文献詳細
特別寄稿
文献概要
わが国における民間病院等医療法人の資金調達は,そのほとんどが金融機関からの借入れ,すなわち間接金融に依存しているのが実状である.病院には,施設の建替やIT・高額機器等への投資といった資金需要があるが,一方で一時期の金融機関の“貸し渋り”現象もみられ,直接金融の一つである債券発行による資金調達手段の多様化が注目されている.
医療法人の発行する債券(以下「医療機関債」という)が資金調達手段として認められる意義は,以下の諸点に要約される.
●資金の出し手が金融機関以外に存在することから,医療法人の資金調達が金融機関サイドの資金事情の影響を受けずに安定化しうる.
●金融機関からの借入れに対し牽制手段となり得る.
●医療法人の資金調達手段が制約されていることが格付面でマイナス要素とみられているのを是正し得る.
●「医療法人が株式会社形態をとれば,資金調達手段の多様化が図れる」との議論を吸収し得る.
本稿は,医療機関債についての経緯・法的な問題点・厚生労働省のガイドライン等を踏まえ,「あるべき医療機関債」について提案するものである.
医療法人の発行する債券(以下「医療機関債」という)が資金調達手段として認められる意義は,以下の諸点に要約される.
●資金の出し手が金融機関以外に存在することから,医療法人の資金調達が金融機関サイドの資金事情の影響を受けずに安定化しうる.
●金融機関からの借入れに対し牽制手段となり得る.
●医療法人の資金調達手段が制約されていることが格付面でマイナス要素とみられているのを是正し得る.
●「医療法人が株式会社形態をとれば,資金調達手段の多様化が図れる」との議論を吸収し得る.
本稿は,医療機関債についての経緯・法的な問題点・厚生労働省のガイドライン等を踏まえ,「あるべき医療機関債」について提案するものである.
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