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連載 リレーエッセイ 医療の現場から
ぼやきをぼやきで終わらせていいのでしょうか?
著者: 平孝臣1
所属機関: 1東京女子医科大学脳神経外科学講座
ページ範囲:P.861 - P.861
文献購入ページに移動しかし一方で,それにみあうだけの処遇が改善されていないばかりか,悪化しているといっても過言ではない.これがぼやきの原因である.
私どもの施設には毎日数多くの患者さんが紹介されてくる.その多くは他施設では手に負えない病状や,患者さん自身がよりよい施設や医師(と彼らが思う)を希望してという理由である.そこに働く者としては冥利につきることではある.しかしどんなに毎日診療に明け暮れ,平均をはるかに上回る数と内容の治療を行っても,自己の収入にはまったく反映されない.診療にインセンティブがないので,患者を診ずに論文のための研究を優先する者も出てくる.これが多くの大学病院勤務医の実感ではないだろうか.
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