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文献詳細

雑誌文献

病院65巻1号

2006年01月発行

文献概要

研究と報告【投稿】

VDT 作業のリスクマネジメントに関する研究

著者: 平田周祐1 高橋弘充1 酒井英洋1

所属機関: 1横浜市立みなと赤十字病院薬剤部

ページ範囲:P.52 - P.55

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 インターネット白書2004(財団法人インターネット協会)の統計よると,わが国におけるインターネット人口は6,000万人を超えたそうだ.このような状況下,コンピュータなどの端末であるVDT(Visual Display Terminals)操作に起因する疲労を訴える患者が激増している.厚生労働省では 2002 年 VDT 機器の急速な普及に伴い,1985(昭和60)年以来の新VDTガイドラインの改定を発表した.医療の分野でもVDT作業に従事する時間は増加しており,特に電子カルテを導入した施設では医師をはじめ,オーダリングシステムによる関係部署の作業者の疲労等を軽減することは健康管理の面から有用と思われる.2003 年産業保健推進センターの栄田ら1)の大規模な調査研究(3,371名;年齢40.4±10.8歳)によれば VDT 作業者(2,573名;78.2%)は非作業者(718名;21.8%)に比べ,精神疲労,眼精疲労,運動器疲労(首や肩がこる等)の割合が有意に高かったことから,VDT作業は精神症状とともに眼症状や運動器症状といった身体症状に影響すると示している.

 本稿では電子カルテ導入前の処方せんに基づいてデータの入力・照合・修正等に従事している作業者を対象に,VDT作業の心理的・生理的評価を行った.さらに,紙ベースのVDT作業は視線が常に画面とキーボードと紙の3か所を移動するので疲れやすく誤入力も生じやすいという点から,医事システムと連動している薬剤部の薬袋発行システムにおける安全管理との関連性を検証した.

参考文献

1) 栄田和行,他:長崎県における VDT 作業による健康影響に関する調査研究,2003
2) McNair DM, Lorr M, Droppleman LF : Profile of Mood States. San Diego : Educational and Industrial Testing Service, 1992
3) 横山和仁,荒記俊一,川上憲人,竹下達也:POMS(感情プロフィール検査)日本語版の作成と信頼性および妥当性の検討.日本公衛誌 37 : 913-918, 1990
4) 横山和仁,荒記俊一,川上憲人,竹下達也:POMS(感情プロフィール検査)日本語版の訳語ならびに短縮版の検討.日本公衛誌 40 : 1055, 1993
5) 横山和仁,下光輝一,野村 忍:診断・指導に活かす POMS 事例集.金子書房,2002
6) 織田弥生,他:就労者の唾液中・尿中コルチゾール標準値作成の試みとその有用性の検討.人間工学 36 : 287-297, 2000
7) 土屋文人,他:医薬品名の標準化と類似性の検討.医療情報学 21 : 59-67, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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