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特集 特定療養費制度の拡大と病院の対応
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著者: 河北博文
所属機関:
ページ範囲:P.533 - P.533
文献購入ページに移動今日の医療提供体制は,それを担う原価とそれに対する支払いに大きな乖離を見ている.また,国民が期待する医療と社会保険で給付される医療にも,内容として差が生じている.これらの差を埋めるための社会保険制度の仕組みが特定療養費制度である.療養環境,診察の選択,高度先進医療などが対象になっているが,前述の差を埋めきれてはいない.それに対し,自由診療は一切社会保険から離れ,衛生法規的にも内容に関する学術的検証は不要であり,有効性や安全性は全く関知されていないのが現状である.これらの間に存在するものが混合診療という考え方であり,保険と自費を併用し,かつ行政から利用者と医師の裁量を大幅に委ねられるものである.医療そのものの枠を拡大し,技術革新にも寄与し,社会経済全体に対しても貢献できる潜在力をもっているのではないか.
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