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文献詳細

雑誌文献

病院64巻8号

2005年08月発行

文献概要

連載 病院改革 患者さんの期待を超越せよ!・5

Accountability(情報開示) ブリストル王立小児病院の事例から学ぶ

著者: 浦島充佳12

所属機関: 1東京慈恵会医科大学臨床研究開発室 2東京慈恵会医科大学小児科学講座

ページ範囲:P.666 - P.670

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 フローレンス・ナイチンゲールの時代から,「死亡率が病院によって異なる」ことが指摘されてきました.近年,「扱う患者数と死亡率が反比例する」という指摘は定説になりつつあります1,2).また,「週末の急患室からの入院患者の死亡率が高い」という報告もあります3).医療関係者であればこのようなエビデンスが真実であることを暗黙のうちにも納得できるでしょう.しかし,入院中死亡の施設間格差の問題は19世紀のナイチンゲールの時代から指摘されていながらも,未だにそのメカニズムの詳細が解明されていません.実態がベールにつつまれわからない状態であれば,解決策も立てようにありません.

 1995年までの数年間に,イギリス・ブリストル王立小児病院において,53人の小児が複雑心奇形のため心臓手術を受け,29人が死亡しました.これは他施設に比べると多かったのです.この心臓手術後の過剰死亡の問題は,院内麻酔科医の内部告発に始まり,やがてイギリスの社会問題へと発展しました.しかし,多くの点で改革が成され,現在ブリストル病院の死亡率も国の水準に落ち着いたところです.

 しかし,医療の質に関しての情報開示は遅々として進んでいません.その障壁は,1)データミックスの問題:病院ごとに同じ病名の患者さんでも予後が異なっている可能性,2)データの質の問題:バイアスのない正確なデータが収集できない,3)手術成績は外科医個人によらない問題:手術は多くの医療従事者の手を介して行われるため,必ずしも外科医個人の問題ではないこともあり得る,の三つに集約されます.また,「前向きに情報開示する医療機関は,重症患者さんを診てくれない」という声も聞かれます.

 今回は,ブリストルのケースを通じて情報開示のあり方について考えてみたいと思います.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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