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連載 病院ファイナンスの現状・8
―間接金融(2)長期資金調達 1―福祉医療機構から融資を受ける場合
著者: 福永肇1
所属機関: 1国際医療福祉大学医療福祉学部医療経営管理学科
ページ範囲:P.325 - P.329
文献購入ページに移動長期資金調達とは元本償還が1年を超える資金調達を指します.病院での長期資金調達の具体例としては施設建設資金,設備投資資金,土地購入資金,設備リース,場合によっては病院買収資金が挙げられます.
長期資金調達での銀行審査は短期資金調達と比べ,格段に厳しくなります.すなわち銀行にとって融資期間が長期であることは返済リスクが大きくなることを意味します.また調達目的の土地購入資金,建築資金,設備資金などは通常,短期の運転資金や賞与資金よりも金額はかさばり,銀行もより慎重な審査を行うためです.例えば返済源げん資しの検討において,短期資金は1年以内の医業収益の中から返済されるために返済可能性の判断は一般的には困難とはいえないでしょう.しかし長期資金の場合では返済可能性は長期間にわたる事業計画と償還計画の数字から判断しなくてはなりません.プロジェクトは事業者でない第三者が冷めた眼で見た場合,海のものとも山のものともいえないかも知れず,事業計画の実現可能性をどう判断するかは難しく,さまざまなケースを想定した慎重な検討を要するといえます.
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