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文献詳細

雑誌文献

病院62巻6号

2003年06月発行

文献概要

連載 医療機関のマーケティング戦略─産科の受療行動からみえるもの・2

産科医療機関における患者とのリレーションシップ・マーケティング

著者: 冨田健司1 井上淳子2

所属機関: 1静岡大学人文学部 2早稲田大学大学院

ページ範囲:P.504 - P.507

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 今日,医療機関を取り巻く環境は厳しさを増し,各医療機関とも存続と成長を実現するために組織の様々なマーケティング努力を必要としている.医療機関におけるマーケティングとはステークホルダー(患者,職員,連携医療機関,製薬企業,流通企業,地域社会など)の満足度を高め,信頼関係を築き,長期継続的なリレーションシップを構築することであり,このようなマーケティングを特にリレーションシップ・マーケティングという.供給過剰,医療ニーズの多様化,人口動態の急激な変化(少子高齢化),医療過誤問題の増大やそれに伴う情報開示の高まり,といった要因もあり,医療機関が患者と良好なリレーションシップを構築していくことは近年,より重要性を増している.

 特に産科の場合,他診療科の受療と比べて患者には事前に情報収集を行う時間的猶予がある場合が多く,その手段としてクチコミが大きな役割を果たしている.医療機関と極めて良好な関係にあり,自らの宣伝の役割をしてくれる人を伝道者というが,この伝道者を育成するためにリレーションシップ・マーケティングが不可欠となる1).しかし,現実的には良好な関係作りは難しく課題が多い.

 そこで本稿では,産科医療機関が患者と良好なリレーションシップを築くための方策について論考する.その際,信頼関係構築の鍵となる情報の非対称性の解消に着目する.「情報の非対称性の解消」→「信頼構築」→「リレーションシップ構築」という順序でリレーションシップは構築されていくが,本稿ではリレーションシップ構築,信頼構築,情報の非対称性の解消という逆の流れでそれぞれの要件を議論し,最後に誰を顧客として認識し,信頼関係を構築すべきかという問題に関して議論していく.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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