病院63巻1号

2004年01月発行

連載 医療機関のマーケティング戦略─産科の受療行動からみえるもの・9【最終回】

広告規制緩和時代に求められる医療機関の今後の姿

著者： 碇朋子¹ 冨田健司²

所属機関： ¹静岡県立大学経営情報学部 ²静岡大学人文学部

ページ範囲：P.82 - P.87

◆本連載の狙い

　「医療機関のマーケティング戦略―産科の受療行動から見えるもの」と題した本連載も，今回で最終回を迎えた．ここまでの8回の記事の中で，各執筆者は，そのバック・グラウンドや関心・視点に微妙な差異を持ちつつも，一貫して産科の受療行動を題材として，以下のような問題意識を共有しつつ，議論を進めてきた．

　すなわち，1992年から4回にわたって実施された医療機関の広告規制緩和は，医療機関が表示できる情報事項を増やすことによって，患者が医療機関を選択する際の情報の質・量を増大させ，結果として医療機関の適正な競争を促進することをねらいとしているといわれている．しかし実際に，規制緩和を受けて，医療機関の広告・広報という患者に対する情報提供活動のあり方には，変化がみられるのか否か？