文献詳細
文献概要
特集 医療政策の決定プロセス
病院の声は医療政策に反映されているか
著者: 河北博文1
所属機関: 1医療法人社団河北総合病院
ページ範囲:P.989 - P.993
文献購入ページに移動今日,9,000を超える病院が存在し,病院病床は未だに160万床を超えている.1985年の医療法改正により地域医療計画が導入されたが,結果として,その当時の既存の病院数,病床数が認められたことになっただけであり,科学的根拠に基づいた標準化はなされず,また,地域の特性に応じた医療の再編成もなされないで今日に至っている.医療の量的確保から質の向上へ関心が移り,最近では医療の安全性が最も注目されている.また,20数種類に及ぶ病院開設主体の中で国・公立病院は開設主体そのものと同時に運営も民営化されつつある.そのような悠長な変化の中でも多少なりとも医師数,看護師数,セラピスト数等の人員は漸増した.地域医療において病院への受療は増加し,医療費に占める病院医療費の比重も増加し続けている.
ここまで述べてきたように,病院の社会的存在は日々重みを増していることは事実である.すなわち,病院の声は政策に全く反映されていないわけではない.しかし,冒頭に述べたように多くの病院が期待する良い医療,ゆとりある現場の実現からは程遠い医療環境であることも事実である.なぜ病院の声が医療政策にそれほど反映されていないのであろうか.
掲載誌情報