icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院65巻2号

2006年02月発行

文献概要

特集 超高齢社会の終末期ケア

Quality of Life の向上を目指した終末期ケア―症状マネジメントと生命維持機能の支援を中心に

著者: 田村恵子1

所属機関: 1淀川キリスト教病院ホスピス

ページ範囲:P.122 - P.126

文献購入ページに移動
わが国において,終末期で死にゆく過程にある患者へのケアに関心が払われるようになって30年余りが経過し,終末期がん患者に対するケアとしてホスピス・緩和ケアのコンセプトが浸透しつつある.改めて記すまでもないが,緩和ケアとは,世界保健機関の定義1) にもあるように,「治癒を目的とした治療に反応しなくなった疾患を持つ患者に対して行われる積極的で全人的なケア」であり,「その目標は,患者と家族にとり可能な限り良好なQuality of Lifeを実現すること」である.したがって,終末期における医療の目的は,患者が病により体験する痛みや苦しみを積極的に緩和することで,患者と家族のQuality of Life(以下,QOL) をより良くすることである.すなわち,緩和ケアでは人間の生命を尊ぶまなざしを前提として,個々がどのように生きるかが優先されている.

 本稿では,終末期におけるがん患者と家族のQOL向上を目指してケアが実践されているホスピスや緩和ケアの場で,患者が体験している症状や苦悩をどのように緩和しているかについて,基本となる考え方と淀川キリスト教病院ホスピスでの実際について説明する.

参考文献

1) World Health Organization : WHO technical report series No. 840 : Cancer pain relief and palliative care. Geneva, 1990
2) 日本緩和医療学会がん疼痛治療ガイドライン作成委員会編:がん疼痛治療ガイドライン,真興交易,pp4-9, 2000
3) 平賀陽一:本邦における癌性疼痛管理の現状と今後の展望.ペインクリニック 20 : 479-484, 1999
4) 終末期医療に関する調査等検討会編:今後の終末期医療のあり方,中央法規,pp 73-75, 2005
5) 内布敦子:症状マネジメントの重要性と現状.田村恵子編:がん患者の症状マネジメント,学習研究社,pp 8-13, 2002
6) 田村恵子:ターミナルケア.伏木信次,樫則章,霜田求編:生命倫理と医療倫理,金芳堂,pp 80-89,2004
7) 終末期がん患者の支持療法の適応に関する研究:http://www.ncc.go.jp/jp/mhlw-cancer-grant/2000/focused1102.html
8) 和田真由美,石橋友子,森重美津子,他:ホスピスナースによる家族ケアの特徴.死の臨床 28(2): 221, 2005
9) Teno JM, et al. : Persistent pain in nursing home residents. JAMA 285(16): 2081, 2001
厚生労働省・日本医師会監修,がん末期医療に関するケアのマニュアル改定委員会編:がん緩和ケアに関するマニュアル-がん末期医療に関するケアのマニュアル改訂第 2 版-,財団法人日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団,2005.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?