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特集 スピリチュアリティと病院
日本人にとってのスピリチュアリティ
著者: 鎌田東二1
所属機関: 1京都造形芸術大学
ページ範囲:P.538 - P.542
文献購入ページに移動「日本人にとってのスピリチュアリティ」とは,何よりも,生きる基盤としての自然といのちに対する畏怖・畏敬と親愛の念であり,その存在感覚であると思う.そのことを考える材料として,まず三首の歌を取り上げてみたい.
岩走る垂水の上のさ蕨の萌えいづる春になりにけるかも
田子の浦ゆ打ち出でてみれば真白にぞ富士の高嶺に雪は降りける
敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花
第一の歌は,『万葉集』に収められた志貴皇子の歌である.志貴皇子は天智天皇の第七皇子で,『万葉集』に六首の歌が収録されているが,いずれも秀歌として名高く愛唱されている.
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