を増している.

 特に産科の場合,他診療科の受療と比べて患者には事前に情報収集を行う時間的猶予がある場合が多く,その手段としてクチコミが大きな役割を果たしている.医療機関と極めて良好な関係にあり,自らの宣伝の役割をしてくれる人を伝道者というが,この伝道者を育成するためにリレーションシップ・マーケティングが不可欠となる1).しかし,現実的には良好な関係作りは難しく課題が多い.

 そこで本稿では,産科医療機関が患者と良好なリレーションシップを築くための方策について論考する.その際,信頼関係構築の鍵となる情報の非対称性の解消に着目する.「情報の非対称性の解消」→「信頼構築」→「リレーションシップ構築」という順序でリレーションシップは構築されていくが,本稿ではリレーションシップ構築,信頼構築,情報の非対称性の解消という逆の流れでそれぞれの要件を議論し,最後に誰を顧客として認識し,信頼関係を構築すべきかという問題に関して議論していく.

病院ボランティア・レポート─ボストン,ロンドン,そして日本・3

ボランティア・コーディネータ(1)

著者: 安達正時

ページ範囲:P.508 - P.510

ボストン,ハーバード大学提携教育病院のボランティア・コーディネータ

 今回訪れた病院では,ボランティアの数が,数百人から数千人を上回ります.例えば,Massachusetts General Hospital(MGH)では1,200人,Children's Hospitalでは550人,Dana Farberでは700人が様々な活動をしています(Box 1).このような大規模なボランティア組織になると,メンバーの管理・運営も,組織化する必要があります.その中心となっているのが,ボランティア・コーディネータです.

 今回ボストンで訪れた病院のボランティア・オフィスには,ボランティアのまとめ役として専門の看護師がトレーニング(Box 2)を受け,ボランティア・コーディネータとして勤務しています.MGHのボランティア・コーディネータであるPatricia O'B. Rowell氏は,コーディネータの仕事とは,①ボランティア教育,②ボランティア活動しやすい環境作り,③ボランティアをハッピーにすること,の三つを基本にしているとおっしゃっていました.

アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第104回

みやぎ県南中核病院―病む人への優しい心づかいに満ちたエコ・ホスピタル

著者: 高橋公雄

ページ範囲:P.512 - P.518

透明な設計者選定―公募型プロポーザル

 みやぎ県南中核病院の建設に当たって特筆すべきは,設計者の選定方法として,指名方式ではなく公募型プロポーザルが採用されたことである.設計者選定の透明性・公平性の確保が図られ,応募者の資格条件を極力付けないこととしたが,病院建築の特殊性から過去10年間に200床以上の病院の設計・監理を行っている条件が付された.

 応募は18案に上り,建築計画の専門家を中心に,医療施設計画,医療関係の各分野の専門家による審査委員会で公平かつ客観的な審査が行われた.結果,当社案が最優秀案として採用された.審査内容の講評と,全応募案を登載した記録集が刊行され公表されている.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?