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文献詳細

雑誌文献

病院65巻12号

2006年12月発行

文献概要

連載 医療ソーシャルワーカーの働きを検証する・7

緩和ケア病棟での家族関係再構築―リエゾン・コンサルテーションを活用したケースワークの事例

著者: 橘直子1

所属機関: 1綜合病院山口赤十字病院医療社会事業課

ページ範囲:P.1018 - P.1021

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 ホスピス・緩和ケア病棟では,患者さんとあわせて家族もケアの対象者と捉えている.終末期の場面において,これまで「家族」が紡いできた歴史は集大成を迎え,また患者さんとの別れによって新たな生活を始めることになる.とりわけ夫婦の場合,残された配偶者は喪の仕事(葬儀や法事など宗教的なセレモニーや遺族に引き継がれた諸問題の解決等),家庭内力動の変化,亡くなった配偶者の原家族との関係等について,強い不安や戸惑いを示すことがある.本事例は,リエゾン・コンサルテーションを活用しケースワークの技法を用いて家族関係の再構成を試みたものである.

 ホスピス(hospice)という言葉は,“旅に疲れた人をもてなす宿” の意味を持つラテン語から生まれた.その言葉に由来しているように,ホスピス・緩和ケア(palliative care)は,治癒不可能な状態にある患者さんおよびご家族のクオリティー・オブ・ライフ(QOL)の向上のために,様々な専門家が協力して作ったチームによって行われるケアを意味する.そのケアは,患者さんとご家族が可能な限り人間らしく,“その人らしく” 快適な生活を送れるように提供される.

 近代的なホスピスとして最初に設立されたセントクリストファー・ホスピス(イギリス)のシシリー・ソンダース博士(1918-2005)は,「死に直面した人々のケアにおいて,患者の苦痛の全体像に直面したとき,身体的痛みだけでなく,心の痛み (Mental pain),社会的な痛み (Social pain),霊的な痛み (Spiritual pain) について検討が必要である」と述べている.また,博士は医師になる前,ソーシャルワーカーとして働いていたことも知られている.

参考文献

1) 全国ホスピス緩和ケア病棟連絡協議会(現 日本ホスピス緩和ケア協会)教育専門委員会:ホスピス・緩和ケア教育カリキュラム(多職種用),p.3,2001
2) 山口赤十字病院緩和ケア科:山口赤十字病院 看護の目で見た緩和ケアマニュアル,第 3 版,2004
3) 正司明美,他:ホスピス及び緩和ケアにおけるソーシャルワークガイドライン(日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団助成調査・研究報告),2004
4) ヘネシー・澄子:教育講演 2「パリアティヴ・ケアとソーシャルワーク」日本死の臨床研究会,死の臨床 29(1):15-17,2006
5) 吉川 悟:家族療法 システムズアプローチによる〈ものの見方〉,ミネルヴァ書房,1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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