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文献詳細

雑誌文献

病院64巻11号

2005年11月発行

文献概要

連載 病院管理フォーラム 病院マネジメントの課題

診療記録の課題を考える(1) 医療者間の情報共有のあり方

著者: 西本寛1

所属機関: 1大津赤十字病院呼吸器科

ページ範囲:P.936 - P.937

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医療機関にとって,診療記録は有形で残るアウトカムの大部分を占めるもので,病院管理学の礎を築いた Malcolm T. Mac Eachern がその著『Hospital Organization and Management (病院組織と管理)』の中で,診療録には,

 1)患者にとっての価値

 2)病院にとっての価値

 3)医学研究上の価値

 4)医学教育上の価値

 5)公衆衛生上の価値

 6)法的防衛上の価値

があると述べています.

 MacEachern は,アメリカ外科学会での活動を通じて,専門医制度,さらには現在の医療機構認定合同委員会(JCAHO)につながる活動をした人物で,日本にはそれから遅れること80年にして,専門医制度,第三者評価の流れが生まれてきたといえます.

 JCAHO の日本版ともいうべき日本医療機能評価機構の Chart Review 検討会が,今年「医療記録の記載指針」を公表しており,その中で,

 ①医療過程における医療専門職の思考のよりどころ

 ②患者と医療専門職とのコミュニケーションの基本媒体

 ③チーム医療の共通媒体

 ④医療行為の公式証明の基本情報

 ⑤病院経営の基本情報

 ⑥学術研究・教育の基本情報

 ⑦公共社会の健康安全と危機管理の基本情報

の七つの価値が挙げられていますが,時代・場所を隔てても,MacEachern のいう価値から大きくはずれてはいないと思います.

 ただ,ここで②患者と医療専門職とのコミュニケーションの基本媒体と③チーム医療の共通媒体という二つの価値は,診療記録のあり方における重要なキーワード,すなわち,『共有』というキーワードでくくれると考えます.

 本稿では,1)医療者間の情報共有,2)医療者・患者間の情報共有,3)社会との情報共有という三つの側面でとらえる形で,三回に分け,診療記録の課題を考えていこうと思います.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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